戦いの始まり3

「まず最初に言っておくわ。もしかしたらもうこの世界には戻れないかもしれないし、死んじゃうかもしれない。あなた達は不老でほぼ不死、ちょっとやそっとじゃ死なないだろうけど、当然殺せるわ。完全な不老不死なんてどの世界にもいないもの」

 それは僕がこの体になってから母さんに聞いたことがある

 当然僕たちはそれを理解したうえで行くつもりなんだ

「大丈夫ですサクラさん。しっかりと分かってるつもりです」

「そう、そうよね、だからこそこの場にあなた達はいるんだもの」

 僕らはうなづく

 サクラさんは真剣な顔を少し崩して続けた

「これからあなた達にやってもらうことは大まかに言うと二つ。一つは異世界へと渡ってその世界世界で悪さをしていると思われるウルのメンバーを撃退、情報を聞き出すこと、二つ目はその情報を頼りにウルの本拠地を見つけること。このウルの本拠地なんだけど、神々に色々探ってもらってるのに全く居所が掴めないの。その、あなた達が出会った利善とかいう男に正確な場所を聞きだせばよかったわね。療養している元ウルの二人も知らないみたいだし」

 確かに本拠地が分かれば一気にたたきに行ける。でも分からないんじゃどうしようもないなぁ

 ちなみにゴーンも知らなかったらしく情報は聞きだせなかった

 なんでも転送用の装置があって、そこでランダムに選ばれた世界に飛ばされるんだそうだ

 それだけ高度な技術を要してるってことだね

 あと逃げちゃったやつら、あいつらのリーダーはもしかしたら知ってたかもしれないけど、サクラさん結構抜けてるのか、思いっきり脅しちゃったらしい

 恐らくあいつらはもう来ないだろうとのこと

 でもゴーンの言った通りのシステムなんだったら、この世界にもまだまだウルのメンバーが来る可能性がある

 僕らが異世界に旅立ったときにこの世界を守るための人物が必要らしい

 とはいってもサクラさんもカイトさんもいるし、鬼ヶ島の鬼神たちも馬鹿みたいに強い

 その点は心配なさそうだ

 サクラさんは一緒に来ないのかって思ったんだけど、あの人は異世界にいすぎて疲れてる

 ようやく自分の世界に帰って来たんだもん、ゆっくり休んで欲しいね

「それでね、君たちを異世界に送る役目を果たす女神がいるんだけど、彼女たちの準備が出来次第こちらに来るはずだから、もう少し待ってほしいんだ」

 女神かぁ、僕の知ってる女神様って結構いるんだけど、その中の誰かかな?

 神様達は全員が兄弟姉妹で、要するに僕の叔父叔母に当たるようになる

 女神が来るって言ってたから僕の叔母さんが来るのか

「まぁそれまでは英気を養うと思ってここでゆっくりしてね」

 カイトさんの微笑み、これは破壊力高い

 思わず顔が赤くなった

 ちなみにハクラちゃんは恋愛耐性なし、クロハさんはハクラちゃん一筋、サクラさんは悟ってるし異世界人二人は元男ということもあって全く反応なし

 僕とアンミツ姫だけがカイトさんの笑顔にやられてたってわけだ

 いやまぁ僕も元男だけど、元の体は子供のころからできた腫瘍のせいで段々と目が見えなくなっていってたし、恋愛を分かる年頃にはもう完全に見えなかったからね

 この体になってから驚くほどたくさんのものを見て、感じて、当然恋愛ってものにも興味が出てきた

 その恋愛対象ってのが、この女性型の精霊の体に引っ張られてるからなのか、男性に魅力を感じるんだ

 そりゃ女性もきれいだし可愛いと思うこともあるし、ドキッとすることもある

 でも男性に感じる魅力とはちょっと違うんだ

 

 サクラさんとカイトさんの話も終わり、日が暮れてきた

「さぁきょうはもう休むといい、こっちに部屋を用意してるからそれぞれ好きな部屋を使ってね」

 カイトさんが案内してくれた部屋はどこも高級ホテルのような装いの部屋で、ハクラちゃんとクロハさん以外はそれぞれ一人に一部屋が用意された

 ベッドもフカフカな上に、黒族の技術によるテレビまであった

 このテレビ、なんと地球のテレビを放映できるようになっていて、好きなチャンネル数百チャンネルを見ることができる

 おふ、電波ジャック・・・

 いやでも地球の法律ってここまで届かないから大丈夫、なのかな?

 前世でテレビは聞くことしかできなかったけど、僕はその夜夜更かししてテレビを見続けてしまった

 まぁ寝なくても魔力さえ回復すれば問題ないから大丈夫!

 こうして僕達の夜は更けていった

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