逸脱した女神8
転移した先にいるのは歳は取っているが綺麗な見た目にその渋い顔によくあったスーツを着た男
筋肉が盛り上がっており一目で鍛え上げられた肉体だとわかる
そんな男は突然現れた見知った顔に口を開けて驚いているようだ
「あ、えと、サニアちゃん?いやルニアちゃんか! いやぁ大きくなって!」
「久しぶりですグランナイトさん」
「今はもう違うがね。私はもうただの神宮司だ」
ルニアがサニアの中にいたころ、世界を旅してまわっていたころにこの世界に一度来ていた彼女
その時この神宮司と出会っていた
彼はこの世界でかつてグランナイトというトップヒーローをしていたのだが、歳をとった現在では後進の育成で教官を経て、今はただゆったりと暮らしていた
現在トップヒーローはグランナイトが育てたクールハートという女性ヒーローで、そんな彼女の活躍を見るのが趣味となっているらしい
そう、クールハートはいわゆる彼の実の娘というわけだ
「それにしてもルニアちゃん、どうしてここへ? もしやまた異変が」
「ええ、お姉ちゃんも別の世界で調査してるんだけど、大きな悪が動き出したわ」
「やはりか・・・。実を言うとな、この世界でも最近おかしなことが立て続けに起きている」
神宮司の話を聞くと、ここ最近犯罪を犯した能力者が消えたり、優秀なヒーローが消えたりと不可思議なことが立て続けに起きているらしい
犯罪者が消えるのは脱獄かとも思われたが、監視カメラなどにもその様子が映っておらず忽然と消えている
ヒーローにしても何の脈絡もなく消えている
現在も行方不明になった犯罪者やヒーローの捜索は続いているのだが、全く手掛かりの掴めていない状況
そこにルニアがやってきたというわけだ
「私もヒーローたちに顔は効くとはいえ、もう引退した身だ。そうは自由に動けない。娘も調べてはいるみたいだが手掛かりはないようでな」
そんな話をしていると家のチャイムが鳴る音がした
「む、誰か来たようだな。すまない少し席を外す」
神宮司が玄関に向かい、ルニアたちは顔を見合わせた
「行方不明、気になりますね」
「元ウルだから分かります。恐らく力を持った者たちを連れ去っているのでしょう。私が所属していたところは騙された者ばかりだったので犯罪者はいませんが、この世界で攫っているように犯罪者も数多く攫っているのでしょうね」
ラエトリアの所属していた部隊は全ての者が騙されてウルに引き入れられた部隊で、少数だがいくつも指令を言い渡されていたため他の部隊とはほとんど接触がなかったらしい
「すまない待たせたな。君らに紹介したいんだが」
すぐに戻ってきた神宮司、その後ろにはキリッとした目をした美しい女性が立っている
「パ、パパ! だめじゃない一般人をこんなところに連れてきちゃ!」
「大丈夫だえりか、この人たちはかつてこの世界を救ってくれたルニアさんとそのお仲間さんたちだ」
「え、じゃあこの方がパパがいつも言ってる?」
女性の名前は神宮司えりか、正真正銘グランナイトの娘だ
ちなみに神宮司の妻はヒーローたちの育成機関で所長をしており今も忙しくしているらしい
「初めまして、私はルニア、あなたのお父様の古い友人よ」
そこでえりかは気づいた
自分が見ていたのは一番大きなアスティラで、その妹か何かだと思っていた少女こそがルニアだったと
「あ、えと、ごめんなさいね・・・」
小さなルニアをただの子供だと思っていたことに素直に謝るえりか
しかしルニアはそんなことでは怒らない
こめかみあたりが少しピクピクしてはいるが、笑顔を浮かべているため怒ってはいないはずだ
それから話をすること一時間
現在の状況をお互い理解できた
「つまりそのウルというのが悪さをしているかもしれないと?」
「ええそうよ。グランナイトが歳を取った今あなたが頼りなの」
少女が女神だということを知ったえりか
その女神からの直々の頼みである
幼いころから魔法少女などに憧れていた彼女は、当然女神にもキラキラとした印象を持っていた
「分かりました! 私にお任せください女神様!」
クールだと思っていたえりかのあまりの印象の違いに、ルニア含め女性連中は少し引いていた
ただラエトリアはそんなえりかに惹かれているようだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます