学園生活10

 勇者のことについて公爵に聞いてみたけど、彼もやっぱり不思議に思ってたみたい

 いや彼だけじゃない。世界中の人が勇者を探すために尽力してるみたいなんだけど、それでも未だ見つかってない

 それでここ数年、勇者が生まれないってことは魔王ももう復活はしないんじゃないかってことが世間に心頭し始めてるっぽい

 まぁ本当にそうなら全然いいんだけど、このぬぐい切れない不安は何なんだろう?

「ともかく今はまだ勇者についても捜索中なんだ。すまないねミーニャ、君には心配ばかりかけてしまう」

「そんなことにゃいにゃ。あたしも何か分かったらすぐ報告するにゃよ」

「ああ助かるよ」

 ふぅ、公爵は気さくだから緊張はしないけど、やっぱり身分ある人の前では必要以上に身構えちゃうよね

 とにかく伝えれることは伝えたから、あとは野となれ山となれってことで普段の生活に戻ろうっと


 普通の生活に戻った私はそれからも真面目に授業を受けて、たまに魔法が苦手な子達に魔法を先生と一緒に教える

 先生もフェイちゃんを娘としてから前みたいに暗い顔をしなくなってきてる

 うんうんいい傾向

 そして今日は新しい魔法を覚える日で、朝からミナモちゃんはウキウキしていた

 みんな魔力感知と魔力操作という魔法に必要不可欠なものは覚えてるから、初歩の魔法はいろいろ使えるようになってきてる

 だから今日からは中級魔法を習うのだ

 ちなみに私はすでに上級魔法まで使えるのでまだまだ教える側なのだよ

 それとね、今朝起きたら最上級魔法っていうのが加わってたんだけど、これはまだ使ったことないから今度どこかで試してみようと思う

「さて今日から~、皆さんには~、中級の魔法を覚えてもらいます~。本当は二年生からなんだけど~、ミーニャちゃんが一緒に教えてくれるから~思った以上に捗って~、もう中級を覚えれるくらいに成長したと~思うの~」

 先生の柔らかな声は癒されるにゃ~

 んで中級魔法なんだけど、まずはその中でも簡単な水魔法からだね

 初級では水を弾にして撃つウォーターバレットっていう魔法や、アクアヒールっていう応急回復魔法、クリアサークルっていう結界を張る補助魔法なんかを思えた

 中級魔法はそれらの強化版などなどを教えてもらえるみたいだね

 まぁ私は教える側だからミナモちゃんが成長する姿を楽しむんだけどね

 私もう先生でいいんじゃないかな?いやそれは駄目だわ

「それでは~まず水の中級魔法でも比較的簡単な~ウォーターカッターを覚えてもらいます~」

 ウォーターカッターは初級魔法のウォーターバレットよりももちろん攻撃力が高くて、さらには鋭い切れ味を持つ意外と強力な魔法

 鉄くらいなら軽く切れちゃうから、もし魔物が撃って来たりしたら注意が必要だね

「扱いには気を付けるにゃよミニャモちゃん。的だけに狙いを絞って撃つにゃ」

「うん!」

 ミナモちゃんはさすがですぐに扱えるようになってる。人間が進化した種族ゆえの覚えの速さなのかねぇ

 ハイヒューマンって種族はまだまだ謎が多いけど、エルフと同じくらい魔法に優位性があるし、さらに言うと仙力っていうハイヒューマンだけの特殊な力も持ってるらしい

 仙力、要するにハイヒューマンって仙人のことなのかな?

 うーんその辺もおいおい調べておこうかな? 情報はあるにこしたことはないし

「どうミーニャ? 見てた?」

「あ、ごめんにゃ、ちょっとよそ見してたにゃ」

「もう!ちゃんと見ててよ!」

「ごめんごめんにゃ」

 ミナモちゃんはまた魔力を練って見事な円形の水カッターを作り出して的を切り裂いた

「す、すごいにゃミニャモちゃん。切り口も綺麗にゃ」

「やった、ミーニャに褒められちゃった」

 喜ぶミナモちゃん可愛いです

「お、エヴァンスもいい感じにゃね。あとはもう少し水がフルフルするのを抑えるにゃ。そしたら切れ味もよくにゃるはずだにゃ」

「うんやってみる」

 エヴァンスも魔法センスは結構あるみたいで、普通の人間より少し魔力が高いっぽい

 それに彼には剣術の才能もあるみたいだから、将来魔法戦士みたいな戦い方もできるかもね

 うん、夢が広がる

 もし冒険者になるとしたら、あと一人くらい前衛を加えて、エヴァンスくんが中衛、ミナモちゃんが後衛、私がマスコットでいけるかも

 ウヒヒ、そしていずれは大人気冒険者として世界デビューしてグッズなんかも作られて・・・

「ミーニャ、変な顔になってるけど大丈夫?」

「んにゃ、だ、大丈夫だから続けるにゃ」

 危ない危ない、猫なのに顔がにやけてたか

 あれ?私の表情筋豊かすぎ? 猫はもっとクールにクールに。尻尾で感情表現だ

 いやでも感情豊かな猫って言うのもありかな? マスコット的な可愛さを目指すならそれでもいいんじゃない?って気がしてきた

 よし、もっと表情筋を鍛える方向にしようっと

 余計なことを考えている間に私が教えている子たちは皆ウォーターカッターができるようになっていた

 うんうん優秀な生徒たちで先生嬉しいよ

 あ、私も生徒だったわ

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