第40話 6月20日 2 雨の日

自宅マンションから〇×のバス停までは歩くと約25分ほど。バスの本数が少ない為、、、。まあ歩いて行くしかない。珠弓がバス停に居ると言っていたが。帰ってこないのはバスがないからかと思うのだが、、、。うん。普段あまりバスに乗らない為。バスの本数が少ないことすら俺は忘れていた。


ちなみに、なぜ迎えに来て。だったかというと。


♪♪


「傘が壊れました」


だった。うん。そんな予感はあった。光一に会うまでは慎重にしていたが。あのスピードでは、、、。まあ、どこかで何かは起こるだろうと思っていたが。こんな雨の日にまた外出とは、、、と思いつつ片道25分ほどの道を歩いている俺。


そして、本当はどこかでコンビニないかな。と思っていたのだが、、、。今のところコンビニの看板はない。一応自宅近くのコンビニは覗いてきたのだが。あいにく傘が売り切れで、、、。いや、家に傘が1本しかなかったため。


理由、この前光一に貸した傘が帰ってきていない。そしてその前に貸した傘も帰ってきていない。つまり光一が悪い。とりあえず傘が1本しかないので傘を探しつつだったのだが、、、。先ほどから住宅地に入ってしまったからか。コンビニがない。そしてあまり来ないところなので、、、。どこに何があるかわからない。


そんなことを思いつつ歩いていると。もうすぐ目的地、、、。って。あれ?珠弓じゃないか?


〇×のバス停前に自販機が2つあり。そこには心もとなく屋根がちょっとだけある。って風が吹いているので、多分濡れて居るだろ。


俺はちょっと小走りに珠弓のところへ。


「珠弓」

「、、、」


俺が声をかけると、、、。うん。ずぶ濡れさん。でいいかな?そしてなんか持ち手のところでぽっきり折れた傘を持っている珠弓が安心したような表情でこちらに進んできた。って、雨降ってるから。珠弓さん。濡れてるから関係ないとか。とかじゃなくて、、、。と、思いつつ慌てて傘を差しだす俺。


「、、、。珠弓。何したらそんなにずぶ濡れになるんだよ。風邪引くぞ。そして悪い。光一の馬鹿が傘を返しに来ていないからこれ1本しかなくてな。コンビニでと思ったが、、、。今はまだ買えてない。とりあえず、、、。タオルはあるから拭くか?」


タオルを取り出して珠弓に渡す。って、本当にずぶ濡れ。大丈夫かな、ちょっといろいろ張り付いては行けないところに服が張り付いているので、、、。すぐにでも着替えさせたいのだが、、、。ここ、、、。何かあるか?住宅地は抜けたが。なんもないんだよな、、、。あっ、あるじゃん!


ふと、周りを見てみると家とは反対方向だが。田んぼを挟み100メートルもないところに、よく見かけるチェーン店の服屋さんの看板が、、、。そしてお隣にはチェーン店のドーナツ屋の看板も。ってドーナツは今関係ないか。俺歩いて来て腹減ったらしい。


「珠弓。服買いに行くか」

「、、、」


俺が言うとタオルで顔やらを拭いていた珠弓が「えっ?」という顔をして俺を見た。


それから100メートル弱。珠弓と、、、。これは相合傘とか言うのだろうか。まあ1本しか傘がないから、、、。仕方ない。とりあえず、2人で結構密着した感じで服屋さんまで移動した。


ずぶ濡れの珠弓は、、、。ちょっと恥ずかしそうだったが。幸いというのか。店は空いていて、ぱっと見は2人くらいのおばちゃんが居るだけに見えた。


「珠弓大丈夫だ。珠弓の見た目なら、中高生が派手に遊んでずぶ濡れになった。くらいしか見られないから」

「、、、」


ぺチ。


俺が言うと、優しく珠弓に腕を叩かれた。中高生は、、、。嫌だったらしい。まあ、そんなことはいいとして。さっと珠弓のサイズの服を探して。というかあまりずぶ濡れの方が店内を歩き回る、、、。は、だったので、珠弓に「とりあえずサイズが合えばいいか?」と確認の上。入り口近くにあったワンピースを買ってやった。うん。良かった。偶然珠弓のサイズの物が近くにあって。そして店員さんに訳を話したら。着て帰れるようにしてくれて、さらに濡れた服を入れるのにと、袋までくれた。とっても助かる。そして店内にあったトイレに着替えの服とタオルを持った珠弓が入っていったのが10分ほど前の事。


、、、。出てこない。


もしかして、、、。下着とかも全体的に濡れていたのだろうか、、、。とかちょっと考えていると、、、。


「、、、」

「来た来た。大丈夫か珠弓?」

「、、、」


小さく頷く珠弓。そして、ワンピース姿の珠弓が、、、。何かかわいい。記憶の中では、、、。あまりワンピース姿の珠弓が無かったので、、、。レア。うん。後ちゃんと髪もある程度乾かしていたらしく、いつも通りではないが。ちょっとフワッとした感じになっていた。


でも、このままでは、、、だったので。


「とりあえずとっとと帰るか。さっき調べていたら、ちょうど今からバス停向かったら4時間に1本のバスに乗れそうだからな」

「、、、」


俺が言うと。珠弓は頷いて付いて来てくれた。なお服屋さんで傘は売っていなかったため。また2人で1本という状況。せっかく着替えた珠弓が濡れないように注意をしつつバス停に向かった2人だった。


バスの都合上。俺のお腹は満たされていない。うん。隣にあったんだけどな。珠弓が風邪ひくとだからな。我慢。





今日のお人形さんワンピース姿初披露?でした。 

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