第31話 5月4日 神社
まだ実家でくつろいでいた俺。だがそれも今日まで、今はマンションへと帰る準備をしている。お隣で珠弓に見られながら……うん?なんでこうなったんだ?
珠弓はお人形さんのようにおとなしく。俺の部屋でベッドに腰かけている。
「珠弓。どうしたんだよホント」
「……」
これを聞くのはもう3回目くらいだが。珠弓は……いつも通り無言を貫いていた。まあちょっと気になるのは……珠弓の服装が、部屋着とかではなく……なんかお出かけ用というか。いつもおしゃれだが、今日は……いつも以上にというか……明るいタイプのおしゃれではなく。落ち着いた感じのおしゃれをしている珠弓。
「珠弓。もしかして、連休だし。1日くらいどこか行こうよ。じゃないよな?」
「!!」
すると、とってもわかりやすい反応をしてくれた珠弓。ベットに座っていたはずだがすぐに立ち上がり。俺の横に来た。
「—―当たりかよ。でも珠弓今日は休みの真ん中だし。混んでるぞ?多分」
「……」
すると珠弓は俺の横でスマホを見だした。何してるんだ?とか思いつつ俺は帰る時に持って行く荷物をカバンに押し込んだ。
それと同時くらいに珠弓はスマホの画面を俺の顔の前へ出してきた。
「えっと――神社?って、ここから近いところだよな?正月に初詣とか行く、あー。そういえば今年は行ってないか。正月帰って来たけど、なんやかんやで行ってないか」
♪♪
すると俺のスマホが鳴る。って相手は珠弓。目の前にいるんですが……まあ一応内容を確認すると。
「今年は初詣まだですからせっかくだし行きませんか?神社なら混んでないと思います」
「……いいけど、っか珠弓。メッセージうつのめっちゃ早くない?実は準備してあるとか?」
「……」
「そこはノーコメントか。まあ、お参りくらいならいいか。行くか」
「……」
俺が言うと何回か頷いている珠弓だった。そして出発。だったが――ここは俺たち3人の実家が3つ並んでいるところ……3つ。つまり――。
「弥彦!珠弓ちゃんどこ行くだ?俺も行くわ!」
「……どこ行く?って聞いた次の言葉が行くわ。になるのがおかしいと思うのだが……」
光一の声を聞いて俺が言ったことは……多分光一には届かず。隣でとってもとっても嫌そうにしている珠弓にしか届かなかったと思う。
「珠弓ちゃんと初詣か!めっちゃいいイベントじゃん。よしすぐ行こう!」
なんか光一が仕切る形で歩き出したが……距離が遠い。珠弓と光一の距離がめっちゃ遠い。歩いて10分もすれば着くはずだったのだが……なんやかんやで30分もかかった。原因は――言わなくてもいいよな。
そして、神社くらい静かにしろよ。と俺は思っていたが……。
「珠弓ちゃん!空いてる空いてる!行こう!」
「……」
「……」
光一はどこでもうるさかった……そしてお参りの際「珠弓ちゃんと今年は結婚!」とか口に出してお願いしている方が居ました。もう、馬鹿を通り越して……すごいの方がいいのか。でも俺の隣に居た珠弓は……言わない方がいいな。すごいオーラしているというか。だから光一なんで珠弓のオーラをこんなに悪に変えれるんだよ。お前は。
「珠弓。相手にするな」
「……」
俺が声をかけると、珠弓の悪のオーラはすぐに消えたが、光一が話しかけるとすぐに悪のオーラになる珠弓だった……怖い怖い。
「おっ、おみくじあるじゃん。3人でやってみようぜ」
「まあ、おみくじならするか。珠弓もするか?」
「……」
俺が聞くと普通に頷く珠弓だが――。
「よし。珠弓ちゃんの分は俺が出してやるからな」
「……」
光一が財布を出しながらそんなことを言っていたが。珠弓は完全無視で小さながま口の小銭入れを出して、光一の横を通過。普通に自分で払っておみくじを引いていた。なお、俺も2カ所おみくじの場所があったので光一を無視してお金を払い。おみくじを引いた。
「……小吉か。珠弓はどうだった?」
俺はまあ、真ん中というのか。良くもなく悪くもなくというのか。小吉って良いんだっけ?悪いんだっけ?とか思いつつ隣に来た珠弓に聞いてみた。
「……」
珠弓は引いたおみくじを見せてくれた。って大吉だー。
「さすが珠弓」
「……」
あっ、この珠弓めっちゃ喜んでるわ。ニコニコがちょっと漏れ出ている。そして今は書いてあることを熱心に読んでいた。ちなみに俺のおみくじに書いてあったのは……うん。なんか普通だった。つまり普通に過ごせるという事かな。なんか気になるのは、恋愛ところがの「告白せよ」って書かれているんだが……神様よそんな相手がいないのだが――。
ちなみに、うるさいやつは――。
「マジか!凶!」
どっかの馬鹿が騒いでいたので、そっと距離をとったら珠弓も俺に付いてきた。そして移動してきたところにお守りとかが売っていたのでちょっと見て――うん。学問やらは買おうかな。と、お守り購入。珠弓も1つ買っていた。
そしてお守りを買い終わった頃にまた……。
「いたー!なんで2人で先にお守り見てるんだよ!俺が珠弓ちゃんには買ってあげたのに!で、全部買えばいい?」
「……」
とか、まあ……なんというか。お守りを全部買い?大人買い?というのかそんな人いないだろ。と思っている俺だった。
しばらく馬鹿野郎はうるさかった。まあ光一がいくら騒いでも、珠弓は全く相手にせずだったが。珠弓と2人なら静かにまわれた気がするが――とか思っている俺でした。今度は静かにまわりたいものだ。
今日のお人形さんは大吉を引いていました。
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