猫になりました5
目が覚めた。辺りを見渡すとそこはいつも通り私の家で、傍らにはミナモちゃんがスヤスヤ眠ってる
右にはミナモちゃんが寝てて、左にはお母さんが寝てる。私はミナモちゃんの脇辺りに潜り込んで再び眠りについた
朝になり目が覚めると日課の薬草取りのために起きあがって伸びをして、ベッドから飛び降りて薬草の群生地へと走った
相変わらず魔物が多いなここは…
魔物?
何かを忘れている気がする。私は、何か大切なことをしていたはずなんだ
座って考え込んでみたけど思い出せないな
数匹の魔物が同時に襲い掛かってくるのを振り払うと私は薬草を摘んで籠に入れ、街に戻った
街に入るとすぐに私は異変に気付き、周囲の確認を始める
なんで? 何があったの? どうして誰もいないの?
家に戻ってもそこにミナモちゃんとお母さんの姿が無かった
その後も街中駆け回って誰かいないか探したんだけど、どこにも誰の姿も見えなくて、不安で寂しくて私は泣き始めた
「ミ・・・、ミー・・・」
なんだろう? 声がする
「ミーニャ! ミー・・・ニャ!」
この声は、ミナモちゃんの声?
そこで私はようやく目を覚ました
どうやら夢を見ていたみたい。恐ろしい夢だった
かすむ目をクシクシと前足でこすってしっかりと声のした方を見ると、ミナモちゃんが心配そうに私の顔をのぞき込んでいた
「んにゃーん」
「ああミーニャ! よかった、心配したよ!」
ミナモちゃんが私をギュッと抱きしめてくれる
それからミナモちゃんが話を聞かせてくれたよ
魔物たちをすべて殲滅した私は体力の限界で倒れてしまったみたいで、家まで冒険者が運んでくれたらしい
モンスターパニックはなんとか退けることができたんだ
ほっと一息つく私。大好きな街の人達、ミナモちゃん、お母さんが無事でよかったけど、やっぱり犠牲者もたくさん出た
街を守る兵隊さん、冒険者たち、もう少し早く私が出て行ってればと思うと悔やんでしまう
「ミーニャ、ありがとう! あなたのおかげで街は無事だったわ。本当に、よくやったね…」
「にゃふ!」
これからも任せろと私は一鳴きした。その拍子にお腹がクーとなった
「お腹すいたんだね。今街の人達にもらった食料でご飯作るね」
ミナモちゃんが言う街の人達にもらった食料って言うのは、私への感謝が込められたものだった
どうやらモンスターパニックを一匹で沈めてしまったことで、いよいよ私は猫神ニャフテスではないかと騒がれ始めたみたい
うーん、そういうのは望んでない。私は敬れたりするような存在じゃない。吾輩は猫なのだから!
「はいできたよ。たっぷりお食べ」
「にゃむん!」
ミナモちゃんの美味しいご飯が食べれるだけであたしゃ幸せだよぉ
かなりお腹がすいていたので一気に食べ終わって満足にケプッとげっぷをした
その後は街の復興のために来た冒険者の人達を見に出入口門のところへミナモちゃんと向かう
そこには明らかに強いであろうことが分かる女性と、その人と同じくらい強いであろう男性が人道指揮を取っていた
女性はクリーミアさんと呼ばれていて、男性の方はゼンさんと呼ばれていた
冒険者たちの話を聞くに、彼女たちは冒険者の中でも凄腕で、本来はこの街のモンスターパニックを鎮めるために来てくれてたみたいだわ
そんな彼らを遠くから見ていると、ひとりの女性冒険者がこっちに走って来た
「あ! あの時の猫ちゃん!」
「ひっ、誰ですか? ミーニャに何か?」
「あ、ごめんなさいね。私はシア、駆け出し冒険者なんだけど、この街に来てすぐにモンスターパニックに巻き込まれちゃってね。魔物に殺されかけてたんだけど、この子が助けてくれたの!」
ああ、どこかで見たと思ったら、私が疲れて倒れたときに運んでくれた人だ
「そうなんですか! ミーニャすごい!」
「んな!」
「私達の言葉が分かってるみたいね。すごく賢い猫ちゃん」
シアさんは私の耳の後ろを撫でてくれる。気持ちいいにゃー
「ありがとね、えっと、ミーニャちゃん。おかげで私、まだ冒険者を続けれそう。魔物はまだ怖いけれど、ミーニャちゃんに負けてられないわ。それに私良い師匠に出会えたの」
「師匠?」
「うん、ほらあそこで指揮してる人、クリーミアさん。同じ槍使いでね、指導してくれるって。ここの復興が終わったら一緒に王都に行くの!」
「王都ですか!? すごい」
王都? やっぱりそんなとこもあるんだ。一度行ってみたいかも
でもミナモちゃんとは離れたくないから気にしないようにしておこう
「じゃ、私戻るね。ありがとね!」
「はい!」
それからも私に気づいた冒険者たちが声をかけにこっちに来た
イエーイ私人気者! でもあまり崇めて欲しくない。あ、お魚はもらっておくけどね
そして復興が終わり、来てくれてた冒険者たちはそれぞれ帰っていった
あのシアさんもクリーミアさんについて行ったようね
でもその後が私にとって大変だった
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