白黒 鬼姉妹の冒険6
私達の修行が終わったのは既に空が白んできたころだった
疲労困憊ながらもなんとかテンセン先生の攻撃を躱しいなし、ギリギリで合格をもらえた
「全く、お話になりませんね。やる気はあるのですか?」
「ハァ、ハァ、当然です。あるに、決まってるじゃ、ないですが」
肩で息をしながら答えたけど
「やる気だけじゃ強くならないですよ。とりあえず、お風呂に入って疲れを癒してきなさい。ここの薬湯は即効性で傷によく効きますから。ちゃんと~、体を休めて~くださいね~」
口調が穏やかに戻った
何この先生、二重人格なのかな?
私はお姉ちゃんと支えあいながらボロボロの体でお風呂へと向かった
本当にギリギリだったけど、先生の攻撃を十回もしのげたなんて自分でも驚きだったよ
だってあの先生目の前にいたと思ったらいきなり後ろに現れたり、たまに空飛んだりでまったく攻撃が読めないんだもん
でも、私たちは成し遂げた
最後の方なんて気配を感じて素早く対処できるようになってたし、少しは成長できたんだと思う
「ハクラ、傷の具合はどう? あらあら、あざになってるじゃない。ほらおいで、お姉ちゃんが洗ってあげるから」
服を脱ぎながらお姉ちゃんは私の体を探る
傷に触れられると痛いけど、お姉ちゃんは優しく撫でるように触っているからそこまでじゃないな
あ、なんでお尻触るの
体を洗いっこして汚れを落とすと薬湯へ肩まで浸かった
傷にしみるけど、浸かったそばから青あざが消えていくのが見えた。すごい効能!
「あ、クロハ様にハクラ様じゃないっすか。聞いてくださいっすよもう!」
アカネも入ってたんだ
それにキキとソウカもいる
三人も修行終わったのかな?
「あのおっさん完全にいかれてるっすよ! 修行とか言って大砲の弾投げてくるんすよ? 何がハハハ、大丈夫、当たっても痛いだけですなっすか! あんなもん死ぬっすよ! ねぇキキ」
キキは大砲の弾が直撃したみたいで気絶したままお風呂に浮かんでた
どうやらアカネが運んだらしい
キキのお腹についた丸いあざも薬湯によって綺麗に治っていくのが見える
「キキちゃんはね~、アカネちゃんを守って直撃しちゃったの~」
なるほど、友達思いのキキらしい
犬猿の仲って言うけど、キキとアカネはお互い認め合ってて仲がいいもんね
「ん、ここ、は?」
キキの目が覚めたみたい
「あ、ハクラ様、それにクロハ様も。修行、大丈夫でしたか?」
「私たちは大丈夫よ。傷もすっかり癒えたし」
お姉ちゃんはキキの体をさすってあげてる
まぁこの中で一番ダメージ負ってるもんね
「ところであなたたちは修行は終わったの?」
「まだっすよ・・・。このあと数時間寝たらまた再開するって言ってたっす。あのいかれたおっさんは!」
コヅチ先生、初めて見たときはそんなに激しそうに見えなかったけど
むしろ優しそうだなって思ってた
「あれでも~、手加減してるんです~よ~」
「うわ! テンセン先生いつの間に!」
気づかなかった。先生が私たちの輪の中にいきなり現れた感じになって心臓が飛び出るかと思ったよ
「最初から~いましたよ~。あなたたちが~キャッキャウフフしながら~、体を~洗いっこしてる~ところも~ばっちり~見てましたし~」
は、恥ずかしい
アカネたちは私たち姉妹がすごく仲がいいのを知ってるけど、こうして他の人に見られると顔が真っ赤になっちゃう
「あら~、のぼせたのですか~? 早く出て~、外にいる先生に~ついて行きなさ~い。お部屋を~用意してるから~、少し寝るといいですよ~。そのあとは~、さっきより激しい修行をやりますから。次は妖術を実戦形式で扱う修行です」
う、また口調が変わって鬼軍曹みたいな顔つきになってる怖い・・・
ちょっと憂鬱な気分になりながらも、妖術を使いこなすために一層気を引き締めた
お風呂から上がって三獣鬼と別れると、用意された部屋へ入った
三獣鬼には別の部屋を用意してくれたみたい
既に布団が敷かれている
お姉ちゃんともぐりこむと、すぐに眠気が襲ってきたので瞼を閉じ、明日へのイメージトレーニングをしながら眠った
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