第1章


ナグシャムについたアルド達。

入り口にてシグレはほーお、と陽気な声をあげた。

シグレ「うーむ、相変わらずナグシャムはなんとも派手で艶やかよのう!イザナののんびりとした空気も良いが、こちらはいつ来ても活気があって良い!」

アルドは辺りを見回す。

シオンもついてきてはいるものの、やはり乗り気ではないようだった。

アルド「何度も来ている所だけど・・・受付はどこなんだろうな?」

リンリー「・・・ん?そこにいるのはアルドか?」

声をかけられた方を見てみると、そこにはお団子頭に赤いチャイナ服の少女が立っていた。

アルド「リンリーじゃないか!相変わらず猫まんじゅうを作ってるのか?」

リンリー「もちろんアル!ナグシャムへようこそアル~。」

リンリーはカンフーポーズをつくってみせた。

どうやら歓迎の意味らしい。

リンリー「この時期にここへ来たということは・・・もしかして、アルド達も剣術大会が目当てアルか?」

アルドはうなずいた。

アルド「ああ、そうなんだよ。その剣術大会ってやっぱりすごいのか?」

リンリー「決まてるアルよ。世界中の剣豪が集まるすごい機会アル!あちこちから人も集まるアルから、露天とかも開かれてすごいお祭り騒ぎになるアル。ワタシも参加するのは初めてネ。今から楽しみアル。」

アルド「へえ、やっぱり来て良かったかもな!」

リンリー「アルド達は見物アル?それとも・・・」

アルド「ああ、もちろん参加するつもりだよ。」

期待通りのアルドの返答に、リンリーは大きくうなずいた。

リンリー「そうこなくちゃアル!期待してるアルよ。」

シグレ「・・・してリンリー殿、その大会に参加するにはどうすれば良いのだ?」

リンリー「詰所に受付があるアルよ、案内するアル!」


場所は変わって、軍の詰所にやってきたアルド達。

一見すると、いつものナグシャムとさほど変わらない様子だった。

リンリー「あの辺アルねー、あそこが受付アル!」

リンリーに案内されるまま、アルド達は受付にいる女性に声をかけた。

アルド「あれ、いつも金点符と景品を交換してくれる場所じゃないか。」

受付「ええ、今は特別に大会の受付として使っているんですよ。ナグシャム剣術大会にお越しの方ですか?」

アルド「ああ、オレ達も出場したくてさ。どうすればいいんだ?」

アルドが確認している間にリンリーが声をかける。

少し急いでいるようだった。

リンリー「アルド、ワタシはいろいろ準備があるアルから先行くネ。ぜひがんばてほしいアル!」

一行を案内し終わって、リンリーは足早に去って行った。

アルドは腕を組む。

アルド「?用事ってなんだろうな?ずいぶん急いでたけど・・・」

シグレがまたも豪快に笑い出した。

シグレ「まあよいではないか!まずは俺たちの登録をするとしよう。」

アルド、シグレが受付を始める。

受付「では、こちらへお名前と出身地をどうぞ!」

アルド「ああ、わかったよ。えーと・・・」

シグレ「お、ならば俺も書くとしよう!はっはっはっ!」

二人が書類に記入し終わると、受付の女性がうなずいた。

受付「はい、バルオキー村のアルドさんと巳の国のシグレさん・・・ですね。これで受付完了です!ご健闘をお祈りします。」

二人が受付を後にすると、少し離れたところでシオンが待っていた。

その様子がシグレはやっぱり面白くないらしい。

シグレ「なんだシオン、おぬしやはり出ないのか?」

シオン「・・・ああ。」

シグレ「つれない奴よ。せっかく己が力量を測る機会であろうに!」

3人が話していると、他にも受付を希望する者が後からやってくる。

その中にいたのは、アルド達もよく知る人物達だった。

アルド「あ、サイラス!アカネも?!」

サイラス「おお、アルド達も来ていたでござるか。」

アカネ「あ、アルド殿!シグレ殿や兄上まで!」

アルド「奇遇だな!やっぱり二人も出るのか?」

サイラス「もちろんでござるよ。拙者の力を試すまたとない機会でござるからな!」

アカネ「自分も兄上に出たいと相談した所、やってみろと言われたのでその通りに来ました!」

アカネの言葉を聞いて、シグレがシオンを見る。

シグレ「・・・シオン。さてはおぬし・・・」

シオン「・・・・・・」

シグレ「全くもって、はじめからそういえばいいものを。相変わらず妙なところに堅物だのう。」

アカネはしばらくぽかんとしていたが、サイラスの後に続いて受付をしようと並んだ。

シグレはまだ何か言いたそうだったが、シオンの様子を見てそれ以上は言わないことにしたようだった。

シグレ「・・・さてアルドよ、これからどうする?」

アルド「そうだな・・・ひとまず出番が来るまで待つか。」

受付「あちらが入場口となっております!準備ができたらお越しください。」

入り口が福楽苑の隣にあることを確認し、アルド達はひとまず詰所を後にする。

アルド達が去った後、受付の女性が書類を見てふと首をかしげた。

受付「あら、この出身地って・・・」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る