番外編「イケとスッポン」

●趣旨

かわいいJKだって乱暴狼藉したい。

ガールズバディズべ公アクション!



●ジャンル

不良JKバトルもの。



●キャラクター


■杉本美樹(スッポン)

アバ女黒百合寮の寮生。1年生。

高校生離れした圧倒的なケンカの強さを見せつけ、相手の戦意を簡単に挫く。

実はかわいいものが好き。

ハラペコ。

女子のつきあい的なものが不得意。一人でも平気。

保育士をめざしていて真面目に授業を受けたい。が、勉強は得意でない。

不良だけでなく真面目な生徒からまで恐れられ、イケ以外友好的に話しかけてくる者が周りにいない。

平穏な日常のためにしかたなく降りかかる火の粉を振り払う。

スッポンが憎むもの(なぜかどんどん増える。しかも未熟ゆえに怒ったり不機嫌なスッポン自身には適用されない場合があるのでイケに心の中でツッコまれる)

舐められること。

楽しくないこと。

人の気持ちが理不尽に踏みにじられること。

食べ物を粗末にすること。

話を聞かないこと。

幼稚な理屈やローカルルールを絶対のものとして振りかざすこと。

多数派側にいることで自分の正義を疑わずそれをかさにかかって力のないものを叩くことで自分を保とうとする心の弱さ。

百合乱暴。

などなど…。



■池玲子(イケ)

アバ女黒百合寮の寮生。1年生。スッポンと同室。

「アタシのレツに入ったらオマエら全員いつでもノーブラな。逆らうオンナはパンツ脱がすっから」

無鉄砲で悪党なガチレズビッチ黒ギャル。お転婆が過ぎる。男が嫌い。

金髪、まつ毛バッチリで元気よさそうで表情豊かでガサツ。

身長160センチでトランジスタグラマー。

制服のブラウスの胸をはだけてミニスカからパンツが見えても気にしなさそう。

スッポンに出会うまで一度もタイマンに負けた事がなかった。が、スッポンに惚れてしまう。

スッポンにやらしいことしたいけど嫌われたくないから我慢している。

暴走気味の瞬間湯沸かし器。

底意地悪く浅はかな策略をめぐらそうという小狡さとちゃっかりさ。でも愛嬌はある。基本的にはバカでお調子者。

アバ女のトップを取ろうという野望を持っている。

空気の読めなさと底意地の悪さゆえに周りのギャルから孤立し、一匹狼を気どっていたが数の暴力に劣勢を強いられ、ちょっといじめられ気味だった。

スッポンと組めば天下をとれると思って仲良くなろうとする。

気を許すと百合乱暴してこようとする。



■小田朋美(トモミ)

板野友美風。家政科1年生。

中学からの仲間の咲姫を慕う。



■高丘咲姫(たかおかさき)

カリスマ白ギャル的な。家政科1年生。背が高い。175と女子にしては見上げる大きさ。

あんまりギャルメイク然とするより、キツい性格が全面に出たモデルやってる美少女風。

アバ女家政科1年生の中で拮抗する勢力の一角を担う派閥の盟主。





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●1

 タイトルとトビラ絵。

 朝。

説明(横組み)<関東最凶不良女子校「アバ女」の名で知られる練馬女子学院高校・黒百合寮>

ナレ<女子寮の優雅な朝は音楽から始まる……>

(♪~~)(起床ラッパ)

 スピーカーから起床の音楽が流れる。

●2

スピーカー「(ガッ)全員起床! 10分で身支度だ!」

 二段ベッドの上で起床するスッポン。寝巻。

スッポン{あれ? イケは?}

 ハシゴを下りながら下段を見る。

イケ「スッポンおはよう!」

 とドアを開けて帰ってくる。制服。

スッポン「お」「グッモーニン」

 制服に着替え中。

イケ{スッポン、今日もかわいいなー}

 スッポンの着替えを見ている。

イケ{たまんねえよ}{押し倒してえ}

スッポン「なにジロジロ見てんだよ」

イケ{けどこいつ強いからな~……}

イケ「女同士なんだからいいじゃん別に」

スッポン「イケの視線、なんかヤラシイんだよ」


●3

スッポン「朝からどこ行ってたんだ」

イケ「化粧済ませてから食堂手伝ってた」

スッポン「オマエを殴った寮監のメシに毒でも入れてたの?」

 目を見開くイケ。

イケ「……そういう手もあるか」

 と真面目に検討しだす。

スッポン{しまった。変な知恵つけちゃった……}

 苦笑い。

スピーカー「(ガッ)出房!」

塩練「点呼ォー!」

 廊下。それぞれのドアの前に立つ寮生の前を足早に見て回る塩練。


●4

■大

 登校時間。アバ女家政科校舎屋上。

 咲姫、家政科の一年グループAをシメている。

(ドッ)

 見下すような位置からパンチを打ちおろし、リーダーAを一発でKO。

 尻もちをついてパンツ見えている家政科1年のグループのリーダーA。

リーダーA「や、もう……」

 と殴られた顔をかばうように怯えながら咲姫を見上げる。

 後ろでビビっているリーダーAの取り巻き。

咲姫「あれ?」「もう参った?」


●5

咲姫「じゃあ」

咲姫「ウチらのグループ入って仲良くしようよ」「ね?」

 と凄みのある笑顔で手を差し伸べる。

 後に咲姫の取り巻き。

リーダーA「う……」

 と何度もうなずいて手を取って握手。

咲姫「あんたたちもよろしくね」

 と下を向いて泣きそうなリーダーAを立たせて、その後ろで気圧されているリーダーAの取り巻き5人ほどに。

 目を合わせられない取り巻きたち。

咲姫の取り巻きA「さすが咲姫さん」

咲姫の取り巻きB「あの長身から打ち下ろされて立てる奴いないよ」

朋美「咲姫ちゃん、おつかれ」

 と服のホコリを払ってあげる。

 咲姫の取り巻きが10人ばかり


●6

朋美「これでもう家政科1年生の半分は咲姫ちゃんの傘下だ」

咲姫「ねむ……」「朝から疲れるし」

 とあくびしながら屋上の手すりにもたれる。

朋美「屋上は3年生のたまり場だけど、この時間だと奴らいなくていいね」

「この眺めもアバ女の天下取ったらウチらのもんだよ」

咲姫「……次は伊藤真美やろう」

朋美「あー、あいつら気合い入ってるから早めにやったほうがいいな」

朋美「お前、伊藤と同じC組だっけ?」

取り巻きA「最近学校で見ないんですけど」

取り巻きB「いや、伊藤グループ、なんか保育科の奴らとコミあって凹まされたって」

咲姫「は?」「ナニそれ?」「相手ダレ?」


●7

「黒いのが保育科1年の池玲子」「ロンスカのが杉本美樹」

 屋上から登校してくる生徒を見ている咲姫らの会話がかぶる。

 登校してくるイケとスッポン二人。二人を避けている周りを威嚇するようにいい気になってるイケ。無表情なスッポン。

■大

「池玲子?」「アレが有名なフジ中の悪党イカれビッチか」

「シメた相手を丸裸にしたとか」「スクーターで轢いたとか」「近づきたくもない厄ネタだぜ」

 イケの顔。悪党っぽい。

「キレた狂犬だから、どこのグループにも入れないって」

■大

「そんなヤバいのと一緒にいる杉本美樹って何モン?」「聞いたことないけど?」

 スッポンの顔。


●8

「いやそれが」「入学してすぐ、池玲子は1年の伊藤真美のグループに目ェつけられてボコられたんだけど」

 リンチされるイメージ。

「その後きっちり伊藤グループ20人相手にカエした(報復した)んだ」

 黒百合寮とスッポンのイメージ。

「で、あの杉本って奴は池玲子と黒百合寮の同室で、そのカエしに手ぇ貸したらしい」

「寮生かよ」「めんどくせえ」

「んじゃ杉本ってのは強いの?」

「保育科から聞こえた噂じゃ」「杉本1人で伊藤以外のコ全員を相手して、池玲子と伊藤真美のタイマンお膳立てしたってよ」

 這いつくばったギャルたちが拳を握って立っているスッポンに恐怖しているイメージ。

(プッ)「モリ過ぎでウケる」「漫画かよ」「んなのぜってーフカシだ」(アハハ)

朋美「そんなマイナーな小物はどうでもいいよ」

朋美「どうせ池玲子が汚い手とか使って伊藤真美ヤったんだろ?」

朋美「ね?」「嫌われモンの池玲子をヤれば咲姫ちゃんの株が上がるよ?」


●9

咲姫「……昼休み、保育科の校舎乗り込む」


イケ「ウチら二人でノシ上がればアバ女の天下だって夢じゃないって」

イケ「伝説作ろうぜー」

 スッポンにふざけて抱きつこうとしているイケ、鬱陶しそうに押し返されている。

スッポン「デンセツだかワイセツだかしらんけどオマエとはごめんだね」

イケ「ウチら友達だろー?」

スッポン「手助けしてやった代わりに卒業まで学食のAランチをおごる」「おごられる」「それだけの関係だ」

 と指を指しながら。

スッポン「それでなくてもオンナ同士のつきあいみたいなの苦手なんだ」

 と先に行く。

イケ「あー、わかるわかる! あたしもー!」

 とうなずきながら追いかける。

スッポン「……」

 ぜんぜんわかってねー、と思いながら黙る。



●10

 昼休みのチャイム。

 中庭の噴水のまわり。荒れ果てた花壇にベンチ。たむろっているギャル。

スッポン「イケ、学食行くぞ」「Aランチおごれ」

 と教室を出て行きながら振り返る。

 机を二つくっつけているイケ。

 イケ、スッポンに向かいに座れとジェスチャー。

スッポン「?」

 座るスッポン。

 アルミホイルに包んであるおにぎりを出すイケ。

イケ「おにぎり」

イケ「あたしとアンタで3個づつな」

スッポン「……どういうことでしょうか?」

 他人行儀を押し出して真顔で冷たくイケを見る。ここはギャグっぽい雰囲気。

イケ「……金ねーんだ」

 スッポンにビビりながら憐れみを請うようにバツの悪そうな薄ら笑い。


●11

イケ「早起きして寮の食堂手伝うフリしてこっそり握ってきたんだ」「寮監(ルビ塩練ババア)の目を誤魔化すの大変だったんだぜ」

 とアタフタ言い訳するように身振り手振りで。

 割烹着と三角巾つけて食堂でこっそりおにぎりを握っているイケのイメージ。

スッポン「オマエが握った化粧水くさいおにぎりなんか食えるか」

 と立ち上がる。

イケ「そんなこと言うなよ!」

スッポン「Aランチおごってくれなきゃこの関係は終わりだ」

 とすがるイケを見下す。

イケ「一人で6個も食えねえよー」

 ぐすん、みたいな。くっつけた机に一人でいるのが哀れっぽくてかわいい。

イケ「あたし、作った食べ物ムダにするのだけはヤなんだよ……」

 立ち去りかけて立ち止まるスッポンの後ろ姿。


●12

 ひょいとおにぎりを取るスッポンの手。どうするのかとイケが見ている。

スッポン「そんなに言うならちょっと食ってやるよ」

 と座ってアルミホイルを剥く。

イケ「おう!」「食べて食べて」

 と顔が明るくなる。

イケ「あ、それ、おかかだよ」「あとは梅干しとハゼの佃煮」

スッポン「……」

 と口をつける。

■大

 明らかにおいしくて目を丸くするスッポン。


●13

イケ「どう?」

 と自信満々にうかがう。

スッポン「……食えなくないな」

 と目を伏せて二口めをパクつく。

 イケ、天を仰いでガッツポーズ。

イケ「昼飯でボッチだと飯が美味くないじゃん?」

 と自分もおにぎりを食べて。

イケ「あたし中坊の時友達いなかったから」「昼飯一人で食っててさー」

 嬉しそうに食べるイケをジッと見るスッポン。

スッポン「お茶ほしいな」

イケ「おっ、んじゃ…」

 と立ち上がりかけ、それを手で制して、

スッポン「いいよ、買ってきてやる」

 と立つ。



●14

朋美「おい!」

 といつのまにかいる朋美、憎らしげに吠える。

イケ「は?」

 振り返るイケとスッポン。

■大

咲姫「池玲子」「遊びにきたよ」

 咲姫と朋美、その他手に金属バットや木刀を持っている取り巻きが教室に入ってきて、保育科の生徒を威嚇している。

イケ「ダレだお前ら?」

 と睨む。



●15

(ぬっ)

咲姫「悪党退治に来た正義の味方だよ」

 と近づく。

イケ{でけえ……!}

 見上げる。

 咲姫のノーモーションで打ち下ろされるストレート。イケにヒット。

(ガスッ)

朋美「きゃはっ!」「モロ入った!」

 とはしゃぐ。


●16

イケ「おー、いってー」

イケ「うっかりゴメンなさいしちゃいそうなパンチだね」

 と頬をこすりながら睨む。

咲姫{こいつ……!}

 イケのタフさに驚いて目を剥く。

朋美「クソビッチが大物ぶってんじゃねーよ!」

 と机を蹴倒す。

 無残に床に落ちるおにぎり。

 それを見てるスッポンの顔。あっ、という残念そうな表情。

 朋美の足に踏みつぶされるおにぎりの破片。

(ガタタッ)

イケ「このメスガキャ…」

 といきり立って立ち上がる。


●17

■大

 と、それより早く電光石火で朋美のアゴを打ち抜くスッポン。

 棒立ちでぶっ倒れる朋美。

 呆気にとられてスッポンを見るイケ。

スッポン「おにぎりに謝れ」

 と憎々しげに朋美を見くだして。

咲姫「~~ッッ!」

 とスッポンに恐怖を感じて反射的にパンチを振り下ろす。

■小

 飛んでくる拳。

■小

 目を細めて咲姫を鋭く見るスッポン。瞬時に対応するスピード感。


●18

■大

(ぐるん)

 スッポンに手首関節を片手で極められて綺麗に投げられている咲姫の巨体。スッポンは直立している。

https://www.youtube.com/watch?v=pEnqc42tgaI

 (小手返し)

■カットイン

 あっ! と青ざめてスッポンを見る取り巻きたち。

(ドッ)(カハッ)

 と床に落ちる朋美。背中を打った衝撃で息ができない。


●19

イケ「オイコラーッ!」

 と急に絶叫して取り巻きを振り返って威嚇する。

 ヒッとビビリあがる取り巻き。

イケ「コラコラクオラァーー!!」

(ガッ)(ドスッ)(ゴン)(バキッ)

 凶器を持った取り巻きが手も足も出ないくらい一方的に次々とのしていくイケのシルエット。壁に叩きつけたり。

 奥でうわーと見ているクラスのギャルたち。

 這いつくばって咳き込む咲姫。

(ガスッ)

 と咲姫を踏みつけるスッポン。

スッポン「ノッポ」「なんで私らの昼飯ジャマした?」

イケ「つまんねーこと言ったらコロすぞ」

 と咲姫を見下す。怒ってる。

咲姫「(不良漫画によくあるつまんない負け惜しみ台詞を入れてください)!」

 なにか負け惜しみっぽいことを言ってる咲姫。

 顔を見合わせるイケとスッポン。つまんないこと言われたという表情。


●20

■大

 アオリ。

(ギャーーーーー!)

 3階の廊下の窓から窓枠に乗ったスッポンの手で逆さ吊りにされる咲姫、パンツ丸出し、絶叫。

イケ「赤のレース!」「オトナだね~!」

 と窓から乗り出して囃し立てて笑う。

 上から見おろし構図。

 下から見上げている生徒たちが唖然としているのが見える。

スッポン「ノッポの赤パンてジャイアント馬場かよ」

(ワハハハ)

 とイケが大笑い。

朋美「やっ、やめえっ……!!」

 止めようとするが手を出せない咲姫の取り巻き。

 悪そうな顔で朋美を殴りつけるイケ。

朋美「あっ」

イケ「おうズベども!」「スッポンが疲れて手を放しちゃう前に急いで食堂で食券買ってこいよ」

 と凄む。

イケ「スッポン、食券なにがいい?」

スッポン「カレー」「いやいや、うどんかなー」「うーん、やっぱりランチか~」

咲姫「早く決めて~!」

スッポン「せかすなよ赤パン~」「お前重いなー?」(アハハ)



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