第5話 2月17日 マンション
当たり前のことだと思うが1度決まったことは寝ても変わることはなかった
3月末から大学は準備やらやらで始まるので「休みのうちにちゃんと準備するのよ」とか親に今日の朝言われた。
ってか、まあ珠弓とは一緒に暮らすことは確定らしく。俺の部屋の模様替えが必要になるので、現在珠弓とともにマンションに向かっている。そう、すでに行動中。
行きの電車は光一とだったが。今は珠弓と乗っている。こうなるとは全く予想してなかった。ちなみに光一は、俺たちが出発する時。まだ寝てたらしくほってきた。
そういえば小学校からの付き合いだが。珠弓と2人で学校以外での行動は初めてかもしれない。小学生、中学生、そして高校の頃の休みに3家族で出かけるはあったが。2人だけで出かけるとかは全くなかったと思うので。
現在の珠弓は外を見ている。もしかして初めてくる方面なのだろうか。などと俺は思いつつ話しかけた。
「珠弓」
俺が話しかけるとこちらを向く珠弓。多分振り向いたので「話しかけないでよ」とかではないと思う。多分「なに?」という感じだと思う。
「珠弓は普段一人で出かけるのか?」
聞いてみると。ちょっと考えている?みたいな仕草があってから、珠弓は頷いた。
よかった。1人で出かける事がないとかだと、これからの生活ホント大丈夫かよ。と、思ったが。1人で出かけているなら。まだいいかと。思ったが。少し間があったので……。
「あまりはいかないのか?」
再度聞くと、今度はすぐに小さく頷いた。
「まあ、だろな。とは思っていたが……大学は時間バラバラだと思うからちゃんと1人で行けよ」
と俺が言うと「大丈夫」と言ったのか。しっかり頷いた。って、高校3年の時は1人で行ってたか。と。そういえば高校はどうだったんだろうか。とか聞きたいことはあったが。頷きだけではなかなかわからないこともあるので、と、結局その時は聞かなかった。
しばらくして電車が駅に到達した。そこからは徒歩でマンションへ移動する。珠弓は俺の隣を歩いて、キョロキョロと周りを見ている。まあ初めての土地だからそうなるよな。
そしてマンション到着。
「まあ光一の部屋からみたらかなり綺麗な方だと思うが……部屋のことで今は文句はなしな。急だからピカピカに掃除してあるとかじゃないからな」
とか言いながら珠弓を室内に入れる。
ちなみに珠弓はまずマンション見てびっくりみたいな感じだったが。さらに最上階ということは予想してなかったのか。聞いてなかったのか。エレベーターで最上階7階のボタンを俺が押すと隣でさらに驚いた表情をしていた。ちょっと反応が面白かった。あまり見ない感じの表情だったので。
まずはざっと部屋見せる。と言っても入ってすぐある寝室とあとはリビングキッチン。洗面所、風呂。バルコニーしかないが。いや、普通バルコニーはないか。大学生が使う部屋に……あるかな?ちょっとわかりません。
「あー、そういえばだが、寝室1つなんだが珠弓どうする?」
俺が聞くと「なぜ?」「なんで?」という表情の珠弓。その表情を見た俺なんか。いやな感じというか。珠弓の考えていることが長い付き合いだからか。変わってしまった気がした。
「……まさかだが、一緒の部屋で良いとか言わないよな?」
「……」
ちょっと間があったが。頷く珠弓。ちょっとまて。
「なあ……まあ、言っても話さないか。じゃはっきり聞くが。寝る部屋は一緒で良いんだな?」
そうやって聞くと普通に頷かれた。
「マジですか。まあ、珠弓ならいいか。じゃ、今は折りたためるベッドなんだが、それもう1個買えばいいな?寝るのは床派。とかじゃないだろ?」
その質問に対してはしっかり頷く珠弓。多分寝室はそれなりの広さがあるのでもう1つベッドがあっても大丈夫だろう。とベッド必要と俺はメモ。
「っか、珠弓。あと何がいるんだ?」
女子が要るもの。必要とするものが全くわからないので珠弓に聞くが……まあ、返事はない。こちらを見て……まあ何かは考えているみたいだが……。
すると。珠弓はスマホを取り出して。何かしていた。そしてスマホの画面をこちらに向けた。見てみるとスマホの画面にはよくみんなが使っているメッセージアプリが表情されている。つまりは……。
「……うん?……あっ。連絡先か?」
と、俺が聞くと「正解」という感じに頷く珠弓。
「そういえば珠弓の連絡先は知らなかったわ。っかスマホ持ってることも知らなかった。確か高校2年までは持ってなかったよな?」
連絡先を今更ながら珠弓に聞くと頷かれたのでスマホを買ってもらったのは最近らしい。とか俺が理解している間に交換完了。すると。
♪♪
すぐにメッセージが来た。目の前にいるお方。お人形さんから。なるほど、無口だが。メールは可能か、と。まあなんかいろいろ言いたかったが……いいか。
「いやいや普通に話そうよ」
「……」
「おい」
結局言ってしまった。
まあ珠弓はなんか小さくなったというか。ショボくれたというのか。小さいのにさらに小さくなったので……。
「はいはい。とりあえずメッセージでいいから。話してくれ。って、もうメッセージ来てるか」
自分のスマホを確認すると……。
「家で使っているものを少し持ってきていいですか?」
絵文字などはなく。文字が並んでいた。まあ珠弓らしい。俺はメッセージで返す。ということはしないので。普通に話す。この距離でね。2人ともメッセージアプリ使って話してるって、誰も見てないけどなんか変だよね?だよね?って誰も居ないから反応なしか。
「自由にしてくれ。かなり部屋は広さあるし。とりあえず。寝室のクローゼットも半分くらいは空いてるから自由に。っか。一緒に生活するを選んだの珠弓だから。その見られたくないの見られた。とかで騒ぐなよ?わかったか?」
俺が言うとすぐに。俺のスマホが鳴った。
♪♪
「大丈夫です。ちゃんとしますから」
「なあ……珠弓よ。話す気はあるのか?」
♪♪
「……」
「まてまて、メッセージで無言とか送るな。って……笑ってるよ」
俺が言うとクスクスしていた珠弓はハッとしたのか。クスクスをやめてちょっと恥ずかしそうにしてこちらを見て下を向いた。
なんかホントかわいいんですけど。このお人形さん。すべてが。うん。
まあ無口な珠弓だが。面白かったり楽しんだりしているときは。まあよく見てないとだが。ちょっとだが態度に出る。普通の人なら見過ごすかもだが。俺ずっと一緒だからな。なんとなくわかる。
「まあ……とりあえず部屋みて、欲しいものは自分でな。あー、ベッドと食器とかは追加しとくから。欲しいのあったら自分で持ってこいよ?OK?」
♪♪
「OK」
なんかスマホ見る必要があるが珠弓と話している感じというのか……なんでこいつ面倒な方法とるのかね。誰か説明してくれ。でも、勝手に俺の頭の中では珠弓の声に勝手に変換されて読んでいる気がする……脳って不思議。
まあ珠弓の連絡先知れたのは大きいか。と、思いつつ。2人で一度リビングへと移動した。
「あー。そうそう珠弓。一緒に生活って珠弓は料理出来るのか?一応交代制か?とか昨日考えてたんだが……」
♪♪
「出来ます」
「ほんとにだろうな?カップ麺できます!っていう光一と一緒じゃないだろうな?」
♪♪
「得意です」
「……ならいいか。っかまあ、やってみないとわからないから。はじめからいろいろ決めるはしないでおくか」
♪♪
「料理は得意ですからね?」
と、まあそんな感じに話していると……話しているかは微妙だが。まあやり取り。今までからみたら珠弓が何を言いたいかがはっきりわかるので。俺が感じる。思う。とかではないので。そう考えると一気にすごい進歩か。と、俺が思っているとまた俺のスマホが鳴る。
♪♪
が、俺の正面にいる珠弓は今スマホを使ってなかったので……。
「うん?……光一か」
確認すると光一からメッセージが来た。
「今どこだ?っかなんでもう出発してるんだよ!俺の珠弓はどこだー!連れ去ったかー!弥彦!」
「……これは無視だな」
なんか騒いでいるメッセージは無視して。
「とりあえず今日はベッドもないし。帰るだろう?高校もまだあるだろうし。って卒業式まだだろ?」
俺が聞くと頷く珠弓。
それから夕方前には珠弓は帰った。いや、ちゃんと1人でこいつ移動できるか?とか。俺も過保護とか言われるかもだが。いや気になるんだよ。昔から知ってるから。でもまあ。問題はなさそう。ちゃんと帰ったし。しばらくして家に着いたのか。
♪♪
「今着きました」
とちゃんとメッセージを珠弓は送ってきた。なので次はちゃんと俺も返信をする。って、そういえば俺は普通に話していたから。ずっと一方通行のメッセージになっていたが。メッセージアプリの画面に、はじめて俺の返事が表示される。
「次来るときはメッセージ入れろよ。早めにはベッドやらこっちが揃えるのは準備してやるから」
と送ると……。
♪♪
「ありがとうございます」
ただの文字だけ。絵文字とかはないが……なんか。うん。言われてると勝手に思うと……いいものだった。いや、今までは「うん」しか多分珠弓の声は聞いてないから。まあ、ちゃんと言ってくれたらなお良しなんだが。
っか珠は何故ほぼ話さないか。誰か教えてくれ。
今日もお人形さんは、いつも通り一言も発しなかったが。メッセージ内では会話をした。
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