神と白黒鬼神20

 ヴォルクカッカに来てみるといつの間に情報が伝わったのか、すでに精霊神である僕が来た情報と、女神が数柱降臨した情報が行き交っていた

 確かに鬼神という種族だけど、鬼神は正確に言うと神様じゃない

 まあ神様より強いから神様を超えちゃった存在ではあるね

 一斉に囲まれたことで僕もハクラちゃんも戸惑ったけど、さすがクロハさんとサニアさんは全く動じてない

 あ、メトちゃんがもみくちゃになって目を回してる

 それを見て僕とハクラちゃんは彼女の手をしっかり握って引っ張り出した

「あうー、ありがとうお姉ちゃん、ママ」

 目を回してるメトちゃんも可愛い・・・。母性本能くすぐられちゃう

「どうぞ女神様、こちらへ」

 すぐに王宮に案内される

 こっちの王宮は超巨大二枚貝の中に造られてるみたいで、物語に出る竜宮城のような作りだった

 王宮とは言ってもヴァニリアちゃんの別荘みたいなもので、管理しているのは街を納めるレッディア伯爵という眼光鋭いお姉さんだ

 種族はビーストマーマンという種族で、狼のような耳と尻尾を持ち、首にエラ、背中にヒレを持ってる強そうな様相の人だ

 いや実際強いねこの人、漂う雰囲気が達人なんだもん

 いやぁ僕もこういった雰囲気をよく見破れるようになったもんだよ

 これも経験の賜物だね

「ああなんとなんと、生きているうちにこのような奇跡が起こるとは・・・。眼福、眼福ですぞ!」

 あれ? レッディアお姉さん?

 なんかクロハさんと僕の胸を交互に見てる

「ハァハァ女神様、至高の御方、ああ素晴らしい素晴らしい。これが女神様のお力なのですな」

 あ、分かったこのお姉さんただのスケベだ

 眼光が鋭かったのは胸を凝視するためだったか

 僕もまだまだだね

 取りあえず胸を隠しつつ苦笑いしながら自己紹介をした

 ちなみにクロハさんはキレていた

 自分の胸をガン見していることにじゃなくて、ハクラちゃんを魅力に思っていないことにだ

 いや思っちゃだめだよ! 今のハクラちゃんをそんな目で見るやつは十中八九変態だよ!

 あ、クロハさんは姉妹愛だから・・・。うん多分大丈夫

「はぁはぁ、いやすみません、少し取り乱しました」

 凄いなこの人、謝りつつも僕とクロハさんの胸から目を離さない

 そのままずーーっとガン見しながら部屋に案内してくれた

「あの、もう見るのやめてもらっていいですか?」

「いえそれはできません!」

「え?」

「私の生きがいを奪わないでいただきたい!」

 駄目だこのお姉さん、もう腐ってる・・・

 まあ触られたり実害はないからもうあきらめよう

 クロハさんなんて気にしてないしね

「して件の旅人についてなのですが」

 あ、急に最初見た時の真面目な表情になった

 何だしめる時はしめれるのか

「その旅人は先ほど情報に上がって来ております。いかにもな怪しい見た目をしているので、入街の時からマークさせていますので」

 どうやらその人は昨日この街に来ていて、そこからずっと監視されてるみたいだ

 まあローブを被ってずっとすごしてるらしいから、逆に目立つよね

「観光を楽しんでいるようにしか見えないので、監視もそろそろ外そうかと案が上がっていた所です」

 ふむふむ、とりあえずそれとなく接触したいね

 偶然を装って接触できないかレッディアさんに頼んで見ると、これから出かけようとしているその人物の行き先を見定めてから情報をよこしてくれると言ってくれた

 とりあえずそこは任せて僕らは街へと戻った

 そうそう、レッディアさんのおふれが出たから、来た時みたいに全員もみくちゃになるってことは無くなってたよ

 まぁでも遠くから手を振ったりしてくれてるからそれには答えないとね

 いやはや人気者はつらいよねぇ、でへへへぇ

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