第42話 6月23日 2 続・雨の日
光一を部屋から追い出すのに28分もの時間を要した後。
さきほども言ったが28分はでたらめである。俺のなんとなくそれくらいかかったという時間。
まあ、それはいいだろう。俺は玄関に置いてあるちりとりと、もしもの災害用に以前ホームセンターで見つけた、、、。名前なんだっけ?とりあえずガラス片などを持っても大丈夫。とか書かれていた手袋を出して。リビングへ戻る。
俺がリビングに戻ると、どうやら玄関の方を見ていたららしい珠弓と目が合った。そして目が合うとすぐに珠弓は視線を下にしてしまった。何だろう。今言うべきことではないかもしれないが。怒られて完全に小さくなり反省中の子供が椅子に座っている感じだった。って、一応言っておくが俺怒ってないぞ?
「で、珠弓」
「、、、。はい」
さすがにこういう時はちゃんと返事をするらしい。
「マグカップは投げるな。わかったか?」
「、、、。はい」
どうしよう。今の珠弓写真に撮っておきたいというか、、、。動画撮っておきたいかも。かわいい、、、。いやいや、じゃなくて。
「光一がウザいのはわかっているが。ものは投げるな。もし当たり所が悪いと。珠弓お前捕まるぞ?」
「、、、。はい」
「って、珠弓。そんなに恐怖みたいな表情されると、、、。な。なんかいろいろ言いにくくなるんだが、、、」
現在俺の前で下を向いて「はい」だけ言っている珠弓。ちょっとのぞき込んでみると、、、。めっちゃ怖がっている表情をしていた。俺、そんなに怒るつもりとかなかったんだが、、、。むしろ「よくやった」って、言いそうになって、さっきその言葉を飲み込んだばかりなのだが、、、。でも物を投げる。は、いけないことなので、一応言ったが。こんなに表情に珠弓がなるとは、、、。
「ほら。珠弓とりあえず片付けよう。俺は目に見える破片拾うから。珠弓はまず玄関でスリッパ履いてこい。そして、掃除機かな」
「、、、。はい」
どうしようというくらい元気のない珠弓。反省している。と言えばそうなのかもだが、、、。この雰囲気が続くと、、、。まあ、とりあえず片付けよう。
俺が目に見える破片を手で取っていき片付ける。その後は珠弓に掃除機をかけてもらった。細かく割れているところもあったので、結構時間をかけて掃除をした。まあ、雨降っているし。ちょうどいい時間つぶしと言えば時間つぶしだったかもしれないが、、、。雰囲気がね。珠弓の雰囲気が、、、。
「よし。こんなもんか」
「、、、」
「珠弓。掃除機片付けていいぞ。ガラス片も多分全部掃除機の中からも出したはずだからな」
「、、、」
俺が言うと珠弓は小さく頷いて、掃除機を元あったところに持って行く。にしても、、、。どうしよう。珠弓がめっちゃ暗いんですけど、、、。
そんなことを俺が思っていると、掃除機を置いた珠弓が俺の前までやって来て、
「、、、。ごめんなさい」
小さな声で言いながら、俺の前で頭を下げた。
「珠弓はたまに暴走するからな。前はフォーク?ナイフか。あれ持ちだすし」
「、、、」
小さくピクリと珠弓が反応した気がする。
「暴れるなとは言わない。光一相手していると1か月に1回は抹殺したくなるからな。でもまあ、行動する前に言え。まあ、、、。言え言ったが。珠弓に光一の事で相談されたとして、俺がアドバイスできるようなことは、、、。ないか。あの馬鹿との接点がなくせないから。こんなにも付きまとわられているんだからな。って、俺は何を言っているんだか。まあ珠弓。危険なことはするな。わかったか?」
「、、、。はい」
「じゃ、マグカップ割った暴走少女さんのマグカップでも探しに行くか。で、晩御飯は珠弓の奢りな?」
「、、、」
俺が言うと、珠弓は「へ?」みたいな表情になって俺を見ていた。
「前のマグカップは俺が勝手に買ったやつだからな。珠弓に自分の好きな柄とかのマグカップとかをそのうち選んでもらおうと思っていたから。まあ、雨降っているが、、、。いいだろ。マグカップないと困るだろうしな。あとは光一が使っている来客用くらいだからな」
俺がそういうと珠弓は考えだして、、、。すぐに出かける準備を始めた。どうやら光一が使ったもの。というのもダメらしい。
それから、少し前に暴走していたお人形さんとともに雨が降っていたが。ショッピングモールまで行った。あそこなら店内に入ってしまえば傘はいらないし。ぶらぶらできるからな。
そしてショッピングモールに着いてからはまず珠弓に晩御飯を奢ってもらった。まあ掃除代だな。うん。その後は珠弓と雑貨店をぶらぶらした。そしてマグカップを2つ買いましたとさ。何故かって?珠弓が欲しいと言ったのが2つセットの物しか売ってなかったから。まあ俺も予備であってもいいか。ということで購入。というか珠弓が買った。
そして、、、。翌日からそのマグカップが使われることになったのだが、、、。珠弓よ。もう投げるなよ?とか思っている俺だった。いや、本当に危ないからな?わかっているとは思うが、、、。大丈夫だろうか。
まあ、でも買い物の途中で珠弓がいつも通りになりつつあったので、俺はそれだけで安心しましたとさ。
今日のお人形さんは暴走後しばらく小さくなっていました。
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