第14話 3月28日 2 大学
俺が昼ご飯の準備している間。珠弓は片付けや着替えをしていた様子。俺が声をかけるまでは寝室から出てこなかった。
「珠弓。もうすぐできるからな」
俺が寝室の方に声をかける。まあ返事はないが。ちゃんと聞いているだろう。とか思っていたら。珠弓が私服に着替えて出てきた。落ち着いたというのか。息切れはなくなっていた。
「いただきます」
「……」
俺に合わせるように、珠弓は手を合わせてぺこりと頭を下げる。食事中は基本静かだった。
そして食べ終えてから片付けのち。珠弓はトコトコと寝室へ。そしてスマホを持ってきた。どうやら今からお話が始まるようだ。
♪♪
俺のスマホがすぐに鳴る。スマホを確認してみると。まあ、うん。目の前のお方からだった。
「ストーカーです。急に絡まれました。警察に行きます。トイレの前まで追いかけてきました。他の方に迷惑です。だから警察に行きます」
「ぷっ……くくくっ。あー、悪い悪い。いやな。うん。なんか大変だったのはすぐに分かった」
メッセージ画面なので文字を読むだけだが、うん。なんか面白かった。光一はすごいよ。こんなお人形さんの雰囲気を一気変えるから。珠弓には悪いんだけど、なんか想像したら面白くて、、、。
♪♪
すると俺が笑っている間に次のメッセージが送られてきた。
「困ってるんです」
「悪い。だよな。でもまあ、あいつはな……珠弓やっぱりびしっと声に出して言わないとだと思うぞ?」
♪♪
「困ります」
「俺が困るわ。って……珠弓。近い」
気が付くと珠弓は俺の目の前に立っている。1歩近づいたらぶつかる距離まで近くに来ていた」
♪♪
「何とかしてください」
「ってなぁ……光一だからな。馬鹿野郎だからな。多分毎日来るぞ。うん。間違いなく」
♪♪
「私は嫌いです」
「ははは……まあそれを言ってやれば……ちょっと変わるかもしれないが……って読んでるだけなのに今俺が結構ぐさりと来たな」
珠弓から送られてくるメッセージを俺は頭の中で勝手に珠弓が言っているように変換する……うん「嫌い」と珠弓に言われた俺寝込むかもしれない。それくらい効果は抜群だった。俺には。
♪♪
「先輩の事は好きですよ?」
「……」
あっ駄目だ。メッセージ読んだら頭がフリーズした。こんなかわいいお人形さんに好き言われたら、そりゃ勘違いするわ。珠弓よ。簡単に使うなよ?俺が揺れる。
「コホン。えっとだ。まあ珠弓。光一には今の珠弓の気持ちは伝わってないから、本当に嫌ならちゃんと言うことをおすすめするよ。っか、うちに一緒に住むとかにならなければ、この問題は起こらなかった気がするんだが……」
♪♪
「……頑張ります」
「おっ、言う気になったか?」
♪♪
「しばらくは先輩に守ってもらいます」
「はい?」
スマホの画面から珠弓を見ると……なんかちょっと照れている珠弓が俺の目の前にいる。っか俺たち部屋の中で、なんでこんなに近い距離でスマホでやり取りしてるんだよ。あっ、俺はちゃんと話してるからな。珠弓だけだぞ?スマホ使っているのは。
するとそこに……。
ピンポンピンポンピンポン。
「……早いなあいつ」
俺が言うと珠弓も誰が来たかは分かったみたいで、近くに居るのにさらに俺に寄って来た、いやいや、珠弓よ触れ合ってますから。
ピンポンピンポンピンポン。
「弥彦ー。珠弓ちゃんが消えた!!弥彦ー!!」
「あいつ、珠弓が消えたと思ってたか」
とりあえず、俺は玄関に移動。珠弓は……「シー」というのだろうか。口の前に人差し指を当てて、そのまま寝室に入っていった。ちょっと待って、今の珠弓の姿を写真に残したかった。めっちゃレアじゃね?ってそんなことじゃなくて。えっと、寝室に珠弓が入ったということは……留守って話せってことかな。うん。理解した。それから俺は玄関にあった珠弓の靴を下駄箱に入れてからドアを開ける。
「うるさいな。どうした光一」
ドアを開けると馬鹿野郎が乗り込んできた。こいつも全速力で走って来たらしい。元気だなみんな。
「弥彦!トイレに居たはずの珠弓ちゃんが居なくなった!後ケーキ今日は入荷無しとか言われた!どういうことだ!?」
何だろう。世界のおわりみたいな顔している光一が目の前にいる。
「……お前から逃げたんじゃないか?」
「帰ってないのか?帰ってないのか!?俺の珠弓ちゃんは!」
「うるさい。見ての通りだ」
「やべーーー!!誘拐じゃないか!?おい弥彦。なんでそんなに普通の態度なんだよ!焦れよ。珠弓ちゃんが居ないんだぞ?」
「いや、もう大学生になるんだぞ?どこかで買い物してるかもしれないし」
「そんなわけあるか!?スーツだぞ?あの珠弓ちゃんがスーツで居ること自体が遺産みたいなものなんだぞ!?」
「ごめんちょっと意味がわからない」
「とにかくだ。スーツの珠弓ちゃんが町をうろつくわけがないだろ」
♪♪
すると俺のスマホが鳴った。確認すると。珠弓からだった。
「おい、光一」
「なんだよ。人が話している時にスマホ見て」
「珠弓から」
「ちょっと待て!?珠弓ちゃんの連絡先をお前は知っているのか!?」
そこかよ。とか俺は思いつつ……。
「『今必要な物買うためにお店に居ます。帰りが遅くなってすみません』だとよ」
「なんだと!?っか珠弓ちゃんの連絡先教えてくれて!?」
「無理。本人に頼め。っか絶対教えないと思うが」
「っか。待て。珠弓ちゃん1人で出歩いてるんだろ?やばいだろ。彼氏の俺がそばに居ないと」
「お前彼氏じゃないだろ?」
「未来の彼氏だから問題ない」
「……問題あるだろ」
「とりあえず探してくるわ。じゃ!」
「は?」
バン。
それだけ言うと光一は……飛び出していった。うん。馬鹿の考えることは俺には理解できなかった。あいつ。どこ行ったんだろうか。
光一が居なくなったので俺は寝室に行ってみると、珠弓はベットに座りスマホを見ていた。そして俺と目が合うと何度か頷きながらグー。とこちらにしてきた。つまり「うまくやったでしょ?」という事だろうか。
「まあ、わかると思うが光一はどっか行った」
それを言うと、嬉しそうに珠弓が俺の方に来た。
「ありがと」
「……今日はよく話してくれるな」
「あっ」
「いい感じじゃん」
「……」
「すぐ黙らない」
「……」
「おい」
どうやら珠弓は嬉しいとき?はよく話すらしい。まあ、場合によっては話さないかもしれないが。っか光一が居なくなったのがそんなにうれしかったんだな。珠弓よ。
「にしても、馬鹿の相手は疲れた。っか珠弓。本当に嫌なら嫌を言えよ。あいつ馬鹿だから1回じゃ理解しないと思うが」
俺がそう言うと、難しそうな顔をしつつ。珠弓は頷いていた。
その日の夕方。光一から「珠弓ちゃん見つからないぞ!?ガチでヤバいぞ!?マジで誘拐だろ」とか言う感じの電話があったので俺は「もう帰って来たぞ」だけ言っておいた。
今日のお人形さんはよく話してくれました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます