旅立ち
翌朝のこと、カイトさんは異世界への扉の前に立った
「普段はこちらから開くことはない。でも今回は君たちに無事たどり着いてもらうために女神を呼ぶ。まぁ向こうの準備もできてるからできることなんだけどね」
「よし、じゃあ扉を開くわよ」
サクラさんが扉に手を掛けた
すると扉がゆっくり開き、向こう側から光が来た
目のくらむほどの眩しさだけど、そこに人影が二つ見える
「フフフ、ようやく私達の出番ってわけね! 久しぶり、リディエラちゃん!」
「あなた方を導くのは私達双子女神です。どうぞよろしく」
聞き覚えのある声、その声は闇人事件のときに出会ったあの双子女神の声だ
エルフの国の女王の名前の元になった女神、ルニアさんとサニアさんだ
ちなみに僕の叔母の中で一番年下の女神様だ
「さーて可愛い姪っ子ちゃんのためにも一肌脱ぐわよ。って、えっと、どちら様? 魔力の感じは、うん、リディエラちゃんだ。あれ? もしかして進化? なんか女神になってるような・・・」
「はい! 僕精霊神になりました!」
「なんと!」
「すごいわリディエラちゃん」
ルニアさんとサニアさんが喜んでくれてる
「いやぁ私もこんな娘欲しいわぁ。姉さんに頼んでみようっかな。リディエラちゃんを下さいって」
「駄目よルニア、お姉さんの大事な子なんだから、でもどうしてもうちに来たいなら、いいのだけれど」
この双子女神、母性がすごい・・・
ちなみにルニアさんは破壊の女神で、サニアさんは能力の女神
それぞれとても強力な権能を持った女神様で、ルニアさんは概念ごと破壊できるっていうカイトさんと同じような能力
サニアさんの能力という権能は全ての神々の力を使える上に、その能力の内の一つを何の能力も持たない人に付与できる
そのサニアさんの能力の一つで異世界渡りをするというわけだ
「で、これから二組に分かれてもらうわ。私と行くのがそっちの二人、リィリアとアスティラだっけ?」
「はい女神様、私がリィリアです」
「わ、私がアスティラです」
「それで私と一緒に行くのがリディエラちゃん、それから鬼神のお二人ですね」
急な女神様登場に皆緊張していた上に、僕がその女神達の姪っ子と知ってリィリアちゃんとアスティラさんは余計に驚いていた
「お姉ちゃんと私は感覚や視覚と言った様々な情報を共有できるの。体を使っての入れ替えもできるわ。つまり、私とお姉ちゃんはどの世界にいようともつながってる」
凄い話だ。双子女神だからこそできる二人だけの権能
だから二手に分かれて情報を共有しようって話らしい
「それと、私達に協力してくれる人たちも探さないといけないわね。何せ異世界には神々よりも強い何かがいたりいなかったり、とにかく私達二人が情報を共有し、世界世界での協力者を得られれば、きっとうまくいくわ」
かつてこの二柱は様々な世界を旅してまわった
その際にたくさんの仲間を得て世界を救ったんだとか
「じゃあ準備はいい? お姉ちゃん、私に能力をお願い」
「ええ」
サニアさんはルニアさんに転移の能力を付与した
これで二人ともが転移できるようになったわけだ
「じゃ、行くわよそこの天使二人」
「「はい」」
リィリアさんとアスティラさんがルニアさんにつき、僕と白黒姉妹がサニアさんについた
ここから始まるのか、更なる異世界への冒険が
ドキドキするようなワクワクするような、それでいて緊張がすごい
そんな僕を白黒姉妹が手を繋いで安心させてくれた
大丈夫、みんないる。きっと大丈夫
「行きましょうリディエラちゃん」
こうして僕たちは新しい旅への一歩を踏み出した
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