学園生活24
街を出ると今度は王都とはまったく逆方向への馬車に乗っていた
ラプリアという街に行くための馬車で、そこには水晶の晶穴というたくさんの水晶が採れる洞窟があるらしい
魔物も比較的弱い魔物ばかりだから人気の観光名所らしいのよね
で、水晶を一つだけ持ち帰ることができて、その水晶をアクセサリーとして加工することもできるっぽい
猫とはいえ女の子の私はキラキラした宝石が大好き
しかもここの水晶は不純物の少ない良質なものがよく取れるらしい
自然の神秘を感じつつよりきれいな水晶をいただこうではありませんか
観光客が多いから取りつくされる心配はないのかって?
それは魔法のない世界でならそうなるでしょうね
でもここは剣と魔法の世界、そんな常識はありませんぜ
魔力の多い土地はその魔力が結晶化しやすくて、それが水晶やアメジストなんかになる
しかもその結晶は魔力を溜めておくことができるらしい
もし魔法使いがそれを持っていたとして、魔力をそこにため込んでおいたとする
魔力が枯渇したときそのストックを使って魔法が発動できるようになるんだよね
さらに言うと魔法を使えない人でもそれを使うことで魔法を発動できる
これは画期的だよね。何せ魔力のない人にも使えるんだからね
ここで採れる水晶は他にも生活用のアイテムとして使ったりする
火をおこしたり、水を出したり、魔物に使って追い払ったりとか用途はいろいろだね
「そういえば前はうちでも使ってたね」
「ええ、私が動けてた時は必要なかったけど、病に倒れてからはミナモが使っていたわね」
そっか、そこ頃のミナモちゃんはまだ魔法も習ってなかったから使わざるをえなかったのか
馬車に揺られ、私はお母さんの膝上で寝ながら約数時間
どうやらラプリアについたみたい
その街は副都や王都ほど大きくはないけど十分に大きな街で、活気に満ち溢れてる
それとちょくちょく見るんだけど、小柄な体格に髭もじゃなおじさんたち、彼らってもしかして
「ドワーフさん!? すごい、ドワーフさんだよお母さん!」
「そうよ、ここはドワーフが多い街なの。鉱山が多いからよ」
ふむふむ、まさかこんなところで会ってみたかった種族に会えるとは思わなかった
ドワーフかぁ、前世でのイメージでは某物語のお姫様の取り巻き七人とか、指輪を捨てる物語のイメージが強いかな
気難しいけど勇気があって採掘や細工が得意な小人族、それがドワーフ
髭が素晴らしくかっこいい
「んにゃぁ、おかあしゃん、あたしドワーフさんとお話してみたいにゃ」
「そうねぇ、あ、そこの露店にいるわ、行ってみましょうか」
街の入り口からずらっと並んでいる露店、そこには多様な種族がお店を出していた
人間族はもちろん、獣人やドワーフ、リザードマンや珍しい竜人までいる
あれ?でもエルフが見当たらないね
この世界にもエルフはいるから露店くらい出してそうなんだけど
あ、でも私が今まで見たエルフって先生一人だけだ
エルフってあんまり人里には来ないのかな?
まぁそれは置いておいて、露店のドワーフのおじさんに話しかけてみた
目の細い優しそうなおじさんで、そのおじさんの前にはキラキラと光り輝く金細工がたくさんあった
ネックレスやイヤリング、指輪に腕輪などなど
「いらっしゃい、ここにあるのは全部魔法が付与されているマジックアイテムだよ」
おじさんの説明によると、ここのアイテムは全部自分が採掘から加工、彫金、魔法の付与までした作品なんだとか
それぞれ私の目で見てみると、火無効とか魔力アップとか、筋力増強とかスピードアップとか効果は様々
その中に猫に好かれるっていう効果のある指輪があるのがこの国らしい
「おじしゃん、ドワーフってこの街にはいっぱいいるもんにゃの? 他にドワーフの国ってあるの?」
「なんと、しゃべる猫ちゃんとは珍しいですな。そうじゃのぉ、この街は鉱山が近くに多いからドワーフが自然と集まったんじゃ。ドワーフの国は隣国じゃよ。ラディバラという国じゃな」
「んにゃ、にゃるほど、ありがとうにゃおじしゃん」
「ほほほ、楽しんで行ってくれ」
ここでミナモちゃん用に火耐性の指輪を買って私達は街に宿を取った
この街の人々を見てみると、人間六割、ドワーフ三割、他種族一割ってとこかな?
ドワーフ多いね
それに採掘夫も多いから、採掘用装備を売ってる店もたくさんあった
しかも魔法が付与されてて、土を掘りやすくするスコップなんて物もあったよ
さすが鉱山街だね
明日は水晶の晶穴に行って水晶をもらうんだ
楽しみであります!
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