学園生活5
翌日学園に登校したとき、学園は騒がしくなっていた
何だろうとミナモちゃんと通りがかりの先輩に聞いてみると
「エンディ先生が行方不明なんだ。学園近くにある家にもいないみたいなんだけど、その家に書置きがあったみたいなんだ」
「どんにゃ書置きだにゃ?」
「うーんそれは僕にも分からないから先生に聞いてみてよ」
「はい、ありがとうございました」
どうやら生徒には詳しい内容までは知らされていないみたいだね
私はミナモちゃんの肩に乗って移動しつつ話を聞けそうな先生を探した
キョロキョロと辺りを見ているとシュシュアちゃんが見つかったので、もしかしたらお父さんに何か聞いているかもしれないと話に行ってみた
「あらミナモちゃん、ミーニャちゃん、どうですの?学園生活は。わたくし最近授業で忙しくて、あなた達に会いに行けませんの。はぁ、せっかくお友達になったというのに、残念です」
「んにゃ、じゃあこんどの放課後にでも一緒に街で遊ぶにゃ。シュシュアちゃんが終わるの待ってから下校すればいいのにゃ」
「本当ですか!? それは願ってもないご提案、是非にとも行きましょう!」
そんな約束をしつつシュシュアちゃんに何か知らないか聞いてみた
「エンディ先生のことですね。父に少しだけ聞きましたわ。なんでも書置きには魔王を討伐すると書かれていたようです」
「ま、魔王とにゃ!?」
「ええでもおかしいのです。確かにモンスターパニックなどの魔王出現の兆候はありますが、それもそこまで多いという分けれは無いのです」
「そうにゃの?」
「はい、通年より少しだけ多いくらいですわね。ここ三十年ほどはあまり変わっていませんわ」
「三十年以上前はどうだったんにゃ?」
「そこまではわたくしも・・・。お役に立てず申し訳ありませんわ」
「あ、謝ることはにゃいにゃ。変なこと聞いて悪かったにゃ」
「いえ、でもエンディ先生はどこへ行かれてしまったのでしょう? 魔王は目撃もされていないのですわ。それなのに魔王を討伐など・・・」
確かに変な話だね
先生は一体その話をどこの誰に聞いて、どうしてそれを信じたんだろう?
下手をすれば騙されて攫われた。なんて可能性も浮上するんじゃないかな?
そうだとしたら何のために先生を攫ったかってことになるけど、とにかく分からないことばかりだからどうしようもない
うーん、ここは私がやっぱり行くべきだと思う
先生にはいつもお世話になってるし、ブラッシングなんかもしてもらってるし、ミナモちゃんも私も先生のことが大好きだもん
もし先生の身に危険が迫っているのだとしたら助けない道理はない
私は少し考えた後ミナモちゃんに尋ねた
「ミニャモちゃん、あたしは先生を探しに行こうと思うにゃ。きっと先生は今危険な状態だと思うんにゃ」
「ミーニャがそういうならそうなんだと思う。だから今度は私も一緒に!」
「それは駄目だにゃ」
「なんで!?」
「もしほんとに魔王がいたとしたら、とてもじゃないけどミニャモちゃんを守りにゃがら戦えにゃいと思うにゃ」
それを聞いてミナモちゃんはしゅんとしてしまった
でもこれだけは聞けない。ミナモちゃんは私の一番大切な人だ。魔王がいるかもしれない場所に連れて行けるわけがない
「分かったよミーニャ。でも危険なことだけはやめてね。もし危なくなったら逃げて大人の人に言うの」
「うにゅ!きっと先生を連れて帰るにゃ! ついでに魔王だか何だか知らないけど張り倒してやるにゃ!」
「だから危ないことしちゃ駄目だって!」
「んにゃお、そうだったにゃ」
まあとにかくだよ。ミナモちゃんをシュシュアちゃんに任せて私はこの学園の学園長、つまりシュシュアちゃんのお父さんに断りをしていくことにした
「そうか、いや確かに君が向かうというならば心配はないかもしれんが、どうやってエンディさんを探すんだい?」
「んにゅ、その点は問題にゃいにゃ。あたしには探知というスキルがあるにゃ」
「それは大概の冒険者にも備わっているが? しかしエンディさんの行方は依然として知れないぞ?」
「ンニャハハハ、あたしの探知をそんじょそこらの探知と一緒にしてもらっちゃ困るにゃ!」
「なんと! ではもうエンディさんの行方は掴めたということなのか?」
「それはー、まだだにゃ」
「はぁ、期待させないでくれ」
「すまにゃいにゃ。でも見つけれるはずだにゃ。にゃにせあたしの探知は世界中をカバーできる!はずにゃ」
そうなのだ。私の探知、これがかなりの優れものみたいで、世界中にいる猫の目や耳、鼻をジャックしてありとあらゆる場所の状況を知ることができるのですよ
この世界は猫の神様であるバステト様の管理している世界らしくて、猫の数が人間や亜人種よりもはるかに多いのだ
つまりこの探知(まどろっこしいから猫探知とでも呼ぶか)を駆使すれば発見は容易ってわけなのだよワトソン君
公爵兼学園長に任せてと言って私は猫探知を開始した
「にゅにゅにゅにゅ! 先生の匂いは覚えてるにゃ。花の香りのように可憐な匂いだにゃ。きっと先生の匂いを嗅いでる猫が・・・。いたにゃ! ここから北西に約三十キロほどの距離に先生の匂いを嗅いだにゃんこがいるにゃ!」
「なんとまあ、そんなに早く見つかるものなのかね」
「ニュフフ、褒めてもいいにゃ」
それからその猫ちゃんの記憶をジャックして先生を見ていないかを探った
「にゅ、この子先生をごく間近で見てるにゃよ! 今朝早くに近くの森に入っていったのを見てるにゃよ」
「ここから北西三十キロにある森・・・。フェリバの深緑だ。まずいぞミーニャくん!そこはかつて魔王の生み出した強力な魔物を封じた場所だ。つい最近封印が解けかけているとの報告が上がったので調査に向かわせようと思っていたところなんだ」
「それはかなりまずいかもしれにゃいにゃ。あたしひとっ走り言って来るにゃ!」
「ああ頼んだ! 私も準備出来次第銘ての冒険者を集めて向かう」
「んにゃ!行って来るにゃ!」
私はすぐに学園長室から飛び出すと人間の目では追えないほどの速度で走り出した
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