第110話 10月11日 2 珠弓誕生会

ちょっとしたバタバタが朝にあったが無事に大学へとやって来た俺。


もちろんというか。朝の電話からして光一が大学には居ないだろうと予想して俺はやってきたのだが、、、。


うん。先ほど見かけた。見かけてしまった。


なんか大慌て?でいつもの友人ABC。を引き連れて走っている姿を見てしまった。まあ俺はバレなかったらしく。今は無事に講義室へと入ったんだがな。


その後はいつも通り普通に講義を2つほど受けて、、、。


昼休み。


「柳先輩。お疲れ様です!」

「ああ、お疲れ」

「、、、」

「珠弓もお疲れ」


俺がテキストや筆記用具の片付けをしていると珠弓と桃園さんがやって来た。もうこの2人が毎日やって来るのは当たり前の光景だな。


「ほい。珠弓。お弁当」

「、、、」


俺がお弁当を渡すと珠弓はぺこりとお辞儀しつつ受け取った。


「いいなー。珠弓ちゃんお昼が毎回届いてー。今日は何入ってますか?誕生日特別バージョンですか?」

「いや、お弁当は普通。昨日の夜に珠弓に晩御飯の時だけで良いって言われたからな」

「えー、珠弓ちゃんもったいない」


と、桃園さんが騒いでいる横で珠弓は普通にお弁当を開いていた。


「、、、」

「あっ、卵焼き今日も美味しそうですね」


と、桃園さんが珠弓のお弁当を見つつ言うと、、、。


「、、、」


そっとお弁当箱を守る姿勢を取った珠弓だった。


ってか最近はよくこうやって桃園さんにもお弁当のチェックをされるため、、、。自然と俺のお弁当スキル上がっている気がする、、、。まあ難しいものは入れてないがな。今日の卵焼き。1つ入らなかった分を試食したが。なかなかいい感じだったし。うん。俺のレベルが上がっているはずだ。


「珠弓ちゃん1つ交換交換」


と、桃園さんは自分の持って来ていたフルーツを珠弓の前に、、、。


そっか。フルーツあってもいいよな。とか思いつつ俺がその姿を見ていると、、、。


「、、、」

「あー、珠弓ちゃんがさらに卵を守りに入ったー」

「、、、」


うん。俺の前では2人が楽しそうにしている。


それから俺の前では卵焼き争奪戦が、、、。ちょっと起こっていたが。まあ珠弓が無事に卵焼きを守っていた。なお、、、。俺の卵焼きが2つほど消えた。何故だ、、、。犯人は、、、。目の前で今食っているのだが、、、。


「うん。柳先輩、これグーです」

「そうりゃどうも」


珠弓からもらえなかった桃園さん。俺の弁当箱から卵焼きを誘拐していった。


まあその卵焼きの分というか。俺のところにはカットフルーツがやって来たがな。

うん。フルーツも美味い。


「あっ、そういえば柳先輩」

「うん?」

「朝?2限の前だったかな。黄金先輩が怪しい動きをして大学内に居ましたよ?」

「あー。まあ気にしなくていいと思うぞ?」

「あっ、その反応は柳先輩何か知ってますね?」

「なんか朝からな。3段のケーキが何やらとか言ってきた」

「3段?」

「3段」

「なんですかそれ?ウエディングケーキみたいな感じですか?」

「全くわからん」

「珠弓ちゃんついに強制結婚?」

「、、、」


と、桃園さんが言いながら珠弓を見ると、、、。うん。珠弓はありえません。というのか。もう光一の話題に関して触れもしませんといった感じだった。


まあとりあえず光一が何かしているということはわかってるので、、、。怖いな。とか思っている俺だった。





お人形さんはお弁当を守り切りました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る