第15話 3月31日 準備
光一がお隣にいるから賑やか過ぎる春休みが続いていた。けれど、それもそろそろ終わり。今日は俺と光一が大学に居た。
在校生のオリエンテーション。2年次の説明会みたいなものに来ていた。って俺たちの大学は紙でいろいろ配りすぎ。どんだけ紙使うんだよ。
ってレベルだった。束だよ束。これ地球環境的には……エコじゃない気がするんだが……どうなんだろうか。詳しくは知らないが。適度に使わないといけないとかあるのか?紙も。わからんが。なんか割りばしは使った方が良いみたいなことを聞いたことがあるような無いような……まあとりあえず、紙の資料は多いと大変。後、隣がうるさくて大変。
「弥彦―。なんで珠弓ちゃん俺と会うと逃げるんだよー」
「それはお前の行動がもう珠弓には恐怖だから」
「怖がるほど俺の事が好きとかやばいな珠弓ちゃん」
「……お前の頭がやばいよ。っか、なんで俺はお前の分まで資料をもらってないといけなかったんだよ」
光一はオリエンテーションに半時間ほど遅れてやってきた。ちなみにオリエンテーション開始直前にメッセージが来て。
「悪い弥彦。俺の分まとめといてくれ」
とか意味の分からないメッセージが来た。本当は無視する予定だったが。まあ貸しを作るのも悪くないかと。真面目に資料を2人分もらっていた俺。
「いや、ちょっと集まりがあってな。今度キャンプの話があってよ」
「……そんな話後でしろよ」
「いやいや、今しかできないこと楽しまないとだろ」
何だろう。どうしてこんなに会話が成立しないのだろうか。
それから少しして、オリエンテーションも終わった。俺は帰るだけなのだが、、、。なんか捕まっていた。光一に。
「ってわけで、珠弓ちゃんと会いたい俺の友達」
「うん。俺を使うな」
光一が「ちょっと弥彦と話したい人が居る」とか言うから付いて来てやったら。食堂のテーブルに集まっていたのは……ちょくちょく光一と一緒に居るのを見る……まあ光一のお友達さんたちだった。そういえばこの前どこかでも会ったような……まあ、それはいいとして。俺が呼ばれた理由は「珠弓ちゃんとお友達になりたいから紹介をしてほしいと」うん。待て待て、まず俺は君たちが誰かも知らない。このままだと光一の友人ABC……みたいになるぞ?だって俺は光一とよく一緒に居る奴くらいしかわかってないし。っかやばいな。光一と一緒に居るということは考えが同じようなお方が集まっているということだと思うので……。
「お願いしやす」
「お近づきに」
「……さらに頭痛がしてきた……」
「まあまあ、弥彦。頼むって。俺じゃ珠弓ちゃん恥ずかしがって逃げちゃうからさ」
「お前から俺は逃げたいよ」
「お願いしやす」
「いやいや、だから俺に言われてもな」
「弥彦大丈夫だって、珠弓ちゃんは俺の彼女ってちゃんと話してあるから」
「嘘を平然と言わない」
俺が光一にそう言うと。
「おい、黄金……どういうことだ?あのかわいい子。お前の彼女じゃないのか?」
「いやいや彼女だからな?未来の」
「「未来!?」」
なんか、認識の違いがあったらしく。話し合いが始まったので、俺はそっとその場を離れることにした。っかさ、光一の友人たちよ。本当に光一の彼女なら俺なんかを経由する必要なく。珠弓は彼女だ。とか光一が呼び出しているのではないだろうか。彼氏なのに彼女を呼び出せなくて、友人を使うというのは……まあなんかややこしい感じだからいいか。
変なのに一瞬絡まれたが無事に帰って来た俺。
「ただいま」
そういえば去年はこんな感じに家に帰って来る未来があるとか思っていなかったな。とかふと思った。いや、帰ってきて「ただいま」をいう相手が居るとはね。って返事は返ってこないが。
「珠弓?」
俺はリビングに行ってみると……うん。誰も居ない。が。飲みかけのマグカップがあるので……トイレか?とか思いつつ。とりあえず荷物があるので寝室で片付けることに。ホントなんでこんなにプリントが……紙の山なのだろうか。そんなことを思いつつ。寝室に入ると。
「……珠弓?」
ドアを開けると、気持ちよさそうにベッドでおやすみ中の珠弓が居た。どうやらスマホで何かしていて横になったらそのまま気持ちよくなって寝てしまった様子。って珠弓さん。そこ俺のベッド。
「……静かだったから。リラックスしたのかね」
俺は静かに荷物を置いた。なんか子猫みたいに寝ている珠弓をどうするべきか。と思ったが……かわいいし。気持ちよさそうにしているから。しばらくそのままにしておくことにした。っかなんで俺のベッドで寝ているのだろうか……。
俺は静かに片付けを終えてから……。
「珠弓」
声をかけてみる。すると、ゆっくり目が開いた。反応はよろしいことで。そして珠弓はゆっくり起き上がり背伸びをした。すべての仕草が可愛いのですが……どうしましょうか。
そして俺と目が合う。すると「あれ?」っという顔をした珠弓。そして周りをキョロキョロして……あっ顔が赤くなってきた……どんどん赤くなってきた。
そして珠弓はベッドから飛び降りて、俺の横でワタワタしている。かわいい。ってどうしたのだろうか?
「珠弓どうした?」
俺が聞くと珠弓は恥ずかしそうにこちらを見てから……ぺこりと頭を下げて。俺のベッドの上にあった自分のスマホを回収。のちに自分のスペース。仕切りの向こうに高速移動した。早かった。移動がめっちゃ早かった。
それから少しして。
♪♪
「ごめんなさい。勝手に先輩のベッド使いました」
そんなメッセージが来た。結局しばらく恥ずかしそうにしていた珠弓。でもなんか、これはこれでレアな珠弓だったので。しばらく俺は何も言わず。珠弓を見ていたら……「見すぎですよ」とメッセージで言われた。
まあ、なんかわからないが。恥ずかしがっている珠弓を午後はずっと見ていた気がする。平和だ。大学は平和じゃなかったが。これからどうなるんだろうな……。
あっ、明日は珠弓。入学式じゃん。と俺は思い出し。
「珠弓明日の準備してあるか?」
俺がそう言うと「あっ」という顔をした珠弓は寝室にトタトタ移動していった。ホント何してもかわいいお人形さんだった。
今日のお人形さんは恥ずかしがっていました。
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