第30話 5月2日 実家
世間は大型連休の真っ最中。とか言うのだろうか。5月初め。俺は実家に帰っていた。ちょっと久しぶりに光一の実家にて俺たち3家族が集まって今は夕食会中。
親たちは元気そうで、そしてとても楽しそう。一方子供ゾーンは……。
「珠弓ちゃん。なあ?今からでも問題ない。俺の方で暮らそうって。今決めたら親の同意も簡単に取れるしさ」
「……」
お人形さんがお人形さんが出してはいけないオーラを出している。
「絶対俺といた方が楽しいから。なあ、お試しでもいいから1年くらいお試ししてくれよ」
「……光一よ。1年はお試しとは言わないと思うが」
「弥彦は黙ってろ!」
「……ホントうるさいやつだ」
すると、離れたテーブルから――。
「馬鹿息子!黙ってろー!何度も言うがお前なんかに珠弓ちゃんを任せられるか!馬鹿みたいに大金払って店貸し切ったり。どこに行ったら1回でタクシー代が20万円もするんだよ!」
「だから!珠弓ちゃんを探しに行っただけだよ!説明しただろ?」
「20万も使う馬鹿がいるか!」
光一の親と光一のバトルが始まると。珠弓は解放されたではないが。料理を食べていた俺の方に自分の椅子を少し寄せて、珠弓も料理を食べだした。
なんかその様子を見て。珠弓の親と俺の親がニヤニヤしている気がしたが……気のせいだろう。見たら負けな気がした。
「珠弓。なんか近くないか?」
「……」
まあ、珠弓に聞いたところでこちらを見てはしてくれたが、いつも通り安定で無言だった。
「でさ!珠弓ちゃん!」
まあ、数分で光一が寄って来たからうるさくなったので……珠弓の怒りが――ピークに達した様子。って、珠弓はスマホを出して……何かしている。
それを見た光一は。
「そうだよ、珠弓ちゃんまず連絡先連。絡先交換!忘れてたー。連絡先が分かればいつでも駆け付けるじゃないか。GPSとか使えばよー」
「光一。犯罪のにおいしかしないんだが」
「珠弓ちゃんの安全のためには必要だろ?っかなんで弥彦は珠弓ちゃんの連絡先知ってて俺は知らないんだよ!珠弓ちゃん!」
すると珠弓は……なんか頷きながら。スマホ見ていて――。
♪♪~
珠弓のスマホに電話がかかって来た。そして光一が目の前で騒いでいるが。それは完全無視の珠弓は通話のボタンを押した。俺は隣に居たため何をしているかすぐに分かったが。珠弓は現在テレビ電話をはじめた。
「ヤッホー!珠弓ちゃん!久しぶり!」
するとここに居ない人の声に気が付いた珠弓母が俺たちの方に寄って来た。
「あら?もしかして珠弓のお友達?」
「……」
珠弓は母親が近づいてくると画面が母親にも見えるようにした。
「あっ、はじめまして。桃園桃花と言います!」
「あらあらー、どうも珠弓の母です」
珠弓の母が桃園さんと話し出すと……というか電話の相手の名前が聞こえたあたりから、、、。
「やべっ。桃園かよ……ヤバイ」
光一はそう言いながらそっと距離をとっていた。もしかして珠弓の狙いはこれ?とか思いつつ俺邪魔かな?と思って席を立つと俺のところに珠弓母が座り。いつの間にか珠弓父まで後ろに居た。
珠弓の親。うん、めっちゃ嬉しそうに桃園さんと話しています。そうだよな。珠弓が同性の友達といるの俺ですら見たことなかったんだから……うんうん。
とか思いつつ。俺は親にまた期限が切れそうなものはないかと今のうちに聞いておくことにした。今聞いておけば早めに荷物に入れれるのでね。食料大切っと。
まあ、その話を親としていて、ちょっと気になったのは「いつ式はあげるんだ?」「今どうなってるんだ?」とか意味の分からないことを聞いてきたので適当に流しておいた。
何を言っているんだか。俺の親は。
そして少しすると。珠弓の父が大人ゾーンのテーブルに戻ってきて話しかけてきた。
「弥彦くん」
「あっ、はい?」
「なんとお礼を言ったらいいか。珠弓があんなに変わるなんて」
「そんなに……変わりましたか?静かなままな気がしますが――」
「いやいや、あんなにキラキラしている娘を見るのは久しぶりだよ。これからもずっと気にしてやってくれ」
「あ、はい」
「困ったことがあったら遠慮なく聞いてくれ」
「あっ、じゃあ」
「なんだい?」
「珠弓はなんであんなに静かになっちゃったんですかね?」
「まあ、かわいいから許してたら。これが結果さ」
なんかめっちゃいい笑顔で珠弓の父が言ったが……それって甘やかした結果。静かな子になったというか。話さずにこんなに大きくなっちゃったという事でしょうか?なんかわかっていたが。改めて聞くとびっくりなのですが……。
「……大丈夫かなー」
珠弓の方を見る俺。珠弓の方は、珠弓が話しているということはなく。母だけが延々と桃園さんと話していた。
それからしばらく。珠弓のところの電話も終わり。食事会もそろそろ終わりそうなのだが……桃園さんとの電話が終わった瞬間からまた光一が珠弓にアタックしだしたため……。
「……」
「珠弓。盾にするなよ」
「……」
俺は盾にされていた。そして周りの観客。親は……なんか盛り上げているというか。お酒が回ったというか――何騒いでるんだよ。この状況で。
「……帰ろう」
俺が歩き出すと珠弓は……逃がすまいというのか俺の服を引っ張る。いやいや前も言ったけど、俺は珠弓ほど服を持ってないから引っ張らないで。お願い。ちょっと。珠弓さん?
そんなやりとりのち。何とか俺は実家の自室に戻った。
♪♪
寝ころんですぐ。俺のスマホが鳴った。珠弓かと思ったら違った。
「弥彦!珠弓ちゃんのアドレス。連絡先教えてくれ!!」
メッセージを見た瞬間俺はスマホの電源を切った。
今日のお人形さんは親にお友達の紹介をしていました。
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