第30話「技くらべ 5・第3試合」
【第3試合】
身長:182cm
体重:90kg
得意技:ストリートファイター
VS
身長:165cm
体重:49kg
得意技:呪術
毛堅仙人はストリートファイターにあこがれ東南アジアを旅しながら幾多のストリートファイトをしてきた。
素手で殴るので何度も手の骨は骨折して手が変形している。顔は美形なのに殴られて鼻が曲がっていた。
竿打仙人は生来病弱な体でいろいろな薬をのんだが良くならなかった。
ある日、掛け布団がとても重いと感じ、肛門が開きっぱなしになった。
ここまでだとあきらめた時に枕元に仙人が現れ、復活の導引を教えてくれた。
最初は腹式呼吸、次にお腹をもむ。手を握ったり腕を上げる。足首を伸ばしたり曲げる。そして腎臓の行とふくらはぎの行などを教わり、徐々に回復していった。
すると不思議なことに物に宿る魂が見えるようになった。
ゴングと同時に毛堅仙人は猛然と攻撃をしかけた。
パンチ、キック、回し蹴り!
しかし、当たらない。
幾多のストリートファイトをしてきた毛堅仙人は不思議だった。
こんなヒョロヒョロの奴が俺の攻撃をかわす!? まさか武道の達人か?
毛堅仙人の攻撃は一発で竿打仙人を倒せるほどのものだったが、竿打仙人の防御は達人クラスだった。
「武術は力だけじゃないぞ!」
竿打仙人は、そう言うと攻撃し始めた。
力はないが確実に当ててきている。
(これは、中国拳法だな。しかも達人クラスだ)
毛堅仙人は我流で戦ってきたので力にたよる戦いだが、竿打仙人は流れるような流ちょうな動きで『ヒョ〜〜ッ』と言う奇妙な掛け声とともに、とても速い攻撃をする。
(飛んだり跳ねたり、奇妙な動きだ。攻撃が速すぎて見えない。このままでは負ける。しかし、こいつの体とこの技には違和感がある。修練した体ではない。たぶん憑依の術を使い中国拳法の達人の魂を憑依させているんだ。髪の毛か!?)
竿打仙人は長い髪を後ろに束ね三編みにしている。
「体術では負けたが、仙術では負けん!」
毛堅仙人は右手を剣に変え竿打仙人の三編みを切り落とした。
すると竿打仙人の動きが変わった。
「やはりな、髪の毛に魂を憑依させていたな」
じりじりと竿打仙人に近づく毛堅仙人。
「集まれ
竿打仙人が叫ぶとリングの下から黒い人の影のような物が毛堅仙人にからみつく。
何十人もの影に絡みつかれ動けない。
動けない毛堅仙人のほほをパンパンと軽く叩き、毛堅仙人の口から出ている血を人差し指でぬぐった。
「僕は病弱で、あんたみたな健康な人にあこがれてたんだよ。でも、呪術を使えば僕のほうが強いんだよ」
竿打仙人は、人差し指についた毛堅仙人の血をなめた。
「ん〜〜っ、わかるよ君の気持ちが。そして君の力も僕のものだ」
竿打仙人は人の血をなめることで、一時的にその血を持つ者の能力を使うことができた。
「凄い力だね。これなら技を学ばなくても力だけで相手を倒せるね」
竿打仙人は動けない毛堅仙人を殴りだした。
何発も殴られ毛堅仙人は血まみれである。
「俺のパンチは、もっと重いぞ。お前のはモノマネだ」
「なんだと!?」
「それに、お前、火の行をしていないだろう。手が冷たかったぞ」
「火の行は苦手だ。僕は風呂嫌いだからな」
「お前が病弱なのは体を温めないからだ! ミトコンドリアが泣いてるぞ!!」
毛堅仙人は舌を剣に変え竿打仙人ののどに突き刺した。
竿打仙人は呼吸ができずにダウン。
子供のころ、家は貧乏で暖房は茶の間だけで、僕の部屋には暖房が無かった。
冬は、朝起きたら自分の息が布団にかかり凍っていたっけ……
だから病弱だったのか……
薄れゆく意識の中で竿打仙人は子供のころを思いだしていた。
「仙医! お願いします!」
レフリーが倒れている竿打仙人を見てすぐに医者をよんだ。
「やり過ぎたか……死んだら俺の負けだな……」
毛堅仙人は心配そうに竿打仙人を見ている。
仙医がかけより竿打仙人を診ている。
カバンからラッパを取り出して吹いた。
『プップー!』
手の平くらいの大きさの羽根の生えた牛が三頭、飛んできた。
一頭は竿打仙人の周りをグルグルと回りながらラッパを吹いている。
二頭は竿打仙人を蹴って遊んでいる。
やがて竿打仙人は意識を取り戻した。のどの傷も治っている。
「これは?」竿打仙人がたずねる。
「復活のラッパだ、たいがいの傷はこれで治る、ただ、たまに牛が破滅のラッパを間違えて持ってくることがあって困るんだ」
仙医が当たり前のように言う。
竿打仙人が無事だったので毛堅仙人の勝ち。
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