第23話 4月23日 留守

現在、俺の部屋はうるさい。今日は講義が午後からなので家で昼飯を食べていたのだが……。


「なあ、弥彦。お前心配じゃないのか?」

「……」

「珠弓ちゃんが2日も居ないんだぞ?」

「……」

「俺は絶対無理だ。彼女と2日も会えないとかな」

「……」

「今からでも迎えに行った方がいいんじゃないか?なあ弥彦。ってこの中華丼めっちゃ美味いな!」

「……おい、お前は何をしに来て、俺に昼ご飯を作らせて普通に食っているんだ?」

「もちろん、珠弓ちゃんを早く迎えに行ってくれと頼みに来たついでに昼飯もらっているだけだが?」

「やっぱり、お前とは会話不成立だよ」

「っか、あの桃園とかいうやつ、本当に危険だって。マジで警察呼ばれたしよ」

「それはお前が悪い」

「いやいや、弥彦は知らないだろうが。俺は珠弓ちゃんを待っていただけだ」

「事情は知らんが100%お前が悪い」

「なんでだよ!ガチで大変だったんだからな。桃園に追いかけられるわ、気が付いたら警察来てるわ」

「なんで捕まってないか不思議だよ」

「っかそんなことはどうでもいいから」

「どうでもいいのかよ。反省しろ反省」

「拒否」

「……はぁ……うるさい」

「っか今日の晩飯は唐揚げが食いたいな」

「ここはレストランか!」

「だろ?」

「違うわ!お得意の出前でも頼め!」

「注文が面倒だからな」

「知るか!!」

「っかそれより。早く珠弓ちゃん連れ戻してくれー」

「コロコロ話を変える奴だな。っかそんなに会いたいなら言って来いよ」

「無理だ、桃園が危険すぎる」

「光一をここまで警戒させた桃園さんに拍手」


現在の状況を説明しよう。

俺の部屋。午後大学へ行く前に家で昼ご飯を食べていた。そこになぜか光一が居る。そして珠弓は留守。である。


珠弓が留守というのは大学に行っている。と言えば行っているのだが。今日は帰ってこない。理由は、俺たちの行っている大学は入学してから少しすると。オリエンテーションとか言うのか。お友達作りとでもいうのか。まあやっている理由は知らないが。1泊2日の宿泊研修?の方がしっくりくるか。うん。そうしよう。宿泊研修と言っておこう。それがある。


大学へ行きそこからはバスで旅館かホテルへ。そしてあれは先輩か。実行委員みたいな人たちがいろいろな企画をやってくれて、それを新入生が行う。でいいのか。ってやっぱり友達作りと見た。まあそんなことがある。必須ではないが。まあ基本参加みたいな感じになっている。去年は俺と光一も参加して、なんかまあいろいろ企画があって。夜はちょっとリッチな感じのご飯が出てきて。その後は自由時間。まあいろいろなところで、初めて会う人とちょっと話したりできるみたいな。まあなんやかんやで、あっという間に終わった気がする。主に今俺の目の前で、人に昼ごはんを作らせてきた奴が大盛り上がり。夜はバカ騒ぎして、でもそれに男子のグループ女子のグループがいい感じに混ざったので――まあそれなりに楽しくしていたらしい。俺は……面倒なことが起きる前にそっと1人ロビーにくつろぎに行った。ちなみに翌日は場所を移動してその土地の産業かなんか見てまわって帰って来たか。そんな感じだったと思う。


そして、光一が騒いでいるのは。それに珠弓が参加して留守だから。っていいことじゃないか。本当は珠弓行かない。というのではないだろうかと思っていたが。桃園さんが必死に誘ってくれたので、結局珠弓が折れる形で「2日間留守にします」とメッセージで行くことを報告してきた。その時桃園さんが、何か言おうとしていたが……すぐに珠弓に近くにあったパンを口に押し込まれていたっけ?ホントどんどん仲良くなる2人だ。


「おい、弥彦聞いてるか?」

「聞いてない」

「聞けよ。早く珠弓ちゃん迎えに行ってくれよ」

「いやだよ。っかもう大学行くから早く食って出てけ、ってお前も講義あるだろ?」

「珠弓ちゃんが居ない大学に行く気がしない」

「知るか」

「っか光一、ちょっと珠弓ちゃんの部屋見れないか?」

「そこの変態今すぐ出てけ」

「なんでだよ、お前も男だろ?気になるだろ?本人留守なんだから。っか珠弓ちゃんの部屋ってどこ?」


変態馬鹿野郎はいまいちこの部屋での俺と珠弓の生活を知らないらしい。まあそれは良いことだ。俺はとりあえずうるさい光一を家の外へと追いやった。


「じゃ、俺は大学行くから」


そして、光一はほっておいて俺は午後からの講義に向けて家を出発した。いや、にしても数時間だったがめっちゃ疲れた。





今日のお人形さんは留守です。 

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