第27話「黄身おろし冷奴と豚丸」
コンテ
https://www.pixiv.net/artworks/87177671
(擬音・吹き出し外文字)
「セリフ」
{人物モノローグ}
<ナレーション・モノローグ・解説>
●1
トビラ
クリ子にかぶさるように抱きついている京子。
迷惑そうなクリ子。
京子「秋は人恋しいねー」
遠くから見ているセクシーとボウヤ。
セクシー「あいつどうした?」
●2
■
スーパーのお菓子売り場のエンドコーナー。
床に寝そべって駄々をこねている4歳くらいの子ども、まあくん。
まあくん「やだやだお菓子ー!」
お母さん「ダメよ!」
■
お母さん「もう知らない!」「まあくんずっとそうしてたら!?」
イライラしながら立ち去る。
■
まあくん「……ぐすっ」
と仰向けに寝そべって口をへの字に曲げて不機嫌そうに半泣き。
遠くからドライな表情で見ている京子。
京子{駄々をこねる子ども……}
■
京子「……」
忘我の表情で妄想している。
(もわもわもわ~~ん)
{お菓子買ってもらう道は修羅の道よ……}
妄想の中で老師風の姿の京子、お菓子を手にすまし顔であごひげをなでる。
{駄々をこねていてもお菓子は買ってもらえないぞ……}
●3
■
京子の妄想。
{仏に逢うてはお菓子を買わせ。祖に逢うてはお菓子を買わせ……}
{時に媚び、時に甘え}
買い物カゴを持っている忍に甘える京子。
{こっそり買い物カゴに忍ばせて}
{刺身パックの下に欺瞞し}
そっと買い物カゴに入れる京子。
{レジのタイミングに紛れて差し込む}
レジで財布を開いて見ている忍の隙を見てサッとカゴに追加する京子。
{功夫の足りない青二才め}
京子の顔。冷たく薄ら笑い。
■
まあくんに被る京子の影
一瞬母親が来てくれたのかもと思っているまあくん、京子のほうを見る。
●4
■
京子「そんなとこで寝てると風邪ひくぜー」
としゃがみこんでツンと冷たい表情でまあくんを見下す。
■
むくりと起き上がるまあくん。
■
京子を見るまあくん。
■
京子「まだまだ修行が必要じゃのう」
ニカっと笑う京子。
かっこいー姉ちゃんに惚れるまあくん。
●5
■
京子「じゃねー」
まあくん「……」
軽く手を挙げて立ち去る京子。
■
まあくん、フラフラと京子の後を追いかける。
■
ぶち抜き京子。クールでツーンとした外ヅラ。
■
すれ違ってハッと顔を赤らめて京子を振り返るおじさん、お爺さんら。
●6
■
豆腐コーナーにいる忍のところに来てカゴにお菓子を入れる京子
忍「またお菓子持ってきてー」
京子「安かったの!」「セール!」
■
忍「?」「その子どうしたの?」
■
京子「え?」
と振り返ると京子のスカートの裾をつかんでいる。
■
京子「あれ、さっきの駄々っ子」
としゃがんで顔を覗き込む。パンツみえそう。
お母さん「まあくん!」
と遠くから駆け寄る。
(ビクッとなるまあくん)
■
母すいません、京子いえいえ、みたいな一コマ。なついて京子から離れたがらないまあくん。
●7
■
京子「モテてしまった」
とちょっと得意げに。
忍{……}
苦笑い。
■
京子「今日は何を?」
忍「豚肉と冷奴」
谷執穂さんが魚売り場で働いているのを素通り。
■
忍「モヤシと豚肉と木綿豆腐」「あとは冷蔵庫にあるものでまにあうな」「みりん買っておこう」
とメモを手にみりんの棚を探す。
●8
■
アパート外観。
■
京子「なんか手伝おう」
忍「じゃあ大根おろして」
と使いかけの大根を冷蔵庫から取り出す。
■
忍「大根4分の1くらいを皮剥いて」「鬼おろしでおろす」
使いかけの大根を鬼おろしでおろす京子。揺れる胸。
■
忍「それ終わったら別にもう手伝うことないよ」
と豆腐のパックをエコバッグから取り出そうとする。
京子「梨由子おばさんから教わった料理ネタなんでしょ?」
京子「あたしも見て憶えるよ」
と大根おろしを容器にコンコンと叩きつけて落としている。
■
忍「木綿豆腐一丁」「水気を切ってそのまま器に入れて」
■
忍「豆腐に大根おろしを全部乗っける」
●9
■
忍「卵2つ、黄身だけとって、ボウルに入れる」「白身はお味噌汁に使おう」
■
忍「黄身に塩小さじ半分、ゴマ油大さじ1入れてよく混ぜて」
■
忍「大根おろしの上から豆腐にかける」
■
忍「さらに削りガツオをドッとかけて」「これで一品」
■
京子「味噌汁の具は長ネギとワカメ?」
忍「うん」
■
忍{鍋にお湯を沸かして削りガツオの残りを入れる}
忍「長ネギはみじん切りと小口切りどっちがいい?」
と京子に聞きつつ
京子「みじん切り」
■
忍{使うところまで縦の繊維にそって4回包丁を入れて、端から刻んでいく}
図解。
●10
■
忍{お湯が沸騰したらネギを入れて火をとめて味噌を溶く}
■
忍{それから乾燥ワカメ入れて}
京子「乾燥ワカメって本当に便利だね」
と後ろでパッケージのジップロックをしめている。
■
京子「さっきの残った白身忘れてるよ」
とお椀に入った卵白を持って。
忍「あっ、と」
振り返って。
■
忍「まわし入れて……」「よしっ、と」
と味噌汁を仕上げる。
■
京子「次はメインの豚肉料理?」
忍「モヤシ1袋を洗ってザルで水気を切る」
■
忍「豚バラ肉は二人分で200g」
忍「大き目のお茶碗にラップを敷いて」「豚バラ肉を放射状に並べる」
図解。
忍「これを二つ用意します」
●11
■
忍「洗ったモヤシを手でギュッとしてバキバキ折っちゃう」
■
忍「これを豚バラの上にのせて」「お茶碗からはみ出した豚肉を畳むようにしてモヤシにフタをする」
■
忍「その上にさらにもう一枚ラップをかけて、手で軽く押さえて空気を抜いて」
■
忍「一つづつ電子レンジで4分加熱」
■
忍「そのあいだに醤油大さじ2、ラー油小さじ1をよく混ぜてタレを作る」
■
(ちーん)
電子レンジを振り返る忍。京子がのぞきこんでいる。
●12
■
もう一つ電子レンジに入れながら。
忍「もう一つも」
■
忍「えーと、これでどうすんだっけ……」「ここ手順が大事なんだけどまちがえやすい」
と思い出そうと上を見る。
■
忍「そうだ、まず最後にかけたラップを外して」
■
忍「お椀のフタができるお皿をかぶせて……」
どうすんのかな、と横から見ている京子。
■
忍「ひっくり返す!」
横でびっくりしている京子。
●13
■
忍「お椀とラップを取ったら──」
とお椀を取ろうとする。
■
忍「できあがり!」
豚丸。
■
リアクション。
京子「おおー、なにコレ?」「豚肉の塊!」「丸い!」「豚丸?」
忍「うん豚丸なの」
うんそうだねーみたいな顔。
■
京子「あたしがテキトーに言っただけなのに」「オウムがえしかよ」
と笑う。
忍「なんでも受け入れるの」
うんそうだねーみたいな顔。
●14
■
<黄身おろし冷奴>
<豚丸>
<ネギとワカメと卵白味噌汁>
とごはん。
二人「いただきまーす」
●15
■
忍「さっき作ったタレをかけて……」
とタレをかける。
■
忍「上手にできたかな?」
と箸を入れて豚丸を割いて中を確かめる。
■
忍「見た目の凝った感じに反して、簡単に出来ちゃうね」
とごはんに乗っけて食べる。
京子「おもしろい!」
とかじりつく。
■
京子「要するに丸くまとめたシャブシャブだ、これ」
忍「今度は他の味つけも試してみよう」
■
京子「ポン酢とゴマダレでしょ?」「あとはソースとマヨ」
京子「ワサビと麺つゆ」
忍「塩レモンも!」
●16
■
京子「この冷奴は?」
忍「これはスプーンで突き崩して大雑把にかきまぜちゃう」
■
忍「あとは各自スプーンで食べます」
■
京子「おっ!」「和の辛味だね」
■
忍「んふふ」「大根の辛味に濃厚な黄身の味が乗っかってる」
京子「これならいくらでも食べられそう」
●17
■
京子「やー」「満腹満腹」
(ごろん)
と脚を上げてひっくりかえる。
■
京子「………」
と天井を見つめて。
京子{今日、スーパーで駄々こねてた子、初めて会ったときの忍くらいかな……}
■
京子「……あのくらいちっちゃかった」
■
忍「え?」
京子「しのぶー」「ちょっとこれ見て」
●18
■
忍「なに…」
(はしっ)
とカニばさみをかける京子。
バランスを崩す忍。
■小さい何コマかで
忍「あっ」
(ぐいっ)(ぎゅっ)(がしっ)
と手を引っぱられ、京子の脚を胴に絡められ、京子の足がフックされる。
●19
■大
京子「つかまえたー」
忍「!」
忍の身体を太ももで挟み込んで下から抱きしめる京子。
はしたなくも足を忍の細腰の後でがっちりと組んでいる。
体格差があるので忍の顔は京子の胸に押し付けられる。
■
忍「罠だった……」
困ったように顔を赤らめてなすがまま。
京子「忍こんなに大きくなっちゃって」「もう」
■
忍「えっ?」「うそっ?」「ちがうよ!」
とびっくりして自分の下半身を気にするようにもがく。
●20
■大
京子「なーに言ってんの」
と顔をあげて胸元の忍の顔を両手で挟み込んで。
京子「初めて会ったときはお人形みたいだったのに」
■
忍「え……?」「……もっ」「もーう!」「はなしてよお!」
京子「秋は人恋しいの」「忍とこうしていると幸せなんだー」
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