利善とレイド4

 とりあえずなぜこの世界にレイドの世界が重なっているのかを考察してみることにした

「いい? 世界と言うのは様々たくさんあるの。同じような世界も当然あるわけですが全く同じではないわ。さらに言うと一つの世界にはパラレルワールドというものが存在するの」

「パラレルワールド?」

「ええ、パラレルワールドって言うのは世界の分岐、たとえはあなたが何かを拾ったとする。でもそこでその何かを拾わなかった世界も分岐して存在するようになるの。普通は今私達がいる世界とパラレルワールドは交わることはないんだけど、どこかで世界が壊れた、終わってしまった場合稀にだけど交わってくることがあるの。まあ詳しく説明するとなると、うーん、私にはちょっと難しいわね。まあ同じ世界が枝分かれして同時に存在しているって考えてくれるといいわ」

 難しい話に利善とレイドはショート気味になっている

「まぁここはレイドちゃん、あなたがいた世界だけどあなたがいた世界じゃないってこと。どこかで分岐して滅んじゃった世界がたまたまここに流れ着いた。そう考えたらいいわ」

 取りあえず自分の世界から分岐した別世界、レイドはそう理解した

 つまりはまだ自分の世界は無事であると分かった

「さてあなた達も疲れたでしょうに。ひとまず人質のことはお姉ちゃんに任せたらいいわ。ほらディメ、ウェア、ご飯の用意を」

 二人の姉妹が立ち上がると手早く料理を始めた

 ここは職員室だが、家庭科室から様々な調理器具などを持ちだしていたり、保健室からベッドを持ってきていたりと一人前の生活空間になっている

 手際よく料理を終えた二人はふうと汗を同時に拭う

 そのしぐさはまさしく四つ子らしく動きがぴったりと合っていた

「どうだい? 危険生物のから揚げに危険生物のガラスープ、危険生物と毒草の炒め物に危険生物ステーキ! 今日は腕によりをかけたよ!」

 ディメはドヤっとずらっと並んだ料理を披露する

「あのこれ、食べれるんですか?」

「大丈夫、危険生物は鳥肉に似てるし、毒草も熱すれば毒は無くなるよ」

「とっても、おいしい、大丈夫」

 ふるまわれた料理は驚くほど美味しいものだった

 利善は特にから揚げを気に入って食べ、レイドも恐る恐るだが炒め物をモソモソと食べていた

 どの料理も舌鼓が出るほどだったためあっという間に平らげられた

「さて、食べたら寝る! しっかりと休んで明日に供える!」

「明日、何かあるのですか?」

「うん、明日はウェアと共にここから少し離れた施設に行ってもらうわ。そこに恐らく世界の種、ウルが探す特殊なアイテムがあるの」

「世界の種ですか? それは一体」

「私達にもわからないの。でもウルの野望を阻止するならそれを先に奪って妨害すればいいじゃないってこと。恐らくウルもこの世界に来ると思う。お姉ちゃんから逐一そう言った情報は入ってくるからね」

 ゼアたちがこの世界に来たのは数百年前だが、その時にはすでに世界はこの状態だったらしい

 この世界が滅んだのは数千年前なのは確実だが、今あるレイドの世界に似た廃墟はどうやらここ何百年かで現れた

 たとえ滅んだのが最近だったとしても何かの拍子で過去に飛ばされることがあるようだ

 その日全員しっかりと寝て翌朝日が昇る前に起きた

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