第17話「麻婆ナスパスタ&ホイコーローパスタ」
コンテ
https://www.pixiv.net/artworks/87162076
(擬音・吹き出し外文字)
「セリフ」
{人物モノローグ}
<ナレーション・モノローグ・解説>
●1
■トビラ
●2
■
のせゴマ。
夜。忍と京子のアパート外観。
■
買い物から帰ってきた京子。私服姿。コートを着てる。買い物袋を下ろしながら。
京子「野菜も安かったけど中華調味料が安かったねー」「いっぱい買っちゃった」
■
同じく買い物から帰ってきた忍。中華調味料の箱を袋から取り出して眺めている。
忍「こういう中華調味料は自分で合わせて作ってもいいんだけど、片栗粉の手間とかはぶけて楽ちんだし簡単においしいもんね」
■
京子「味の調整にちょっと甜麺醤とか豆板醤足すだけでいいしね」
冷蔵庫に野菜を入れつつ。
●3
■
忍「うーんと」「ご飯これから炊くと時間かかるから……」
とナスの袋を手にして考える。
■
忍「パスタでよい?」
と振り返る。
京子「よい!」
(ぐっ)
親指を立てる。
■
忍「それじゃあ試してみよっかな」
■
忍{お湯を沸かして、パスタを茹でる。茹でるときは塩をたっぷり}{7分でゆで上がるタイプが好き}
大鍋に塩を入れている忍。
●4
■
忍{ナス5本、ヘタを切って縦に8等分}{ピーマン2個もヘタを取って縦に8等分}{ニンジン4分の1は薄く短冊切り}
材料を切る忍。ほったらかしシチューのときのように切られた材料イメージが頭上に浮かぶ。
(とんとんとん)
■
忍{熱したフライパンにゴマ油をたっぷり。大さじ3くらいかな}
フライパンに火をつけてごま油を入れている。
(ごー)
■
忍{中火にしてナスを投入}
ナスを焼く。
(じゅあ~~)
■
忍{油をまんべんなく吸わせて焼き色がついてきたらニンジンを投入}
ニンジンとピーマンを入れて炒める。
忍{続いてピーマンを投入したら弱火にして……}
■
忍{ピーマンが暖まったくらいで炒めた野菜を一旦ボウルにあけてとる}
とフライパンを傾けてボウルに菜箸で炒めた野菜をあける。
忍{こうしておいても余熱で野菜がしんなりしてくるからあんまり炒めすぎないようにして、と}
■
忍{再び油を入れて鶏のひき肉を中火で炒める}
ひき肉を炒める。
(じゃー)
●5
■
忍{ここで麻婆ナス用の中華調味料}
忍が持つパッケージ。
■
忍{ひき肉に火が通ったら一旦火をとめて}{麻婆ナス用の中華あわせ調味料を入れる}
とレトルトパックからソースをフライパンに絞り出す。
(んぎゅー)
■
忍{混ぜながら中火で炒めて、ボウルの野菜を戻して炒め合わせる}
とボウルの野菜をフライパンに戻す。
(じゃんじゃんじゃー)
■
忍{……と、ここでパスタがゆで上がった}
(ぴぴぴっぴぴぴっ)
と鍋を見る。
■
忍{お湯をよく切ったら、フライパンに入れて、弱火でよく和えて……}
とフライパンにパスタを投入。
●6
■
忍「できあがり!」
<麻婆ナスパスタ>
大皿にドンと盛られている。取り皿で食べる。フォークとスプーン。
■
京子「おっ、新メニュー?」
忍「ナス使ったパスタはミートソースもトマトソースも和風もあるから」「それなら中華も行けるのではないかと……」
■
●7
■
取り皿に少し取っている。
スプーンの上でフォークで巻き上げる京子の手元。
■
湯気が立つナスとパスタを口に運ぶ京子。
■
京子「あ、いい」「ピリ辛」
ちょっと目を丸くして。
■
忍「うん、上手にできた」
忍「中華料理とイタリアンは仲良くできそうな気がしてたんだ」
と微笑みながら食べる。
■
京子「あんたよくこういうの発明するねー」
と感心して。
忍「もうすでにある場合もあるけど」
ちょっと得意げに。
■
京子「またアフリカ料理だったりして」
大皿からさらにおかわりを取る。
●8
■
京子「明日なんか用事ある?」
忍「うーん、図書館に行こうかと思ってた」
食べながら会話する二人。
■
京子「そういや駅前にまた本屋さんできたみたい」
と思い出したように。
忍「ふーん、行ってみようかな」
■
京子「そろそろ新しい下着とか靴下とか買わないとだから」「明日は午後から一緒に買い物しませんか?」
忍「うん、いいよ」
■
京子「よし、じゃあデートだ、デート」
と、いひひと笑う。
■
忍「ふふふ」
嬉しそうに顔を赤らめて微笑みながらパスタをおかわりする。
●9
■
翌日。
12月初旬の日曜朝。木枯らしが吹いて寒い。
雀が鳴いている。
忍と京子のアパート。
■
忍と京子の部屋。居間。
敷いてある二組のフトン。
ごそごそ動いている京子の掛布団。忍のフトンにもぐりこんでいる。
■
ふっと目が覚めた忍。
■
京子に抱かれている。
忍「またぼくのフトンに侵略してきた……」
■
京子「そうだ~~」「忍のフトン共和国は我が二度寝帝国の保護領となったのだ~~」
忍「……」
●10
■
スルっと京子の腕から逃げ出す忍。
京子「あっ」
■
京子を乗り越えて京子のフトンに移る忍。
京子「あっ、あたしのフトンにっ?」「な、なんのつもりだ!?」
と寝返りを打って振り返る。
■
忍「ふふふ」「守りの薄いその隙に二度寝帝国の首都をフトン共和国のレジスタンスが占領したよ」
フトンの中から勝ち誇った笑みを浮かべる忍。
■
京子「こいつっ!」
と笑ってフトンにもぐりこんで忍を抱きしめる。
忍「うわっ」
くすぐったそうに笑う忍。
■
忍「あはは!」
(どたばた)
●11
■
京子「寒くなってきたね」
忍「うん」
幸せそうに忍を抱きしめる京子。幸せそうに猫のように目を細める忍。
■
忍「もう、起きようよ」
■
京子「いいじゃん」
京子「もうちょっとゴロゴロしよう」
フトンの中からリモコンに手を伸ばしてテレビをつける京子。
■
京子「あ、新しいライダーやってる」
画面。「亀ライダーザムザ」のタイトル。
■
黙って二人でテレビを見る。音声だけ聞こえる。
妹「助けてお兄ちゃん!」
本郷タカシ「妹よ! いまこの兄が部屋から出て行って助けるぞ!」
■
本郷タカシ「変身!」
テレビ画面。変身ポーズ。
●12
■
虫のようなデザインの亀ライダー、決めポーズ。
亀ライダーザムザ「亀ライダーザムザ!」
亀ライダーザムザ「ある朝、不安な夢からさめたとき、同時に俺は正義にも目覚めたのだ!」
■
京子「このライダーって、亀なの? 虫なの?」
二人とも寝転んでボーっとテレビを見ながら。
忍「さあ?」「朝起きて布団から出ないでいたらライダーになっちゃったって設定らしいよ」
■
京子「ヤバっ」「あたしたちも虫になる」
(くくくっ)
と笑う。
忍「虫はやだなー」
■
京子「でも大丈夫。あたしはもう妖怪だから」
京子「妖怪だからこうやって寝てるの」
■
忍「それなんの妖怪?」
面白がって聞く。
京子「妖怪二度寝」
ドヤ顔。
●13
■
忍「寝てるだけの妖怪なの?」
さらに面白がって聞く。
■
京子「んーとね」
京子「朝になると現れてかわいい弟をこうやってフトンに引きずり込んで二度寝に誘う」
とフトンの中で忍の胴を脚でホールド。
■
京子「フトンあったかいよ~?」「まだ眠いよ~?」
と忍を抱え込む。
忍「あははっ」
■
京子「好物は弟の丸かじり」
(あぐっ)
っと忍の頭をかじる。
忍「食べないでー!」
困ったように笑う。
■
京子「こうやって日曜朝のフトンの中からテレビ見てるのってしやわせ~」
忍「ん~」
■
いつのまにか二度寝してしまう二人。
(ぐー)
●14
■
忍「はっ」
(がばっ)
っと起きる忍。
■
忍「もう11時だ」
時計を見る。
もそもそと起きる京子。
■
忍「なんて堕落なんだ……」
ため息をついて服を脱ぐ忍。
京子「あんたと二人なら堕ちてもいい」
とニヘラッと笑いながらパジャマを脱ぐ京子。
■
忍「もうご飯は朝昼兼用だね」
と布団を畳みながら。
京子「ブランチって言いなよー」
といいつつ服を着ている。
■
忍「洗濯しなきゃ」
と洗濯物のカゴを持って庭のほうへ行こうとする。
京子「じゃあ暖かいものを作ろう……」
とエプロンをして。
●15
■
京子「お! そうだ!」
と冷蔵庫を覗き込んでいてひらめく。
■
京子「昨日から続けてだけど、パスタでよいですか?」
忍「よいです」
忍(パスタ好き)
■
京子{大皿で食べるパスタはいつも二人で3把がちょうどいいんだよな}
と大鍋でお湯を沸かす。
■
京子{豚バラ肉を一口大}{キャベツ4分の1も一口大にざく切り}{長ネギ半分を1センチ幅で斜めにカット}
材料を切る京子。ほったらかしシチューのときのように切られた材料イメージが頭上に浮かぶ。
(とんとんとん)
■
京子{熱したフライパンに大さじ1のゴマ油}
フライパンに火をつけてごま油を入れている。
(ごー)
■
京子{強火のままでキャベツを炒める}
キャベツを炒める。
(じゃんじゃんじゃあ~~)
●16
■
京子{だいたい火が通ったら炒めた野菜を一旦ボウルにあけてとる}
とフライパンを傾けてボウルに菜箸で炒めた野菜をあける。
■
京子{ゴマ油を大さじ1で豚バラ肉と長ネギを中火で炒める}
肉とネギを炒める。
(じゃー)
■
京子{で!}{ここでホイコーロウ用の中華調味料}
京子が持つパッケージ。
■
京子{肉に火が通ったら一旦火をとめて}{ホイコーロー用の中華あわせ調味料を入れる}
とレトルトパックからソースをフライパンに絞り出す。
(んぎゅー)
■
京子{豆板醤のいい匂い}{混ぜながらボウルの野菜を戻して中火で炒める}
と匂いを嗅ぎながらボウルの野菜をフライパンに戻す。
(じゃんじゃんじゃー)
■
京子{あーっと、パスタがゆで上がった!}
(ぴぴぴっぴぴぴっ)
と鍋を見る。
■
京子{お湯をよく切ったら、フライパンに入れて、弱火でよく和えて……}
とフライパンにパスタを投入。
●17
■
京子「あたしも中華とイタリアンの親和性を試してみました!」
<ホイコーローパスタ>
大皿にドンと盛られている。取り皿で食べる。フォークとスプーン。
忍「ああっ!?」「これも違和感がない!」
■
忍「おおー、お?」
京子「ん?」「違和感がないというよりなんか見たことある感じだな……」
と大皿からフォークとスプーンで取り皿に取りながら二人とも首をかしげる。
●18
■
口に運んで食べる京子。
■
京子「!?」
食べながら「んっ!?」と気がつく。
■
京子「あははは!」
と笑いだす。
京子「これ焼きそばだ!」
■
京子「なーんだ、あたし知ってたよこれ!」
二人ケラケラ笑う。
忍「うふふ」「イタリアン焼きそばだ」
■
忍「辛みその焼きそばっておいしいね」
忍も笑いながら食べる。
●19
■
商店街を歩く並んで二人。
京子よそ行きの顔。
京子{中華鍋買おうかな……}
■
京子、ふと忍を見て気がついて。
■
京子「忍」「ほら」「手」
と澄ました微笑みで手をつなぐのを促すように差し出す。
■
忍「え、いいよ……」
とまどう。
■
京子「なんで?」
不思議そうに。
忍「……べ、別に」
忍「僕もう子どもじゃないし」
テレながら突っ張って目をそらす。
■
京子「生意気な」
ちょっと小憎らしそうに見くだす。クールなよそ行きの顔。
■
忍「……」
ますます赤くなって目をそらす。
●20
■
京子「そういうことじゃなくってさ」
京子「今日はあたしとデートなんだよ?」
少しツンとすねたように。
■
京子「デートなら手ぐらいつながなくちゃ」
京子「ほら!」
と小悪魔のようにいたずらっぽく微笑んで手を出す。
■
忍「……うん」
と照れ隠しに不承不承を装って手を差し出す。
■
爽やかに笑う京子。
■
つながる手。
■
歩いていく二人の後姿。
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