第7話 3月2日 卒業式後
あれから数日後。昨日、珠弓は高校の卒業式に出ていた。俺はなんかその日に呼ばれたが。まあ式に入るのは……ちょっとだったので「じゃ卒業式終わったら飯でも食いに行くか」とメールに返事をしたら「はい」と返事がきたので、昨日は1日空けておいた。まあ普段から予定は少ないのでよく空いているが。
そして昨日の事。
卒業式が終わると珠弓からすぐに連絡がきたので俺は家から出た。すると早くも家の前には珠弓が居た。こいつ移動スピードは速いな。ホント。っか珠弓の高校の制服姿。うん。ヤバイな。久しぶりに見たが。やっぱりめっちゃかわいい。さすが高校でもお人形さん。なんだろう珠弓のまわりのオーラが癒し。珠弓のまわりだけ雰囲気が違う気がした。珠弓と制服がセットはなかなかの最強と再確認した。
「……あっ、えっと、とりあえず行くか」
「……」
俺が言うと、いつものように無言だが。ちゃんと頷いてから付いてくる珠弓。食事に行くと決まってからどこに行くかとか一応俺も考えていたが。珠弓が普段どのようなところに行くのかが全くわからなかったので、昨日の時点で珠弓に連絡して。「珠弓は行きたい店あるか?」と聞いたらしばらくして「駅前にあるカフェに行きたい」と返事が来たので俺はそのあと場所やらを調べた。ネットで見ると落ち着いた感じで、店内にはたくさんの本がある店だった。
そして現在そのお店に向かい珠弓と移動中。
「珠弓は行ったことある店なのか?」
「……」
俺が聞くと珠弓は横に首を振っていた。
「じゃ……初めてか。行きたかったのか?」
「……」
頷く珠弓。
そんなやりとりをしているとお店に到着。確かに落ち着いた雰囲気のお店で店内は本がたくさんあった。静かなお店だから確かに珠弓は好きそうだ。とか思いながら店員さんに案内された席に座る。
「まあ、卒業祝いだから好きなやつを今日は食っていいぞ」
「……」
俺が言うと数回頷く珠弓。そして早速メニューを見ている。っか、めっちゃ嬉しそうにしている気がした。まあ俺が勝手に気がしただけだが。なんかそんな感じに見える。
しばらく珠弓はメニューとにらめっこ。
にらめっこの結果。珠弓はビーフシチュー。俺はなんか気になったお店おすすめと書かれていたハンバーガーがあったのでそれにした。
しばらく特に会話とかなく待つ。まあ珠弓がメニュー見ていたからな。そしてしばらく待つと。ビーフシチューが来て。俺の前にも……。
「でかっ」
「……」
珠弓もびっくりだったのかこちらの皿をジーっと見ていた。
皿に乗ったなかなかの大きさのハンバーガーはナイフとフォークが付いてきたので手で持って食べるではないみたいだ。中には肉とたくさんのレタス。あとトマト。とよくあるハンバーガーと言えばハンバーガーだが。でかい。まあ早速一口食べると……美味いじゃん。っかソースが美味い。これはただでかいだけではなくなかなか良い味だった。食べ応えもあるし。いいお店かもしれない。覚えておこう。
すると、なんか……目の前から視線があった。前を見てみると……めっちゃ珠弓に見られている。
「どうした?珠弓」
「……」
「……」
「……」
「って、まあ俺が黙ったら無言が続くよな」
「……」
「……ホント。無言を貫くな珠弓よ」
と言いながら俺は気がついた。珠弓はハンバーガーを見ていることに。
「もしかして……ハンバーガー。一口食べたいのか?珠弓」
「……」
俺が聞くと2回ほど頷いた。まあ、あげない。やらとケチることはしないので、俺は普通にナイフとフォークを珠弓に渡す。珠弓は受け取ると小さくハンバーガーを切って一口食べた。
「……」
そして無言だが、何回か頷いていた。多分美味いと言っているのだろう。あっ、もう一口いったよ。それから珠弓がスプーンを渡してきた。うん?スプーン?俺はナイフ、フォークを渡したはずだが……。
「え?」
「……」
俺はなんかわからないが。スプーン受け取りつつ……何故?と珠弓を見ると……そっとビーフシチューの皿をこちらに。
「もしかして、ビーフシチューを一口俺にくれるのか?」
「……」
頷く珠弓。ならまあ……もらうか。と一口食べてみる。
「……美味い。ビーフシチューもめっちゃ美味いじゃん。俺この味好きだわ。っかこの店気に入った」
「……」
俺が言うと笑顔で頷いている珠弓。
多分……周りから見たら俺しか話てない状況だが……この時の俺は気にしていなかった。まあいつものことだし。珠弓は話さないが。微妙に変わる表情で何となくはわかるから。
そのあとはナイフフォークとスプーン再度交換。
それからしばらくしてそれぞれが頼んだ物を完食。カフェで珠弓と食事のあとは珠弓を振り回す……などということはしないのでまっすぐ帰宅。
そういえば光一が珠弓の制服姿を最後に見るやら言っていたが……どうしたんだろうか、と思ったが。まあ静かだから平和が壊されるよりいいかとすぐに忘れることにした。
ここまでが昨日の事。
そして今日は珠弓の卒業式翌日。一応俺の家に向かう予定の日だったのだが、、、。出発前に珠弓が実家を離れるということで、光一の家でまた各家族が集まり昼食会みたいになっていた。ここの3家族の親食事会好きだよな。ほんと。っか基本親同士で飲み会をしたいだけじゃないだろうか?とか思い出した。
そして……食事会をするということは……。
「珠弓ちゃん頼む。制服姿見せてくれ!」
「……」
「な?ちょっとちょっとだけー」
「……」
珠弓がドン引き。というのか。ずっと俺を盾にしてくる。
「弥彦も言ってくれよ。昨日見れなかったんだからさー」
「……遊びに行ってるからだ」
「仕方ないだろー。誘われたら行くさ」
「……はぁ」
「で、珠弓ちゃん。10分でいいからさー」
「……」
「光一。珠弓に訴えられるぞホントに」
「いやいや。超貴重だからな。わかってるか?もう見れないかもなんだぞ?ちょっとしか見れなかったからな。で、大学行ったらもう見れないっしよ。だから最後に目に焼き付けとかないとだろ」
「マジで捕まれ1回」
「断る。な?珠弓ちゃん。頼む着てくれー!」
「……」
食事の後の出来事。いや食事前から光一は言っていたか。ちなみに、少し前までは、光一の親が……。
「馬鹿野郎!なんてことを言い出すんだお前は!」
みたいな感じにいろいろ言っていたが。光一には関係なく。というのか。効果なし。もう珠弓しか見てないみたいで……珠弓に「制服に着替えてくれー」とか。大騒ぎ。結局……「馬鹿には何言っても無駄か」みたいな感じに光一の親は呟いたあと。「弥彦くん……馬鹿を頼んだ」とか言われたが……もう帰りたい。珠弓が盾にしてこなかったら。昼も食ったしですぐ帰っている状況。
なんだが……珠弓がね。俺をずっと盾にしているから……先程からこんな感じ。
「珠弓。ビシッと言えば終わる」
「……」
と言ってみたが……お人形さん。睨む攻撃しかしません。いつもの事ですが……そして光一……馬鹿には効果なし。むしろ見られて……喜んでいるかもしれない。って、マンション戻っても毎日こんなんとか嫌だならな。マジで。ホント。俺引っ越すかもしれないぞ?
「珠弓ちゃん。一生のお願いだからー」
「光一……それ昔にも何回か言ってるから」
「気のせいだー。俺は珠弓ちゃんの制服姿が見たいんだ!」
「キモい」
「……」
「関係ない」
「キモい」
「……」
俺は後ろにいる珠弓をたまに見ると……超警戒態勢。お人形さんの癒しのオーラが完全に消えてる……あるいみ光一はすごい。珠弓の癒しオーラを消してしまうことができるのだから。っかだから珠弓よ。はっきり言えよ。言ったら多分終わる。またはしゃべった!録音するからもう一回しゃべってくれ!になるかな……後者になりそうだな……なんかそんな未来が見えたような……。
「……」
珠弓は何も言わずに、睨む攻撃中。効果なしですよ?お人形さん?珠弓さん?、、、。ダメか。ホント俺は帰りたい。と、思った時だった。
ツンツン。
珠弓に後ろから突っつかれた。こっち見ろ?だろうかと思いつつ後ろを見ると……。
「……」
無言のままだが……表情いうのか。雰囲気から「なんとかして!」がビンビンと伝わってきたが……馬鹿だからなぁ……相手がかなり。と光一を見る……
「珠弓ちゃん!マジでお願い」
やっぱ馬鹿みたい。いや馬鹿だわ。
「珠弓。多分上手にかわしてもずっと言ってくるぞ」
「……」
珠弓は困ったみたいな雰囲気。表情ってより……あっこれ。我慢の限界?じゃないか?なんかヤバイオーラが今見えた気がする。
すると珠弓は歩き出し……テーブルに置いてあるナイフとフォークを手に持って。
「って、待て待て待て珠弓」
「……」
完全にそこ「どいて!」みたいなオーラを出している珠弓だったが。これは止めなくては。馬鹿相手のために珠弓に前科はダメだ。とりあえず俺は珠弓の前に入り止める。
ちなみに3家族の親たちは……。
「珠弓ちゃんやっちまえー」
「馬鹿にはいい薬だ」
「気にしないから一回刺しとけ」
「そうだそうだー。1回言わず10回。100回くらい刺しとけー」
「そうだ。馬鹿野郎にはちょうどいい」
「こっちにもナイフあるわよー」
「フォークもまだあるぞー」
……ダメだここ。珠弓の味方?ファン?が多すぎるからおかしなことになっている。ちなみに……光一は……。
「大丈夫!珠弓ちゃんになら刺されたい!」
とか馬鹿な事を言っているので。
「馬鹿は黙れ!」
と言っておいた。
「ひでー。弥彦が厳しいー」
「……」
その間も珠弓は俺にスキがあれば抜行けて刺しに行きそうな雰囲気。
「珠弓もマジで刺しに行こうとするな」
俺は珠弓の小さな手を掴み。ナイフ、フォークを取り。机に戻すって、なにやってるんだよ。ホント。結局このままだといつか殺人事件になると思われるので、俺は珠弓を家に送っていく。という選択肢を選んだ。
ちなみに馬鹿は最後まで……。
「待ってるからー!珠弓ちゃん!」
「制服姿見せてくれー」
「珠弓ちゃーん」
「制服!」
だったが。なんか俺が泣きたくなってきた。この馬鹿どうしたらいいんだよ。と。
結局というか。その後珠弓からメールが来て「先程は取り乱しました」と謝罪のメッセージが来て。続けて「可能なら、夜にこっそり出発したいです」やらも言われたので……。
って珠弓はマジで光一を避けだしました。まあ当たり前か。あれはね。うん。
なので、最終電車でマンションへ向かうことに。ちなみに馬鹿野郎は夕方くらいからは叫び疲れたのか。ただ静かになったというか。しばらくはメッセージやらが俺に来ていたが今は静かになっている。
諦めた。とかではなく。多分あれは叫びすぎて疲れた。ちょっと休憩が。睡眠になったと俺は予想。まあ、それもあってか。夜に珠弓と2人で実家から出発するときは大変楽だったのだが。
そして最終電車に乗り。珠弓と2人でマンションへ。電車に乗り込んですぐ。さすがに珠弓も、光一の言葉による攻撃で疲れた。というのだろうか。まああれは精神的に疲れるよな。うん。光一見るだけで。だからか、結構カクカクと車内ではなっていた。
そして日付が変わるくらいにマンションには無事に着いた。室内はもちろん真っ暗なので俺は部屋の電気をつける。隣には超お疲れモード。ふらふらで寝起きの珠弓が居る。
先程も言ったがやはり光一の相手というのか。睨む攻撃で珠弓は疲れたのか。あれから電車では気持ち良さそうに寝ていた。っか寝顔超良い。めっちゃかわいい。起こすのがかわいそうな感じだったが。まあ降りないとなので、起こしたら。うん。ずっとこんな感じでマンションまで歩いてきた。静かなのは当たり前だが。一応俺珠弓が溝やらにはまらないように注意して歩いてきた。
「珠弓。まだ明日とかも休みだし先に風呂入っていいからとっとと入ってゆっくりしろ。疲れてるだろう?」
「……」
珠弓は頷きながらまずは荷物を持って寝室へ入っていった。って、ホント今から毎日珠弓と一緒か。と思うのと。お隣さんもあるしでめっちゃ大変になりそうな……嫌な感じが俺はした。うん。絶対なんかありそうだもん。これは間違いない。
珠弓が寝室に入ったので、俺は……リビングで待機。寝室入って着替えやらを珠弓がしてたら……なので。
そして待機すること。五分
「……」
10分。
「……」
15分…………?
「……遅くないか?」
寝室から珠弓が出てこないので確認しにいく。
トントン。
ドアをノックするが中から返事はない。
「珠弓?」
「……」
声をかけても返事なし。あっ。話さないから声聞こえたらびっくりか。
「珠弓開けるぞ?言ったからな」
確認したからな。確認したぞ?なんかあっても証言するからな……って無理か。この家には俺しかいなから。まあ倒れていたら。とかもあるのでドアを開ける。ちなみに俺の予想は睡魔に負けた。じゃないかな?とか思っていたのだが……。
「……平和だなぁ」
寝室では俺が空けておいた場所に荷物が入っている。そしてベッドに多分座っていてちょっと横になった。という形で珠弓は夢の中。
まあこのままでは……なので。
「珠弓」
「……」
「珠弓。寝るならちゃんと寝ろ」
「…………ぇ……?……!!」
「起きた」
声が届いたみたいで、珠弓の目が開く。そして珠弓の顔覗き込むと目が合う。お人形さんぱっちりと目が開く。起き上がる。はい。今。
「寝るならちゃんと風呂入って寝ろ」
「……」
俺が言うと何回か頷く珠弓。ちょっと照れてる?気のせい?なんか頷きながら目そらされたような……まあいいか。
「風呂入るだろ?先入って早く寝ろ」
「……」
珠弓がまた何回か頷いたのを確認してから俺は寝室を出る。すぐにバタバタなんか音がして水の音が聞こえていたから大丈夫だろう。
30分ほどしてから珠弓が出てきて多分音的に寝室に珠弓が行ったのを確認してか。交代で俺も風呂へ。シャワー浴びて出てくるとリビングに珠弓が居た。
「飲み物飲むか?」
「……」
俺と目が合うと頷く珠弓。
「冷蔵庫やら勝手にどんどん使っていいからな。ほら、とりあえずお茶な」
珠弓用の新しいマグカップにお茶を入れて渡す。っか。2人居るはずなんだが……静かだなぁこの部屋。
「珠弓」
「……」
何?と首を傾げる珠弓。
「たまには話せよ」
「……」
頷く珠弓。本当だろうな?とか思いつつ。
「このままだと俺が1人で話してる奴になるからな」
「……クスッ」
無言だが……なんか今「クスッ」って声しなかったか?珠弓さん?
「おい」
「……」
なんか笑われている気がしたが。まあ果たしていつ普通に話してくれるかはわからないが……そういえば1人忘れてるが……まあ大丈夫か。
今日のお人形さんはちょっと笑いはあった。
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