第31話「技くらべ 6・第4試合」
【第4試合】
身長:198cm
体重:120kg
得意技:怪力
VS
フィーア(男性、魔界のゲスト)
身長:210cm
体重:130kg
得意技:怪力
フィーアはアルコールのビンを手に持ち、火を吹きながらの入場。
安曇仙人は両手にリンゴを持っている。
リンゴを持ったまま右手を上げると、ゆっくりとリンゴを握りつぶした。
左手も上に上げてリンゴを軽々と握りつぶした。
巨体の怪力自慢どうしの対決である。
ゴングが鳴り、両者がリング中央にあゆみよる。
フィーアが大きく両手を上げると、安曇仙人も負けじと両手を上げ手を組みあった。力くらべである。
(俺の握力は人間の頭蓋骨を砕くことができる。いくら魔界のエリートでも骨格は人間だろう)
安曇仙人は牛を相手に格闘技の修行をして素手で牛の頭蓋骨を叩き割ることもできた。
フィーアが押されている。
苦しまぎれにフィーアが口から火を吹いた。
安曇仙人の髪の毛が燃えている。
(アルコールを胃袋に溜めていたのか!?魔族は電撃も使うから火種もあるのか……まだまだ火を吹けるのか?)
安曇仙人、フィーアの腹を蹴り離れ、燃えている髪の毛の火を消した。
腹を押さえているフィーアを持ち上げマットに叩きつける。しかし、効いていない……
フィーアも負けじと安曇仙人を持ち上げマットに叩きつけた。しかし、これも効いていない……
「魔界の毒ならどうだ?」
フィーアが口から赤い液体を吹き出した!
魔族は体に毒袋があり相手に毒を吹きかけることができる。
「なんの!」
安曇仙人は
「あれは、ただの符ではないぞ
「安曇仙人の師匠が魔族と戦うために持たせたんでしょうね」真蔵仙人が言う。
神符を貼った安曇仙人にはフィーアの毒液が効かない。さらにフィーアは近づく事も出来ないようだ。
フィーアは子供のころコミニュケーションが苦手で、本当は一緒に遊びたいのにどうしたらいいかわからず、よく友だちを叩いていた。
高校の時、授業中に退屈だったので前の席の男子の背中を叩いた。別に恨みがあるとかではなく、暇だったのでサンドバックを叩くように叩いた。本人は軽い気持ちだったのだが、その後、叩かれた男子は学校に来なくなり、フィーアの事が職員会議にかけられ、フィーアは停学になった。
安曇仙人、ここで勝負を決めようと近寄りフィーアのこめかみを右手でつかんだ。
「俺は子供の頃から力が強くて、プロレスをよく見ていた。特にこの技が好きでな……お前の頭蓋骨を割ってやる!!」
アイアンクローである。
安曇仙人は子供の頃、明るい性格で、友だちとプロレスごっこをよくしていた。
学校でもプロレスごっこをして、先生に怒られることはあったが、友だちを傷つけるようなことはしなかった。
小学五年生の時、プールの授業があり、男子と女子の着替えは別々の部屋だが、仕切りはベニヤ板の壁で何か所かに小さな穴を開けて女子の着替えを覗いていた男子がいた。
ちょうど安曇仙人も着替えていた時、先生が入ってきて、覗いていた生徒が捕まった。
安曇仙人は覗いていなかったが、捕まった生徒が可哀想に思い、自分も覗いていたと言ってしまった。
アイアンクローをかけられているフィーア、最初は余裕だったが、だんだんと、安曇仙人の握力は自分の頭蓋骨を割る力があると気づき、安曇仙人の手を外そうとするが、外せない。
あせるフィーア。
キックやパンチを出すが頭をつかまれているので力が入らず効かない。
安曇仙人、本気でフィーアの頭を割ろうと左手も使い、両手でアイアンクローをしている。
「ダーク・マターの力を使えば、こんなもの何でもない……」
黒いマントを付けているフィーアは、そう言うと安曇仙人の手を握った。
「電撃!!」
『ババババババババ!』
安曇仙人が電撃で後ろのロープまで吹っ飛んだ。
神符も燃えてしまった。
ふらふらと立ち上がる安曇仙人。
「まだ立つのか……寝ていればいいのに……しょうがない。デス・パンチ!」
フィーアは、よろよろしている安曇仙人の胸、心臓の上を握りこぶしで殴ぐった。
安曇仙人は仁王立ち。
心臓の脈は止まっている。
頭を激しく打つと脳震とうを起こすように、心臓も激しく打たれると心臓震とうを起こし停止してしまうことがある。
「殺したら負けになるからな……」
そう言うと、フィーアは安曇仙人の右肩と左の肋骨をつかんだ。
「電気ショックで心臓が動くだろう。電撃!」
安曇仙人に再び電撃があびせられた。
安曇仙人の体がビクッと反り返り、そのままマットに倒れた。
レフリーがテンカウントをとる。
しばらくして安曇仙人が動きだしたが、立ち上がれない。
フィーアの勝ちである。
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