妖怪族の国再び6
そういえばさっき太三郎さんが次が最後の階層って言ってたけど、次はやっぱりレコ様とポコ様がいるのかな?
恐る恐る扉をくぐるとそこは神社だった
とはいってもさっき刑部姫がいた城みたいに隔離された世界で、そこにポツンと神社がある感じ
天照と書いてあるからもちろんアマテラス様を祀った神社なんだろうね
「精霊様、これって神社に似ているんですけど、文字がなんて書いてあるのか分からないのですが」
あそっか、ハクラちゃんはこの文字が読めないのか
「えっと、天照って書いてあるんだよ」
「なんと、アマテラス様を祀っている神社ですか!? それは何とも恐れ多い」
「何言ってるの、アマテラス様の前であんなに踊ってたくせに」
「それは、祭事ですし」
鬼ヶ島の祭りではハクラちゃんやクロハさん含めて鬼娘たちが歌とダンスでアマテラス様を楽しませていたからね
それにしてもこの神社は一体何なんだろう
鳥居をくぐると神聖な雰囲気になんだか心が和んだ
広場を抜けて本殿と思しき場所に来ると目がキリッとした背の高い女性が立っていた
黒いスーツがよく似合ってる
「来たか。俺は石、いや、アコだ。人神と言うものをしている。アマテラス様からの伝言をお前に伝えよう」
「え、えっと、レコ様とポコ様は?」
「ふむ、あの二人は後で来る。とりあえずは俺の話を聞け」
「は、はい」
なんだろう、凄い美人なのに威圧感がすごくて恐縮してしまう
恐々顔を見てみると少し微笑んでくれた
「あいや、怖がらせたならすまんな。どうも俺は笑顔が苦手で娘にも」
「娘さんがいるんですか?」
「ああ、血は繋がっていないが、俺の大事な子供達だよ」
その時の笑顔が思わずドキッとしてしまうほど綺麗だ
アコ様は懐から手紙を一枚取り出す
「えーっと、アマテラス様からの伝言を読み上げるぞ」
「はい」
「まずこの世界に鬼神が一人戻って来たそうだ。俺たちの与える試練を終えたならその後はその鬼神の指示に従え」
「鬼神、それってもしかして絶桜鬼さんですか!?」
「名前までは知らん。次だ次」
「あ、はい」
「精霊の娘、お前は一番最後に俺の迷宮に来てもらう。そこには俺とヨウコという妖神がいるから俺たち二人でお前に大いなる力を授ける」
「大いなる力?」
「ああ、この世界では手に入らないからな。それでお前を一気に強化する」
「はい!」
「それから鬼神、お前はこの世界に戻って来た鬼神がお前の姉や他の鬼どもと一緒に鍛えるそうだ」
「お姉ちゃんたちもですか?」
「そう書いてあるぞ。で、以上だな」
「分かりました、ありがとうございます」
「おう、それじゃあ俺はお前らが来るまで人間族の国にある迷宮で待っているぞ」
アコ様はそういうと煙のように揺らいで消えてしまった
本当に伝言を伝えに来ただけみたいだね
「お、終わったみたいですの、レコ、もういいみたいですの」
「うん、あ、こんにちは」
「あなた達がレコ様とポコ様ですか?」
「ええ、私が狐神レコよ」
「わしが狸神ポコですの」
可愛らしい狐耳と狐尻尾を持った少女と、狸耳に狸尻尾の少女
どちらも巫女服を着てる
「さて、時は一刻を争います。すぐにあなた達に力をつけてもらいますよ」
「鬼の子、君はわしのところへ来るですの」
「精霊の子は私と」
「「はい」」
二人に指示された通りに僕はレコ様と、ハクラちゃんはポコ様について行った
どこか別の所へ行くのかと思ったらこの広場で少し離れた場所に移動しただけだった
「さて精霊の子、あなたどれくらいエレメントを練れますか?」
「えっと、こんな感じです」
僕は全てのエレメントを混ぜ合わすイメージをして魔力で練った
「うーん、よくできてはいますが、闇のエレメントの混ざりがまだいまいちですね。もう少しだけ量を増してみてくださいな」
「はい!」
レコ様の言う通りに闇のエレメントをもう少しだけ多く加えてみた
すると先ほどとは比べ物にならないほど力が溢れて来るのを感じる
「呑み込みが早いですね。これなら究極魔法をすぐにでも使えるようになるでしょう」
「究極魔法ですか?」
「ええ、精霊魔法を超えた先にある神域に近づいた魔法。そしてその究極魔法を覚えることができたなら、あなたには古代魔法が使えるようになることでしょう」
「古代魔法ですか?」
「古代魔法、それは一世界の者が使うにはあまりにも危険なため封じられた魔法です」
ずーんと顔を暗くして、まるで怖い話でもしているかのように語るレコ様
「それは、怖いですね」
「使い方さえ誤らなければ大丈夫です。それに、あなたは新世代、きっと使いこなし、アコの魔法も受け入れることができるでしょう」
「それって古代魔法よりもすごい力を使えるようになるってことですか? それに新世代って」
「私からはここまでしかお話しできません。アコもそうでしょう。だから、あなたはアコの魔法を受け入れその先に進まねばなりません」
「その先には何があるのですか?」
「強大な敵が今、この世界のみならず全ての世界を消し去ろうと画策しています。かつてないほどの危機、その危機に立ち向かうために生まれたのがあなた達新世代と呼ばれる力を持たざるを得なかった者たち。我々神が不甲斐ないばかりに、あなた達には苦労を掛けます」
「そんな、転生までさせてもらったのに文句何てありませんよ。それに、世界の危機って言うなら、僕だってもっと力をつけた守らなくちゃって思いますもん」
「そう言っていただけるとこちらも気が楽になります、フフ、では続けましょうか」
「はい!」
レコ様の説明は的確で分かりやすい
そのおかげか僕は数時間ほどで究極魔法の制御ができるようになっていた
そして古代魔法への軌跡を掴めた
一方のハクラちゃんはというと、幻術を極めることができたらしく、恐ろしいことに幻術で人を殺せるほどになったらしい
まぁハクラちゃんのことだからそんなことしないだろうけどね
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