妖怪族の国再び7

 うん、僕の究極魔法もハクラちゃんの幻術も様になった

 レコ様もポコ様も満足そう

 神様達に鍛えてもらうなんて異例のことなんだろうと思うけど、世界の危機だから仕方ないのかな

 それに僕もハクラちゃんも内から湧き上がってくる力をどんどん制御できるようになってきて、それが何だか楽しかった

「これにて私達の修行は終了です。よく頑張りましたね」

「それにしてもそこの鬼神は何者ですの? すでにわしよりも強いですの。いや、もしかしたらもう」

「もう?」

「まだわからないですの。不確かなことは言わないですの」

「そうです、か」

 もう何なのかかなり気になったけど、この二柱の女神様には本当にお世話になった

 外への扉が開いて、僕とハクラちゃんはレコ様とポコ様に頭を下げて外に出る

「次は馬人族の国に行きなさい」

 レコ様は別れ際にそう言った

 馬人族というのは上半身が人で、下半身が馬、つまりケンタウロスのことだね

 彼らは孤高の森人で、エルフとも仲がいい

 まだ会った事はないけど、これはいいチャンスだ

 場所はエルフ族の国ルニアサニアからもう少し森の奥へ入っていった場所にある

 黒族の転移装置はないからエルフ族の国から歩きになるね

 まぁ自分で転移してもいいけど、驚かれるだろうし、それにエルフ族の国にまた行きたいしね

 ハクラちゃんは久しぶりに来るらしい

「エルフ族とは行き来はあるものの、まだ国交を結んでないんです。 これを機に結んでもいいでしょうか?」

「昔ならともかく、今は国交もいろんなところと結んでるし、そうだね、鬼ヶ島も国交を結べばいいんじゃないかな? 僕が口添えするし」

「そ、そうですね。でもこんな重要なことお姉ちゃんに相談もなしに決めてもいいのでしょうか?」

「むしろ喜ぶんじゃない? クロハさんって野菜好きだったよね?」

「はい、大好物ですね。特にナスなんて自分の部屋に持ち込んで夜な夜な夜食に食べてるくらいですから。生で」

「そっか、じゃあエルフ族と国交を結べばそういう新鮮な野菜が輸入できるようになるよ。転移装置も普及してるはずだから国交さえ結べば転移装置どうしで輸出入までできるみたいだし」

「それは助かります! 私もお姉ちゃんも野菜が好きなので、外国の様々な野菜を食べたいと思ってたんですよ。それにソウカがいろいろ献立を作ってくれそうなのでそれも楽しみになります!」

 嬉しそうにぴょんぴょこ飛び跳ねる様子は見た目通りの子供

 ていうかこの姿、いつもとに戻るんだろう?

 もうとっくに体を構成している魔力は回復しているはずなのに

「ねえハクラちゃん、ちょっと元の姿に戻るイメージで魔力を体に流してみてよ」

「へ? ああ、それ実はずっとやってるんですけど、全然戻らないんです。どうしたんでしょうね?」

 本当にどうしたんだろう? なんで元に戻らないのかな?

 うーん分からないけど、これはこの世界に戻って来たっていう鬼神さんに聞くしかないかも

 聞いたところによると神様より強い鬼神って話だからね

 それだけに鬼神自体のことにも詳しいかも

「そうですね、確かにもし絶桜鬼様なら、分かるかもしれません」

 ということでまずは馬人族の国に向かうことにした

 妖狐族の里にある大きな城、その地下から転移装置を借りて一気にエルフ族の国に

 クノエちゃんも行きたそうにしてたけど、族長になるための修行があるからおあずけ

 また一緒に旅行でもしようと言ってなだめておいた


 さてところ変わってエルフ族の国についたわけだけど、ハクラちゃんがものすごく見られていた

 まぁ確かに鬼神なんて珍しいから注目の的になるのも無理もない

「またお会いできて光栄です王女様」

「あ、ルニサニアさん、お久しぶりです」

 ルニサニアさんは相変わらず綺麗で、さすがエルフの女王と言ったところ

「それで、そちらの方は?」

「えっと、ハクラ姫と言って鬼ヶ島の姫です。ここには馬人族の国に向かうために来たんですけど、ハクラ姫はエルフ族の国に初めて来るようなので、国交を結びたいそうです」

「せ、精霊様、私が言うべきところですそれは」

「あ、ごめん」

「なるほど! ではすぐにでも結びましょう! わたくし鬼ヶ島で作られたお米がとても好きでして、しかしながら入ってくる量は他国から買うためごくわずか、どうでしょうか? 国交を結ぶにあたってその辺りの輸出入についても取り決めませんか? もちろんごぶごぶの正当なお取引とさせていただきます」

「う、その、それはそうなんですけど、私国政のことはおねえちゃ、姉に任せきりだったもので、後日使者を送らせていただきたいのですが?」

「ええ、それで構いませんとも」

 よかった、うまくいきそうだ

 それから僕はルニサニアさんに事情を説明した

「では馬人族の国には修行で? さすがですわ王女様。それに以前よりも遥かに成長なされたご様子。きっとお母上様も鼻が高いことでしょうとも」

 その日はこういった会話をしながら野菜たっぷりのエルフ料理をいただいた

 ハクラちゃんなんて目を輝かせて食べてたね

 さすが姫だけあって食べ方はものすごく品があって綺麗なんだよね

 パンツは履かないくせに・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る