おかわり第4話「鶏の揚げ焼き」

コンテ

https://www.pixiv.net/artworks/87180098


(擬音・吹き出し外文字)

「セリフ」

{人物モノローグ}

<ナレーション・モノローグ・解説>




・市川梨由子、胸はやや控えめ、腰と脚が魅力的な人という点をご注意ください。

 パンツルックは寝巻以外基本的にナシの人です。

 いくつか顔があって、お店で客前のすまし顔と雰囲気と物腰は

「マリみて」の小笠原祥子さま(アニメの)

 みたいな感じです。伏し目がちだったり。


 ギャル時代と

 3巻の正月のときの大学生時代と

 今、で三段階でメイクと髪色と服の傾向が変わってます。

 大学生時代はだんだんギャル度が抑えられてますが今とも違います。


 梨由子は今回中学生時代の梨由子が回想シーンで出ます。

 昔の不良っぽい山口百恵の雰囲気と髪型

描きやすいほう、オバサンぼくみえないほうで。

で今どきにはやっかいなグレかたをしているイメージで。

 メイクはアイシャドウがポイント?

 中学の制服(アバ女のとは違う夏服です)着て、ペタンコのカバンを小脇に抱えてます。



・沙織も設定の通り。ご確認ください。


・京子5歳はこのまま大きくなったんだなっていう活発で天真爛漫さ、で考えてみてください。スカートです。





●1

■大 タイトル

 梨由子の店、ボックス席で話している客、向かいに座って水割りを作りながら聞いている梨由子。客の隣に座って目を伏せてすまし顔で水割りを作っている沙織。

社会的地位のありそうなおじさんの客「その親子にね、ボクは「みんなに迷惑だ」って注意してやったんだ」「そしたら降りて行った」「満員電車でベビーカーなんて、非常識だよね?」「ねえ? そう思わない? 梨由子ママ」

梨由子「あらあら……」(ほほほ)

 と上品に笑いながら受け流している梨由子。内心ムカついている。


●2

 店の前。見送りに出て頭を下げている梨由子と沙織。だいぶ離れて手を振って気分良く帰っていく客。

梨由子「相手が拝一刀じゃなくて良かったなオッサン」(けっ)

 と笑顔のままちょっと口をゆがめて。

沙織「だれ、拝一刀て」

 と同じく笑顔のまま梨由子に。

梨由子「「子連れ狼」でおググりください」

 と店に戻りながら。

沙織「……おお」

 とスマホで検索して調べて読んでなんか感動している。

沙織「……いまウィキペディアでその漫画調べたら、なんだこれ、鳥肌もんだな」

沙織「人物の説明読んでるだけでメチャ面白そう」「こんなの映画化決定だろ!」

 と梨由子に後から。

梨由子「映画化しとるわ!」

 とツッコむのも面倒そうに背を向けてカウンターに入って行く。


●3

沙織「さっきの客に限らずさあ」

沙織「パッと見で臭そうなオッサンて近くで鼻から息吸ったら実際に臭いんだけどさ」

 と洗い物している梨由子に話しかけながらカウンター席に座る。

沙織「口から吸ったら瘴気が直に肺に入って組織がズタズタにやられるイメージあるから頑張って鼻で呼吸してる」

梨由子(ワハハハ)「鼻毛伸びるぞ」

梨由子「つか、そういうおまえこそ今日は風呂入れよ」「もう5日目だぞ」

 と真顔で。

沙織「やだ」

 とツーンとそっぽむいてスマホをいじってる。

ホステスA「梨由子ママ」「沙織さんはなんでそんなにお風呂嫌いなんですか?」(ほんのり甘いバーベキューソースの香りが……)

沙織「別に入んなくてもきれいだもん」

梨由子「昔こいつをムリヤリ風呂入れて木ベラで垢をこそぎ落としてたら、本人が消えてなくなって、実は垢が本体だった、って夢を見たことある」

 知るかって感じでストレッチしながら。今日もつかれた。


●4

 学校帰り。京子とセクシー。公園でシーソーに乗ってる。ギッコンバッタン上がったり下がったり。

セクシー「え、今日はまた例の9つ違いの若い叔母さんが来るの?」(元アバ女の副番長だったという……)

京子「定期的に二人暮らしの様子見にね」

 少し憂鬱そうな京子、うなずく。

セクシー「一度会ってみたいようなみたくないような」

京子「うーん」「セクシーの事は気に入るような気がする」

 ちょっと想像して。


●5

セクシー「血が繋がってないのに忍には激甘なんでしょ?」

京子「そう」「あたしには小さいときから厳しかったのにさ」

京子「……まあ、だけど、実は忍が男の子だからとか、そういうことでなくて」

京子「忍は賢いから厳しくされてないんじゃないかなーって最近ちょっと思えてきたんだ……」

セクシー「?」

京子「いや、憶えてるんだけど、あたし昔からマヌケでさー」

京子「5歳くらいのとき……」


●6

 回想。12年前の9月ごろ。

京子「うわあー!」

 街路樹の根元に曼珠沙華がチョロチョロ咲いているのを見つける京子5歳。

 一輪摘んで手にした京子、むこうの街路樹にもいくつも咲いているのを見て、

京子「あっちにも!」「いっぱい!」

京子「こんなきれいなおはながあるなんて!」

 と感動しながら手にした花束。

京子「あつめようっと」


●7

 中学の制服を着た梨由子14歳。ギャルというより時代遅れのスケ番、山口百恵風。

 顔にコスれたような喧嘩の痕。絆創膏など。

 なにもかも面白くなさそうにスカートのポケットに手を突っ込んで歩いている。

 しゃがんで曼珠沙華を摘んでいた京子、梨由子を見つける。

京子「あっ」

京子「りゅーこおばちゃん」

 と駆け寄る。

梨由子「おばちゃんじゃねえよ」「お姉ちゃんだろ」

 あまり関心なさそうに、別に怒るわけでもなく。

 カッと目を見開く梨由子。京子が手にした曼珠沙華に気がついて。


●8

■大

京子「みてみて」「きれいなおはながいっぱい…」

(ばしっ)

 と京子が無邪気に差し出した花束を叩き落とす梨由子。飛び散る花。

 びっくりする京子、固まってる。

京子「っ……」

京子「う」

 みるみる泣き顔になる。

京子「うわああん」

 大声で泣き出す京子。

梨由子「バカ京子」「すぐ手を洗いに行くぞ!」

 と手首をつかんで引いて歩き出す


●9

 公園の水道。

京子「うああ、ううっ、ううえええ」

 泣きながら梨由子に手をあらわされている京子。

(じゃー)(ばしゃばしゃ)

梨由子「ありゃ曼珠沙華って花で毒があるんだよ」

京子「うああっ」「どくぅ…」

 ますます顔をゆがめて泣く京子。

梨由子「お前みたいなちっちゃい子が触ったら危ない」

(ばしゃばしゃばしゃ)

(じゃー…)(きゅっ)

 と水道をとめながらポケットを探る。

京子「うええ」「じぬのお?」「あだじ、じんじゃうのお?」

 と毒を遠ざけようと手を前に出して身体から離そうとしている。

梨由子「食ったりしてないだろうな?」「なら大丈夫だ」「ちゃんときれいに洗ったしな」

梨由子「ほら、手拭け」

 とハンドタオルを渡す。

京子「えぐうっ」「うえああ」

梨由子「もう泣くな泣くな」

 と頭をクシャクシャに撫でる。

梨由子「曼珠沙華には彼岸花って名前もあるんだ」「きれいだけど……」


●10

梨由子「きれいな花には毒があるから気をつけろよ」

 なにか思い出して独り言のように。京子の母親と上手くいってない梨由子。

京子「ぐすっ…うん」

 罪のない京子、けなげに泣きやもうとしている。

梨由子「……」

 それを見てわずかに微笑む。

梨由子「帰るか」

 京子の手を引いて歩く梨由子。

京子「あっ……」

 曼珠沙華を見て立ち止まって梨由子に引かれる手を引っ張って踏ん張る京子。

梨由子「さわんなきゃ平気だ」

梨由子「この季節よく咲いてるよな」

 と手を引いて通り過ぎる。

梨由子「死人花、地獄花、幽霊花、剃刀花、狐花、捨子花……」「曼珠沙華は他にも嫌な呼び名がいっぱいある」

 どこか遠くを見て。


●11

梨由子「お歌でもあるよ」

 梨由子を見上げる京子。

■大

梨由子「♪まんじゅうしゃかー!」

 と唄う。はい百恵ちゃん正面1カメどーん、みたいな。目を丸くする京子。


●12

梨由子「……ってな」

 と京子を見てニッと笑う。

京子「まんじゅう?」

 と不思議そうに。

梨由子「本当は「まんじゅしゃか」なんだけどなー」

京子「おまんじゅう食べたい……」

 とポツリと。

梨由子「よし」「京子はちゃんと手を洗ったし」「あんまん買ってやる」「お母さんにはないしょだぞ」

 パッと笑顔になる京子。

京子「ありがとう! りゅーこおばちゃん」

梨由子「りゆこお姉ちゃんだろ!」

 手を繋いでコンビニに向かうふたり。

 回想終わり。


●13

京子「アバ女に入る前の中学時代なんて、一番ピリピリしてておっかなかった」「まあ、面倒はよく見てもらったけど」

セクシー「どうも聞いて想像するに、あんたへの厳しさ、っていうのも愛情の表れに思えるけど」

 興味深げに。

京子「違うと思う」

 とピンときてないというよりわかってない京子。

京子「それより今日は叔母さんにテストされるんだ」

京子「今まであたしと忍だけで揚げ物作るのは禁止で」

京子「「子供には危ない」って叔母さんがねー」


●14

セクシー「揚げ物かあ」「ウチでたまに手伝うけど、アレ私も怖いな」

 ふーんというように。

京子「油は火事とかねー」

京子「そんで、あたしも忍も「揚げ物やらせてくれ」ってずっと要望してて」「だから「大丈夫かどうかテストする」って」

セクシー「わかった」

 腑に落ちたように。

セクシー「やっぱ愛情厚くて心配されてんだな」

セクシー「姿勢にスジが通ってるよ」

 と苦笑い。

 キョトンとする京子。


●15

 アパート外観。夜。

梨由子「今日はアタシの指導にしたがって鶏の揚げ焼きを作る」

梨由子「これをクリアすれば今後は揚げ焼きに限って許可する」

 後ろ手に腕を組んで鬼軍曹風に。

忍「え、揚げ焼き?」

京子「鶏の唐揚げじゃないの?」

 兵隊のように立たされている二人の前に立つ梨由子。三人ともエプロン。


●16

梨由子「出来上がりは同じだ」

「これが安全にできたらステップアップしていく」

京子「約束が違うよ」

梨由子「ツベコベ言うな、この部屋の家主はアタシだ」

「半人前のガキどもに勝手なマネはさせねー」

梨由子「だいたい揚げ焼きだって立派な揚げ物ができるし、こっちのほうが油少なくて済むから経済的なんだよ」

忍「節約になるの?」


●17

梨由子「そうだぞ忍」「油が酸化して悪くなる前に何回も使うほど毎日揚げ物作るか?」「油を捨てるのだってめんどくさいんだぞー?」

 とニコニコしながら忍に。

京子{またベタベタして……}

 と苦々しげに。

梨由子「3人前、鶏もも肉600g」「モモでもムネでもいいけど、なるべく火が通りやすい厚さと大きさでな」

 買い物袋からモモ肉のパッケージを取り出す梨由子。

梨由子「今日は唐揚げ用として売ってるお徳用モモ肉だ」

梨由子「この肉と醤油大さじ3、酒小さじ6、みりん小さじ3」「マヨネーズはチューブで30センチくらい、しょうがもチューブで10センチ、ボウルに入れる」

 ボウルにどんどん調味料を入れる忍。京子と梨由子後ろから見てる。

梨由子「よく揉み込んで……」

 忍が揉みこむのを梨由子が見ている。

梨由子「30分ほど漬けておく」


●18

梨由子「キャベツ千切り」

 京子が千切りする。梨由子が見てる。

梨由子「ドレッシングがわりに中華風ごまだれ作るか」

 と練りごまのビンを開ける。

梨由子「白練りごま大さじ6、醤油大さじ2、酢大さじ2、はちみつ大さじ2、ゴマ油小さじ2」

梨由子「あわせるだけ」

 忍、器に菜箸でかき混ぜるのを見てる梨由子。

梨由子「肉の漬け込みがころあいになったら別のボウルに肉を取り出して」「片栗粉大さじ6をまぶして、全体に馴染むよう軽く混ぜる」

 京子が片栗粉をまぶしている。


●19

梨由子「フライパンに油多めに注ぐ。5ミリくらいの深さがあれば十分」

 とフライパンを置く。

<京子と忍は高いゴマ油(主に京子が好きな中華用)か> 

京子「えーと、油は何を使えば?」

<高いオリーブオイル(主に忍がこだわるイタリアン用)ばかり使っていたが……>

忍「僕のエキストラバージンオイル……」

 と、それぞれの油のビンをもってためらう二人。

梨由子「こういうのは用途別に使い分けるべきだろ」

 と買い物袋をあさる。

<今日はここで大改革が導入された>

梨由子「遠慮なくガバガバ使えるお徳用サラダ油をアタシからプレゼントだ」

 と大きな油の容器を出す。

京子忍「おおおー」

 喜ぶ二人。


●20

梨由子「油を熱して」「肉についた衣を少しお箸で取って、油に落として、ジューッと気泡が出れば温度はOK」

 慎重に衣を落とす京子。

梨由子「肉をフライパンに乗せて、中火で2分くらい揚げ焼きにする」「焦げないように時々焼き色を確認すること」

 監督する梨由子に従って肉を乗せる京子。

梨由子「最初は少量で試しながら火の通り方とコゲないためにはどのくらいの火加減と時間が具合がいいのか見るといいだろ」

 こわごわコゲてないかひっくり返して見る忍。


●21

 バチっと跳ねる油、ビクッとなる忍と京子。

梨由子「油ハネ注意!」

 腕組みしたまま注意喚起する梨由子。

梨由子「焼き色がついたら、ひっくり返す」

 今度は忍がひっくり返す。

梨由子「反対の面も2分くらいかな」「焼き色を見つつ揚げ焼きする」

忍「両面に焼き色がついた」

梨由子「焼き色がついていないところがあったら、その面を下にしてよく焼く」

梨由子「焼きあがったらキッチンペーパーに乗せて油を切る」「ずっと乗せておくとくっつくから、油が吸いとれたら皿に移してな」

 ボウルに敷いたキッチンペーパーに唐揚げが積み上がる。


●22

京子忍「完成!」

京子「やったー!」

忍「カラッと揚がったね!?」

梨由子「中華風ごまだれはバンバンジーにかけるやつだからから揚げにかけてもいい」

<鶏の揚げ焼き中華風ごまだれがけ>

 唐揚げ盛った皿に千切りキャベツとレモンを添えてある。

 ごはんと味噌汁。


●23

忍「久しぶりに揚げたての食べた」

京子「しょうが醤油味のジューシーな肉汁」「ん~~」「ご飯と一緒にほおばると最高だね」

梨由子「ビールもすすむな」

 と一人だけご飯ではなくビール。

梨由子「マヨネーズを揉み込んでるから短時間で肉がやわらかくなるだろ」

梨由子「コゲないようにするコツは、焼き色をこまめにチェックすることだ」

 忍と京子うなずく。

京子「でもちょっとくらいコゲても、香ばしくておいしいよね!」


●24

 転がったビールの空き缶。

梨由子「やだやだ」「忍が結婚してくれなきゃヤダ」

 酔っぱらって忍に抱きついてベロベロなめまわしている梨由子。エロい。

忍「もー」「助けて京子~」

 嫌がる忍。京子に助けを求めるように見る。

 洗い物が終わり、手を拭きながら白けてみている京子。

梨由子「約束したでしょ」「梨由子姉ちゃんと結婚するって約束」

忍「それ小さいときの話でしょ」

京子「忍」「あたしとも結婚するって言ってた」

 と座ってお茶を飲む。

忍「えっ」{いまそれ言う?!}

 と京子を見る。

梨由子「あー?」

梨由子「悪い男だなオマエ~」「こりゃいまキッチリ懲らしめないとダメだ!」

忍「やめて~~」

京子{これが愛情厚いってことなのかね}(暑苦しい愛情…?)

 頬杖つく。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る