白黒 鬼姉妹の冒険21

 カセンコちゃんは若くして仙人になったみたいで、13歳で年齢が止まってる

 これはまぁランちゃんも同じなんだけど、凄いのはカセンコちゃんは神様から直接なるように言われたってところかな

 仙人は人間族の進化だって言われてる

 実はその先に神仙と言うのもあるらしくて、それが人間の最終進化だって聞いたことがある

 もういないけど、かつて有名だった神仙はジョウガ、ソガという女性の神仙で、それ以来神仙になった人はいないらしい

 その二人は既に神界にいるから今は会えないんだよね

「あー、今日も元気にお酒がうまいっちね。さぁて、五人ともわちについてくるっち」

 今日は仙術をより良く操るための授業だ

 うまくなれば空も飛べるはずなんだとか。それは楽しそうだよね

 連れてこられたのはかなり広い闘技場のような場所

 ここではどんな仙術を使おうと壊れることがないから安心なんだって

「さてと、まずは仙力はこめれるっちね?」

 言われた通り、体に仙力を行き渡らせた。それと同時に桃薬果汁を飲みくだす

 すると途端に力がみなぎってきた

「いいっちね。充実してきてるっち。それじゃぁまず先生の仙力の動きを見てるっちよ。目を凝らせばその力の流れが分かるはずだっち」

 カセンコちゃんが左右のくくった髪を揺らしながら闘技場の中央へ走る

 その走り方がトテトテしててかわいい

 中央にスッと立つと手をゆっくり、足をゆっくりと動かし始めた

「これは太極拳と言う拳法の動きをまねたものだっち。これが一番仙術をなじませれるんだっち」

 カセンコちゃんに言われた通りに目を凝らしてその動きをジッと見つめた

 すると気の流れのような力の流れが体の隅々にまでいきわたっているのが分かった

「さぁ、しっかりみるっちよ!」

 視界からカセンコちゃんが消えた

 キョロキョロと周りを探してみると空の上にその姿を見つけた

 恐るべき速さで飛び上がったみたい

 そのまま空中を歩くカセンコちゃん。気持ちよさそう

「これは仙術のほんの一部だっちよ。もっといろいろできるっち」

 また視界から消えた。今度は地面に立っている

 でも今のはそのまま降りたんじゃない。瞬間移動? いや、転移だ

「そうだっち! 神様ほど遠くには移動できないけど、仙術は目に映った範囲ならどこにでも転移できるっち」

 それはすごく便利だね。空も飛びたいけど転移も楽しそう

「今のところ教えられるのはこの二つだっち。大丈夫、全過程が終わったら徐々に教えてあげるっち」

 どうやらこの二つ以外の戦術は結構危険なものが多いらしいので、もっと時間をかける必要があるみたい

「ほれほれ、やってみるっちよ」

 太極拳に近い動きで自分の全身に仙力を充実させてみる

 すると体が熱くなってきた

 燃えるような暑さで少しくらっとしたけど、悪くない気分。いや、むしろどんどん気分が高まってくる

「いいかんじだっち! 呑み込みが早いっちね!」

 次に飛び上がってみた

 ほんのちょっとジャンプしただけなのに、自分でも驚くくらい高く飛び上がった

 そして足の裏から仙力を放出するようにして空中を歩いてみる

 簡単に成功してしまった

「すごいすごい。よくできましたっち!」

 あら、皆できてる!

 今までの経験が生きてきてるのかも

「さぁそこから今度は地面を目標にして転移してみるっちよ」

 今なら何でもできそう。よく地面を見て、集中して

 転移!

 視界の景色が変わって目の前に地面が見えて転んだ

 お姉ちゃんとアカネ以外みんな転んじゃったけど、ちょっと練習すればちゃんと着地もできそう

 カセンコちゃんも手をパチパチと叩いてる

「すごいっちね! 最初でそれだけできるなら上出来だっち!」

 カセンコちゃんはぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでくれてる

 髪がそのたびに上に下に揺れてそれがさらに可愛くて思わず抱きしめたくなっちゃう

「や、やめるっち。何考えてるっちか。わちにそんな趣味はないっちよ」

 また心を読まれたみたい。仙人たちは無意識で心を読んでるみたいだからなるべく変なことは考えないように気をつけようっと

 少し練習した結果、全員があっさりと飛行と転移をマスターした

 これで私たちも、強くなれたのかな?

 さぁ、次チョウカロウおじいちゃんだ

 長い白髭を蓄えた優しそうな仙人

 あ、そうそう、ちなみになんだけど、カセンコちゃんの暗八仙は蓮の花で、幻を見せることができ、果実の成る木にその蓮をかざせば、どれだけ枯れてても実がなるらしい

 便利すぎますよ暗八仙

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