女神と二天の冒険5

 二人を再び叩き起こし、ラナには魔力の制御を練習するよう言っておいた

 どの世界にもいない新種の人種になってしまったラナ、魔導の神様? うーん神様とも違うかも

 魔人?魔神? 真なる魔神ってとこかしら?

 真魔神ってとこで今は呼称しておきましょう

「で、あんたらウルの見たとこ下っ端ね。いきなりあんなすごい子に連れ去られてさぞかし驚いたでしょうけど、何悪だくみしてたの? あ、しゃべれないほど震えてるの? カワイソー」

 がたがたと震える小悪党風の二人

 二人は本当に可愛そうになってくるくらい震えてる

 心なしかちょっと老けた?

「あああああの、お、俺たちただ暴れろとしか言われていなくて、その、すいませんでした! だから殺さないで下さい! もう悪いことはしませんから!」

「そ、そうですそうです! だ、誰も殺してないですし、ただ迷惑かけただけで」

「迷惑はかけてんのね。じゃああんたたちから力を奪うわ。ま、別に力が無くても生きていけるんだからそれで許してあげる。命を取られるよりはいいでしょ?」

 二人は黙って首をブンブンと縦に振る

 そのまま私は二人の力と、ついでに頭にあったウルの爆弾を取り除いておいた

 これヤバいわね。今にも爆発する寸前だったわ

 そのことを伝えておくと彼らはむしろ感謝してくれた

 ああまったくもう、小悪党だけど根は小心者なだけねこいつらは

 ちなみにこいつらの能力はハウリングと幻惑

 ハウリングは大きな音を出して驚かせるだけ、幻惑もその名の通り幻想を見せるだけ

 うん、詐欺とかには使えそうだけど力もそんなに強くなかったわね

 下っ端も下っ端

 多分種とやらを手に入れるための陽動にでも使われたんでしょ

 使われたにしても使い捨てか

「で、あんたら元の世界に返してあげるから、戻ったら真面目に働きなさい。その働き次第ではそうね、いいことがあるかも」

「いいこと、ですか?」

「こう見えて私女神だから、ちゃんと人のためになることをしなさい」

「「はい!」」

 よし、これでこの二人に光が宿った

 そうね、こういう子達を諭して善なる火を灯していくのもいいかも

 悪には善だものね

「お、俺たち目が覚めました! 女神様、頑張ります!」

「俺も!」

 二人をそれぞれの世界に返したところでラナが戻ってきた

 あ、二天には街や村の様子を見に行ってもらったわ

「ふう、ご迷惑をおかけしましたが、なんとか制御できるようになりました」

「えっと、あれ? ラナあなた、その姿・・・」

「はい?」

 ラナの姿が見違えてる

 ただの魔導士風だった姿がまるで女神の一柱のような輝きと美しい姿

 金色だった髪は白銀に輝き、青色だった目は魔を秘めた赤に

 体の成長は、無かったみたいね

 でも素晴らしいほどの力強さ

 ていうか化けすぎ・・・。私の立つ瀬がないわね

 二天もまだまだ成長途中だし、これは女神としてもっと研鑽を積まないとね

 私だって大神の娘なんだからもっと成長できるはずだもの


 この世界にはもうウルはいないみたい

 あの二人が暴れてるときに世界の種はもう奪われてる

 はあ、まったく世界の種って何なのかしら。なんで集めてるのかしら

 私は懐にしまっていた種を取り出して見つめる

 虹色の輝きを放ってて綺麗、宝石みたい

「あ、天使様が戻られましたよ」

「ルニア様、ただいま戻りました。町や村は特に壊された様子もなく、人々も傷ついていません。幻想や音に驚いていただけのようです」

「なるほどね、あの二人本当に人は傷つけていなかったのね。まあ気配も完全な悪にはなり切れてないって感じだったし大丈夫だとは思ってたけど」

 この世界にはもう種はないし、次の世界へ行きますか

 二天プラス真魔神となったラナ

 これからの旅、さらに心強いわね

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