第3話 新生活!!③

 入学式当日


──やばい、


現在の時刻、午前7時35分。

校門が閉まるまで、残り55分。


──初日から遅刻とか、シャレにならないぞ


俺は急いで学校に行く身支度を済ませた。

と、同時に、一体どんな高校生活が待っているのかと、期待で胸を膨らませていた。

時間がないので、朝ご飯はパン一枚だけ食べ、カバンを背負った後、家の玄関まで向かった。


「いってきます。」


俺は玄関の扉を開けた。すると、同じタイミングで、玄関の扉を開ける音がもう一つ隣から聞こえた。


「あ、セイタさん。おはようございます!」


そういえば、隣にナナミが住んでるんだっけ。そんなことより、早く行かないと…て、あれ?ナナミが来てる服、うちの北山高等学校の制服に似てるぞ?

まさかとはおもうが……


「おまえ、今からどこに行くんだ?」


「どこって、入学式ですけど?」


いやまて、

入学式と言っても今日は、ほとんどの高校が入学式だからな。

まだ同じだとは決まってない、


「───ちなみに、どこの学校の入学式に行くのか聞いていいか?」


「はい、北山高等学校です!」


「やっぱりか、」


隣に引っ越してきた人が同じ学校の確率って、一体どんな確率だよ……

てか、ナナミって俺と同い年だったのか、


「ところで、セイタくんこそどこに行くんですか?」


「同じ場所だよ、」


「同じって、……もしかして、セイタくんも?」


「そう、俺も北山高等学校の入学式に行く所だ」


ナナミは、驚いた顔をした。

今日も、ナナミの驚いた顔を見るとは……


「ナナミ、そんなことより早く行くぞ。もう時間がない。」


「はい!」


俺とナナミは、小走りで階段を降りていった。


現在の時刻、8時20分

残り時間10分


「ちなみに、ナナミは走るの得意か?」


俺は走りながら答えた。


「はい、、はっ、はっ、こう見えても私、、元リレーの、アンカーでしたからねっ」


「へー、、それはすげーな、」


それにしてはやけに息切れがすごい気が……


「でも、」


「でも?」


「長距離は、にが、てで、」


「え?」


そう言うと、ナナミのスピードが、だんだんと落ちていき、ついには止まってしまった。


「ナナミ、おい大丈夫か?少し顔色、悪くないか?」


そういえば、今朝から顔色が悪いような気がする……


「先に行ってください、私は、大丈夫です。」


「いや、でもな、」


残り5分、

学校までは、まだ少し距離がある。


「しょうがないな、」


「へ?」


俺は、ナナミの手を自分の背中に回した。


「え!?ちょ、まって、」


いち、にの、さん……の合図でナナミを背中で持ち上げた。

女性の体って思ったよりも、軽いな。

俺は、そのまま学校まで走った。


「ナナミ、あと何分だ?」


「はい!えっとー、あと3分です!」


よし、これなら行ける。


「ナナミ、しっかり掴まっとけよ」


「はい!」


ムニッ

暖かくて柔らかい物が背中に押し付けられた。

これって…やばい、考えるな、とにかく走れ

「うおーーーーー!」





「ふー、ふー、なんとか間に合ったな、」


「ありがとうございます!助かりました!」


「はー、はー、いや、いいって、」


やべー、こんなに辛いと思わなかった、息ができねー


「それでなんですけど、あの───」


「ん?」


「そろそろ降ろしてもらっても、いいですか?みんなに見られて、恥ずかしいです、、」


登校してきた生徒達がこちらを注目していた。


「す、すまん。忘れてた、」


俺は、ナナミを背中から降ろした。少しまだ背中に、胸があたっていた感触が残ってる…

これは言わないでおこう。


「大丈夫か?一度保健室に行った方がいいんじゃないか?」


少しナナミの顔色が良くない。


「大丈夫ですよ。意外とセイタくんて、心配症なんですね!」


「いや、そーじゃねーけど、」


「いいんですよ、照れなくても。」


「いや、照れてねーよ」


「そーですかー?」


彼女は、笑ながら答えた。

冗談いえるぐらいなら、大丈夫か、。

俺とナナミはそのまま入学式に参加した。


そして、俺の高校生活が、この時幕を開けた。

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