学園生活23
城では様々なもようしものが開かれていて、メイドレイス達との楽しいゲームやら、他にも彼女たちが作ったお菓子なんかもふるまわれた
こりゃ観光客が増えるわけだ。血まみれだったり手足が無かったり、弓が胸に深々と刺さってたりしてるのに目をつむれば、彼女たちは非常に優秀なメイドさんたちなのだからね
それとエーフィリア王妃様
彼女は絶世の美少女と言っても過言じゃない
血色は無いけどものすごくきれいなレイスなんだ
彼女になら呪われて魂を取られてもいい、なんて言う男たちのなんと多いことか
さすが時期女王として名高かった名君だよ
でもなんか性格はポヤポヤしててちょっと頼りない感じなんだよ彼女
「うふふ~、お客様いっぱいで嬉しいですね~」とニコニコしながら歩き回ってる
メイドさんの話だと元々すごくおっとりとした人で、メイドたちの前では気が抜けていつもあんな感じだったらしい
でも、王位の争いのため自分を殺して民を導いていたそうだ
それが死んでから解放された。だから元々の性格が爆発したのかもしれない
そんな彼女は第一王女に首を絞められて殺された
よっぽど憎かったのか、配下に捕まえさせて自ら手を下したんだ
だから彼女の首には手の痕がくっきりと付いている
「あら~、可愛い猫ちゃんですね~」
「この子はミーニャって言うんです」
「あらあら~、この子も可愛い~」
あ、エーフィリアさんにミナモちゃんが捕まった
「子供は宝です~。私~この城の横に孤児院を建てるんです~。生前叶わなかった夢、子供達に囲まれて暮らしたいって言うのを、死んでから叶えるんです~」
なるほど、そのためにここを観光名所にしてお金をためてるのね
やっぱりすごい人だよ。死んでも誰かのためにって動ける人なんだ
「あれ~?あなた・・・」
なんだろう、エーフィリアさんが私をジッと見てる
「あー!やっぱり! あなたはニャフテス様!」
「いえ違いますにゃ」
「話せるんだもの! やっぱりそうよ!」
「違うって言ってますにゃよ」
また私をじっと見る。そして
「やっぱりそうよ! ニャフテス様に間違いないわ! 私があなた様の魔力を間違えるはずないもの!」
「ちょ、声が大きいのにゃ」
それから私は彼女に連れられて自室に通された
ここは本来観光客にも解放されてないエーフィリアさんだけのプライベートルーム
そこに私達は椅子を用意されて座っている
「さてニャフテス様、あなた様が蘇られたということはやはり、魔王が復活したということなのでしょうか?」
「はえ? 魔王ってもう復活したんかにゃ? 確かに魔物は増えてるっていう噂はよく聞くにゃ」
「え、魔王復活が近いから蘇られたのではないのですか? かつてニャフテス様は魔王を倒すため勇者と力を合わせて」
「いや、それあたしじゃにゃいし。あたしはただの猫だにゃ」
「いいえ、あなたはニャフテス様です。その魔力をニャフテス様とバステト様の加護を授かった私が間違うはずがありませんもの」
はぁ、このお姉さんには何を言っても無駄みたいだ
私はニャフテスじゃないし、勇者と共に歩むような存在でもない
第一にだよ
「勇者様と共に旅立たれたあの雄大な後ろ姿、忘れるはずがございません」
「じゃあその勇者は今どこにいるんにゃ?」
「それは・・・」
この世界に勇者は生まれていない
魔物が増え、モンスターパニックが幾度となく起きているのに、その最初の事件が起きた三十年も前から勇者はいないんだ
だからこそ世界は魔王は復活していないと考えている
私もそうだと思う
でも違和感はあるんだよね。魔物たちはまるでこの世界の人々を疲弊させるためにわざと魔物を小出しにしているんじゃないだろうか?
そんなことを考えているとエーフィリアさんが私を抱え上げた
「ニャフテス様がご心配なのもわかります。しかしながら勇者は必ず生まれます。私達を守ってくださったあの勇者様の意思を受け継ぐ者、その者は必ず・・・。あれ?ニャフテス様、おタマタマがありません・・・」
「あたしはおんにゃの子なんだから当たり前にゃ」
失礼な! 私は女の子だっての
ムスッとしてたらエーフィリアさんが土下座して謝って来た
「も、申し訳ありませんニャフテス様! 以前見た時はその、おタマがあっていらっしゃったので」
「あんまりおんにゃの子がタマタマタマタマ言うもんじゃにゃいと思うにゃ」
「お母さん、タマタマってなーに?」
「ミ、ミナモはまだ知らなくていいのよ」
ほらもうミナモちゃんに変な言葉おぼえさせちゃったじゃない
でもこれでいよいよはっきりしてしまった
私は多分もう間違いなく、ニャフテスの血縁だ
加護までもらってる彼女が言うんだから間違いない
はあ、こりゃまた面倒ごとが舞い込んできそうだよ
でも私は諦めない! 猫としての最高のぐーたらライフを過ごすために、邪魔者は倒す!
魔人も魔王もどんとこいだよ! にゃふんす!
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