女神と二天の冒険12

 異放者、あんたのことは大嫌いだったけど、この力使わせてもらうわ!

 とんでもない数の矢が飛んできて着弾したとたん爆発している

 その矢をすべて受けた

 全く痛くもかゆくもない

「これはすごいわね。さすが世界の外側の力」

 全ての世界の理から外れたこの力は、かつて全ての世界を滅ぼそうとした外宇宙から来た存在が持っていた力なのよね

 矢が効かないと分かるや弓とボウガンを仕舞い二丁拳銃に変える男

「滅びよ神」

 男は銃を連続で撃ち始めた

 体にあたって弾け、先ほどよりも強い爆風が私を包み込む

「暖かいわね。あともう少し肩辺りをお願いできるかしら? 最近歳のせいか肩こっちゃうのよね」

「く、馬鹿にしおって! お前たち神はいつもそうだ! 俺たち人間のことを見向きもしない! そのせいで俺の家族は!」

 待って話が変わってきた

「神を恨んでる? 何があったのかは知らないけど、ウルに加担してこの世界の人々を傷つけるあなたを私は許さない」

「ふん、ほざいてろ」

 男は二丁拳銃をしまうとどこからか、なんて言うのか分からないけど、ロケットを飛ばす担ぐタイプの砲台? それを取り出した

「これが街一つを滅ぼした俺の力だ。神殺し兵器の力を見るがいい!」

 ガチャリとこちらに構えるとズドンと撃ってきた

 でもその弾を片手で受け止めると爆発する前にはるか上空に投げた

「これでもダメだと!? くそ! ならば!」

 男は今度はレーザー砲のようなものをまたしてもどこからか取り出しすぐに撃った

 シュインと光の速さで発射されるレーザーを今度は両手で受け止めて上空へと跳ね上げた

「まだだ!」

 次はミサイルを大量に撃ってくるけど全てを上にはね上げた

「なぜだ! なぜそこまでの力を持ちながら、俺の家族を、助けてはくれなかったんだ・・・」

 崩れ落ちる男を支える

「あなたのことは知らない。でもあなたの世界の神は本当にあなたを見捨てたの?」

「俺だけじゃない。あの神は世界を捨てたんだ!」

 なんだかおかしいわね。神は世界を見捨てたりはしない。どんなに下位の世界の神でも

 だってそんなことをすれば信仰心が薄れ存在が消えちゃうはずだもの

 世界が滅びる前にね

「ねぇ、あなたの世界の神ってどんなやつだったの?」

「さぁな、俺はあったこともないが、ろくでもないだろうさ。信仰はあったみたいだが・・・。確かレアレイドルとか言う神だ」

 レアレイドル? 確か聞いたことがある

 私が旅に出る前に聞いた行方不明になってる神々の一人

 旅に出る前のこと、神々のまとめ役である天の神ラシュア兄様から話を聞いていた

 上位の神々含め中位、下位の神々が行方不明になっていることを

 その中の一人に冬の神レアレイドル兄様がいたはず

「その神なら知ってるわ。私の兄様よ。しかも、人間思いのね」

「ならばどうして! 俺たちをあの時救ってくれなかったのだ! 異世界の神と名乗る男に、俺たちの世界は滅ぼされた」

「異世界からの侵略なら当然兄様も戦いに出てくるはずよ。でも出来なかった。兄様は今行方不明、攫われたのよ」

「そん、な・・・。ならば俺は、俺たちの世界は、神を失ったせいで・・・」

「ええ、恐らくその襲ってきた者は、ウル。神をどうこうできるなんてそれ以外考えられない」

「俺は、敵についていたということか? 俺は、家族のために」

 男はそのまま泣き始めた

 家族を失って、ウルに利用されていたのね

 でも彼は多くの命を奪った

 それに関しては償ってもらわないと

「償い、ああそうだ。俺はこれからこの命をウル打倒のために使うと約束しよう。我が女神よ、俺を連れて行ってくれ。俺の名はクロン・アッシドバル。神殺しの弾を撃ちだせる能力者だ」

「ええ、よろしくねクロン」

 男が私に膝ま付いた瞬間のこと、男の背中から翼がばさりと飛び出した

「何だこれは? 俺の背から翼? 意味が、分からない」

「あなた、私に忠誠を誓ったでしょ? ハァ、まさか天使になれる素質を持ってたなんてね」

「俺が天使だと? 待ってくれ、似合わないというか荷が重い。俺のような男が天使になる資格など」

「なったってことは資格はあったのよ。しっかりやんなさい」

「ああ、もちろんだ! いやもちろんです我が女神よ!」

 天使クロンを連れて私はまだ気絶しているリィリアちゃんを抱え、ラナを守っているアスティラちゃんの元へ戻った

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