おまけ 鬼娘たちの下着事情
遡ること数年前の話
この世界にも当然下着と言うものはある
一般的なパンツは男性はトランクスやブリーフで、異世界人が伝えたものだ
もともとはトランクスのようなものと鬼ヶ島などから伝わったふんどし、もしくはただ布を巻いただけというのが一般的だった
女性の場合はドロワーズや布、もしくは履かないというのが主流だったが、ここ何年かで異世界から素晴らしい下着の数々が伝わった
そのため女性は外だけではなく中のおしゃれも楽しめるようになっていた
それは鬼娘たちも例外ではない
「来たっすよソウカ! これこそ今最新のおぱんてぃっす!」
「おぱんてぃってなんですか~?」
「下着っす! 異世界人の行商人のお姉さんから試作品として何枚かもらったんすよ!」
「ちょ、アカネ、そんなもの広げちゃ駄目でしょ!」
「あ、ごめんなさいっす。でもこれほら、こんなに可愛いんすよ」
いつもふんどししかは履かない鬼ヶ島の少女たちにとってその下着は衝撃的なものだった
「こ、これは! なんと破廉恥な! 面積が小さすぎるし何ですかこの透けてペラペラの布は・・・! で、でも確かに、見た目は可愛らしいですね」
あの真面目なキキも普段は面積の多くパンツのようなもっこ褌であるが、アカネが持ってきた試作品のパンツには興味津々のようだった
結局彼女も少女でおしゃれに目がないのである
「お、アカネッぴももう手に入れてたんだにゃぁ」
そこに割って入って来たのが訓練を終えたマリハだった
現代っ子かぶれで異世界人好きなマリハは鬼ヶ島の誰よりも早くすでにパンツを導入し、同じ三幽鬼のチャダノ、カイラにはすでに普及しているようだ
「アカネッぴにはこれ、キキっちょにはこれ、ソウちんはこれが似合うと思うよ」
的確に選んでいくマリハ。こういう時ファッションリーダーでもある彼女はアカネたちにとっても心強いアドバイザーとなるのである
「おおおお! なんかあたしにぴったりってかんじっす! 特にここの赤いリボンとか可愛いっすね!」
アカネの下着はシンプルかつ小さな赤いリボンが正面にちょこんと着いた、ちょっと小さな女の子が履くような下着だったが、多少ボーイッシュな彼女を少女として認識させるには十分な性能を秘めていた
それに合わせて胸には普通よりは少し大きめな胸を隠せるアカネの好きな赤色のブラをあてがう
次にソウカの下着は大胆な青色の面積の少ないもので、グラマラスなソウカをより魅力的に見せている
最後にキキなのだが、彼女にはスポーツブラがあてがわれ、下着もシンプルなお子様用で、なんだか魔法少女のようなものがプリントされたものだった
「マリハ、これは・・・」
「え? キキっちょにぴったりっしょ! まだ胸の小さい子供が付けるブラなんだって! キキにすっごい似合ってるっしょ!」
マリハはニコリと微笑んでいる。彼女には全く悪気はない。それどころかキキを可愛く仕立て上げれたと喜んでいるのだが、悪意がない分それはそれでたちが悪い
「素晴らしいです! 特にこの絵! 名のある絵匠によるものに違いありません!」
キキの趣味は水墨画の鑑賞だった。つまりこの采配は適材適所だったわけだ
喜ぶキキに満足げなマリハ
ちなみにマリハはいわゆる勝負下着と呼ばれるスケスケオパンツである
そして同じ三幽鬼であるチャダノは真面目で清楚そうな白、カイラはいたずらっ子が履きそうなこれまた子供っぽいデザインの下着だ
「さて、三獣鬼も三妖鬼もすんだし、クロぽんとハクりんにもいい感じの見繕わないとっしょ!」
マリハは人を呼ぶとき変なあだ名をつけるのだが、この呼び方はその時の気分で変わる
少し前などクロハのことをクロぽぺんと訳の分からない呼び方をしてキキに怒られていたが、クロハが楽しんでいるためこの変なあだ名付けだけは変わらず続いているらしい
そして三妖鬼の下着なのだが、シエノがお嬢様らしいフリル付きの豪華な下着、モモネがセクシーすぎる男が見れば卒倒しそうな面積の小さなティーバッグスタイル、ミドリコは嫌がって逃げたためそのまま褌に胸当てで変わらなかった
ところ変わってクロハとハクラのいる部屋
クロハはハクラに膝枕をして頭を撫でていた
その様子は絵画にでもなりそうなほどに美しく幻想的だ
そこにいきなり襖が開かれてマリハとアカネが入って来た
「ドーーーーン! クロぽんとハクりんみっけ!」
「マ、マリハ! 何ですか騒々しい! ハクラがおきてしまったではないですか!」
「そっかお昼寝してたんかすまん。それはそうとこれ見ろし!」
マリハはアカネの持っていた下着も一緒にその場にバッと広げた
「これは何? なんか布みたいだけど」
ハクラがパンツをツンツンと触る
「これは下着っしょ! クロぽんとハクりんもそろそろ褌みたいな可愛げのないものやめてさ、こっちに」
「私なにも履いてないよー?」
「・・・」
思わず絶句するマリハとアカネ
「そ、そうだったっす。ハクラちゃんは下着嫌いだったんす。いっつもなんも履いてなかったっすよ。どうするんすかマリハ」
「うわー、予想外だったわー・・・。ハクりんは後で無理やりに履かせてみるとして、クロぽんさんや、これを履いてみてくだされや」
「ここで、ですか?」
どうやらクロハはその下着に興味津々のようで、目が輝いている
その一つに手を伸ばしてまじまじと見始めた
「そうねー、クロぽんはこれかな?」
マリハが選んだのは黒い大人びた下着で、クロハの褐色の肌によく似合うものだ
「ま、まあしょうがないわね。これも他文化を学ぶいい機会でしょう。ハクラ、あなたも後で履いてみなさい」
「え!?」
ハクラは姉であるクロハには逆らえない。これでパンツを履かされる事は決まったようなものである
普段から履かない派の彼女にしてみれば地獄でしかないのだが・・・
隣の部屋で着替え終えたクロハが着物を脱いだまま下着姿で出て来る
「おお素敵っすクロハ様!」
「うんうん、良く似合ってる!」
マリハとアカネにもてはやされ、気分を良くしたクロハは今後もこういった下着を身につけようと心に決めた瞬間であった
そしてハクラの番がくる
「ひ、いや、やめて二人とも、お姉ちゃん、助け、いやあああああ!!」
逃げようとするハクラをクロハが抑え、二人が着物を脱がしてハクラにパンツを履かせた
「これはまた見事にツルぺただねぇハクりん。いやぁミドリコよりも小さいし、毛が・・・ない。剃った?」
「いやハクラは元々よ。生えないの」
際どい会話をしつつ何とかハクラに純白のパンツを履かせることに成功した三人
満足そうな三人とは裏腹にハクラは心底いやそうな顔でその三人を睨んでいた
「うう、動きにくいから嫌いなのに」
「そんなことないわよハクラ。むしろあなたの着物じゃ中が見えて大変なことになるじゃない」
「別に見えてもなんともないけど?」
沈黙が流れる
「クロハ様! ハクラちゃんにどんな教育してるんすか!」
「ご、ごめんなさい。これはわたしの落ち度ね。ちょっと箱入りにしすぎたわ」
キャッキャウフフと三人に玩具にされながらハクラは考えていた
絶対に下着なんかつけるものかと
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