エフィレポート

 エフィレポートNo.11

 その存在は自ら自我を持ったようだ

 最初はただの悪性変異体。ほとんど危険性のない変異だったけどそれでも消すのには十分な理由だった

 それなのに局長はそれを育ててみようと提案した

 全く本当にこの人と来たら、研究のこととなると危険を顧みない

 でも私が唯一愛した男性

 だからこそその提案に賛成してしまった


 エフィレポートNo.15

 その生命体は生まれながらにして多くのことを知っていた

 その中にあったレギナントの車輪というのは特に興味深いものだったわ

 世界崩壊を止めるための強大な輪廻の輪

 転生なんて言葉、科学者たる私達は信じていなかったんだけど、こいつの話を聞いているとそれだって本当だと思えて来るわ

 なんにしてもレギナントの車輪をこいつの力で探すって言うのは私達の目標の一つになった


 エフィレポートNo.20

 こいつにはどこか別の世界へとつなげる能力があるみたい

 しかも過去の様々な事柄をなぜか知っている

 気持ち悪い・・・

 その全てが過去の悲惨な事件や世界が崩壊すると言った話ばかり

 何故そんなことを知っているのかしら?


 エフィレポートNo.24

 なんてこと、こいつはもうこれ以上育てちゃいけない

 早く彼にもそのことを知らせないと!

 各研究員に直ぐに退避を通達、彼はどこなの!?


 エフィレポートNo.30

 気持ちいい、凄くすがすがしい気分

 悪意が私に根付いてどんどん広がって行く

 癌? いえ進行度で言えばその比じゃない

 まだ理性はあるから何とか思いとどまってるけど、このままじゃフフフ、人を殺しちゃいそう


 エフィレポートNo.31

 アハハ、これってこんなに楽しいんだ

 フフ、だってほら、こんなに怯えて可愛い

 素晴らしいわ。悪意に身をゆだねるってこんなに楽しくて気持ちいいものなのね

 早く皆にも受け入れてもらわなくちゃ


 エフィレポートNo.40

 一体何をしていたの私は

 気づくと知らない場所で何人もの人々が私を見て怯えていた

 それにこの姿はなに!?

 私は一体どうしてしまったの?

 あの時からおかしい

 早く彼を見つけなくちゃ


 エフィレポートN0.56

 理性、保って、辛うじて・・・

 ああ、でもようやく会えた。私の愛おしいマコーレに

 でももう遅いかも

 私の自我はもう、擦り切れる寸前、だもの

 でも彼はまだあきらめていなかった


 エフィレポートNo.67

 体もようやく落ち着いたわ

 マコーレのおかげであいつの悪意を止める方法が見つかった

 こんなに簡単なことだったのね

 諦めない、あきらめなければ突破口は必ず見つかるものだもの

 マコーレ、あなたがそれを教えてくれた


 エフィレポートNo.77

 マコーレがとうとういなくなってしまった

 あああああ、私の愛おしい人、最愛の人

 あいつを止めると言って行ってしまった

 この短い旅であなたは研究者として、夫として、大きな成長を私に見せてくれた

 それなら今度は私の番

 早く見つけなくては、回り始めたレギナントの車輪を

 まずはそのためにもラフェルの斜塔にもう一度戻らなくては


(今回見つかったエフィレポートはここまでね。はぁ、ルニアちゃんとサニアちゃんは大丈夫かしら? それにメルカとの連絡が途絶えた。何事もなければいいんだけれど)

 エイシャと呼ばれる力の女神はレポートをすべてしまうとどこかへと去って行った

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