第36話 6月7日 ケーキバイキング

数日前のこと。


「ちゃんと誘ってくれたら考え、、、」

「先輩。ケーキバイキング行きましょう」


多分はじめて間がなく。というか。普通の会話を珠弓とした気がする、、、。のだが。まあ珠弓と会話はそれ以降は続かず。あれ以来は今まで通り挨拶程度に戻った珠弓「いやいや、戻らなくていいから」と、何度も言ったが。頑固というか。珠弓は首をずっと横に振っていた。今どきの女の子本当にわからない。誰か教えてくれ。


そんなこんなでケーキバイキングに行く日になった。現在会場のホテルに珠弓と2人で向かうところ。なお、昨日の夜から珠弓はずっと服とにらめっこしていた。何を着て行こうなのか。たくさん食べるつもりだからそれにあった服を探しているのか。でもまあ、服を選んでいる間の珠弓はとても楽しそうにしていた。あの笑顔写真に撮りたいレベルだった。撮れなかったけど。


そして本日の珠弓の服装は、、、。ふわふわなお人形さんがテーマだろうか?服の名前とかわからないのでとりあえずわかる範囲で説明すると。上は黄色でふわっとしていてリボン?が背中に付いている。そして下はスカート。風に揺れてふわっとした感じがさらに珠弓をかわいく見せる。って、まあ服は全然詳しくない俺この程度しか説明できぬ。というか、わからん。なので、、、。


「今日の珠弓。いつも以上にかわいいな」

「、、、」


くらいしか褒めてやれなかったからか。俺が言ってからしばらく珠弓は何故か下を向いていた。うーん、褒め方間違えたか。とか思っていたが。出発する頃には、、、。うん。なんかいい表情に珠弓はなっていたので、ちょっとホッとしていた俺だった。


ちなみにいつもすぐやってくる。どこにでも現れる光一が今はいない事をすでに確認している。


ケーキバイキングに行くことが決まってから珠弓とはメッセージで、、、。


「黄金先輩には秘密です。知られると大変ですから」とか言われたから。光一には出かけることを話してない。っか、基本無駄なことは光一に話さない。これ大切。


そして現在、光一が居ないのはたまたまなのだが、、、。なんか昨日夕方に俺の家に乗り込んできた時に「明日は仲間と山行くんだよ。珠弓ちゃんも来るだろ?」みたいな事言っていた。ホントすごいよ。光一は。なんでもとりあえず珠弓が来てくれる設定で考えているから。まあ珠弓は無視っていうか。相手にすらしていなかったが。当たり前か。珠弓の頭の中は多分ケーキバイキングだっただろうし。めっちゃ楽しみにしていたみたいだからな。


ちなみに、光一は午前中には出発している。行く時にまだ珠弓を誘っていたが、、、。ドア開けなかったらしばらくして静かになった。


そして、俺と珠弓は午後の部のケーキバイキングに行こうとしていたので、光一に邪魔されることなく。昼前に家を出発出来た。


珠弓と2人で移動中。まあいつも通り会話はなかったが、、、。俺の隣を歩いている珠弓はなんかルンルン。と、でもいうのか。なんかテンション高め?に俺が見る限り見えた。ケーキ本当に好きなんだな珠弓は、と思いつつ俺は珠弓を見ていた。


電車に乗り目的地のホテルに到着。さすがに空いている、、、。とは思っていなかったが。うん。めっちゃ混んでた。そして、びっくりするくらい女性率高め。まあそうか。そうなるか。と今理解した俺だった。


っか、珠弓はめっちゃ周りから見られている。まあかわいいからな。ホント。ちなみに当の本人は受付前に置いてあったケーキの種類?というのか。今日はこのようなケーキを準備しています。みたいに書かれていたメニューとにらめっこしている。結構必死に見ているのでどれを食べるか今考えているみたいだ。変に話しかけるのは、、、。やめておこう。邪魔しちゃわるいからな。


結局珠弓は、俺たちが店員さんに呼ばれるまで、メニューを見ていたので、周りからの視線は完全にスルー。慣れているというか。すごい。むしろ隣に居る俺の方が変な視線を感じて、ずっと落ち着かなかったのだが、、、。まあいいか。


席に案内されると、、、。珠弓の行動スピードが上がった。


珠弓は店員さんの説明が終わるとすぐに、ケーキ探しの旅に出た。早かった。頼むから周り見て歩けよ。珠弓。ぶつかるなよ?とか思っている俺だった。


そして、しばらくして、、、。


「おかえり。珠弓」

「、、、」


めっちゃ満足そうな顔をした珠弓が帰ってきた。鼻歌でも歌っていそうな感じだった。


そしてお皿には、ショートケーキからはじまり。フルーツタルト。ゼリーにミルフィーユなどがてんこ盛り。あっ、マフィンもあるのか。とか思いつつ。珠弓の皿を見ていると、うん。この会場に何があったかなんとなくわかるようなレベルだった。つまりそれだけたくさん珠弓は持ってきたという事。


「珠弓飲み物持ってきてやろうか?」

「、、、。紅茶」

「おー。素直素直」


無言かな。と、思ったらちゃんとお返事があったため。俺はちょっと驚きつつ。いやね、人前はほとんど話さないからって、、、。なるほど。知り合いがいないからか。とか勝手に理解した俺は、ケーキを取りに行く前に飲み物を2人分。取りに行き珠弓の前に置いた。


俺が飲み物を置くと珠弓は手を合わせて、ぺこり。どうやら、俺を待つことなく食べ始める様子。まあお預けはかわいそうだからな。本当は俺が戻って来るのを待っている感じなら「先に食えよ」やらと、言う予定だったのだが。その必要はなかったみたいだ。


珠弓が食べだしたのを横目で見つつ俺もケーキを見に行く。にしても。女性率が高い。男性って、、、。数えれるくらいしか今のところみえないのだが、、、。


まあ、なかなかいい金額を払っているので、俺も周りを気にしないようにぐるっと会場内を回ってみて、、、。


先程、珠弓の皿に乗っていて気になったマフィンからシュークリーム。チョコレートのケーキ。タルトやら。気になったケーキを皿にどんどん取ったら、、、。


「珠弓のこと言えないか」


お皿にケーキやらてんこ盛りで俺も珠弓が美味しそうに食べている席にもどるのだった。





お人形さんはとっても幸せそうでした。 

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