嵐と猫を呼ぶ!ナグシャム剣術大会!!
@hisagiame
序章
ガルレア大陸、イザナの街。
ここでアルドとシグレ、シオンの3人が街を歩きながら何かを話していた。
年頃も近い同じ剣士同士ということもあってか、出で立ちは違うもののよく集まって他愛のない話をしたりすることが多いようだ。
今は互いの剣技について話しているらしい。
シグレ「いつ見てもアルドの竜神斬はすごいのう!俺もあんな技を持ちたいものだ。」
アルド「はは、ありがとう。でもシグレだってすごい剣技をたくさん持ってるじゃないか。蒼夜叉とか、3連撃の麒麟烈襲斬とか・・・やっぱりさすが普賢一刀流の跡取りだなって思うよ。」
シグレ「はっはっはっ!なんだか互いに褒め称え合うばかりになってしまっているな!」
シオン「・・・侍たる者、常に驕らず前を向いていなければならぬ。」
アルド「ああ、たしかにそうだな。・・・それにしてもいい天気だな。」
アルドはうーん、と伸びをした。
シグレ「うむ!最近はとんと平和で、まっことそれは喜ばしい限りだが…ゆえに剣の技も鈍ってくるというものよ!アルドもそうは思わんか?」
アルド「まあたしかにそうだけど・・・でもまあ、平和が一番だよな。戦わずに済むならそれが一番いいと思うし。」
シオン「ああ、私もそう思う。・・・シグレ、そなたはもう少し、普賢一刀流次期当主しての自覚を持ってほしいものだ」
シオンの小言にむぅ、とシグレは腕を組む。どこか不満げだった。
シグレ「相変わらず堅いヤツよのう、シオン。そうは言っても、己が腕を試したくなるのも、また漢というものではないか。はっはっはっ!」
いつものように陽気にシグレが笑うのを見て、シオンはため息をついた。
そんな3人の様子を見て、一人の男の子が声をかけてくる。
男の子「ねえ、兄ちゃん達は剣士なの?」
アルド「ん?ああ、そうなるな。シオンとシグレは侍、だよな。」
男の子「わーすげー!かっこいいなー!!」
男の子は3人の回りをぐるぐる回りながらその姿を見て感心していた。
シグレ「はっはっはっ!そんなに見つめられると照れるというものよ!」
シオン「・・・別におぬしのことは見ていないと思うぞ。」
シグレ「む、むぅ・・・」
シグレががっかりしてうつむく。
男の子が話を切り出した。
男の子「ねえ、兄ちゃん達は今までどんな強いヤツと戦ってきたの?」
興味津々、といった男の子の様子にアルドは少しうーんと考える。
アルド「オレ?うーん、そうだなあ・・・あんまりにも色々な事がありすぎて、逆に出てこないかも知れないなあ。そのくらい、たくさんの敵と戦ってきたよ。」
男の子「ますますすっげー!!」
男の子はいよいよ関心が高まってきたようだった。
男の子「じゃあさじゃあさ、世界中の剣豪と戦ったりしたことはある?」
アルド「うーん、そういえばそういうのはなかったな。」
男の子「え!!・・・戦ってみたいとは思わないの?」
シオン「・・・侍は、無益な争いはしないものだ。」
シグレ「うむ、少年なかなか話がわかっておる!この堅物はともかくとして、俺としては、そんな機会があるのなら是非手合わせ願いたいものだといつも思っておるぞ!はっはっはっ!」
シグレの言葉に男の子は身を乗り出してくる。
男の子「やっぱり!なら兄ちゃん達におすすめの場所があるんだよ!兄ちゃん達なら絶対イイトコ行くと思うんだよなー!」
シグレ「む?おすすめの場所??」
アルドもシオンもまるで得心しないようで、ぽかんと男の子を見つめていた。
3人の様子に男の子はいよいよ驚いた様子だった。
男の子「あれ、もしかして本当に知らないの?今度ナグシャムで大きな剣術大会がやるんだって!」
アルド「剣術大会?!初めて聞いたな。」
シオン「・・・・・・・・・・・・・・・」
男の子「なんでも数十年に1回とかしかやらなくて、各地の精鋭達が集まるらしいんだ!」
男の子の話にシグレが特に興味を持ったようだった。
シグレ「ほお、それは面白そうだ!でかしたぞ少年!このシグレにかかれば各地の猛者など瞬く間にバッサバッサと切り倒してくれよう!」
男の子「でしょでしょ?ナグシャムとは普段敵対関係だけど、この時だけはオレ達も遊びに行っていいらしいんだ!兄ちゃん達が出たらオレすっごく応援するからさ!」
シグレ「うむ、いい心がけだ少年!アルドよ、これは行くしかあるまい!」
アルド「そうだな、ひとまず参加資格とかも気になるし・・・考えておくよ。」
男の子「うん!約束だよ!じゃあね!」
そう言うと男の子は走り去っていった。
再び残されるのはアルド、シグレ、シオン。
シグレ「はっはっはっ!いよいよ俺の時代が来たというものよ。もちろん行くだろう、シオン、アルド?」
シオン「・・・私は無益な争いは好まぬ。」
シグレ「むう、相変わらずの強情石頭め!一度言い出すと、全くこちらの話を聞こうとせん。アルドはどうだ?」
アルド「そうだな・・・たしかに腕試し、ってのは興味あるかもな!これからまだまだ強い相手と戦ったりもするだろうから、いい訓練になりそうだし。」
シグレ「おお、さすがアルドは話がわかっておる!どこぞの石頭とは大違いだな!」
シオン「・・・なんとでも言うがいい。」
アルド「まあまあ二人とも。詳しい事はまだよくわからないし、とりあえずナグシャムへみんなで向かってみないか?」
シグレ「うむ!我が剣技をとくと見せつけるときだな!」
こうして一行はナグシャムの地を目指すのだった。
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