第3部 リベンジの秋
第1章 秋季大会直前
第225話 抽選会の結果①
9月も中旬に入った日の放課後、秋季岡山県大会の組み合わせ抽選会を終えて戻って来た
「華菜、抽選結果
実力テストで赤点を取って大ピンチだった凄美恋ではあったが、見事な集中力を発揮してあっさりと追試初週で5科目全部合格して、すぐに部活に戻って来た。
その集中力があるのなら初めから頑張ればいいのにと思いつつも、成績については華菜もあまり強くは言えないので、言葉にはしなかった。
「とりあえず、うちのブロックには強豪校はいない感じですね。ラッキーでした」
華菜が抽選会の最中にちぎったノートに手書きしたトーナメント表を部室の真ん中にある机の上に置くと、みんながいっせいにB5サイズの紙を見るために机を囲む。
トーナメント表には、24校ある県内の参加校を6校ずつ区切ってA~Dまで4つのブロックに分けてあるものが記載されていた。
「うちの高校はCブロックで、県内の上位校の星空学園、皐月女子、岡山文学館とは別のブロックですよ。しかも星空学園とは決勝戦まで当たらないです!」
「よくやったわ、華菜! 星空が最後なら後のこと考えずに思いっきり投げられるわね!」
由里香が満面の笑みで華菜の頭をポンポンと叩いた。由里香に喜んでもらえて、華菜の気分も良くなっていたところに、桜子がわざとらしく咳払いをした。
「決勝戦まで当たらないって言ってもそもそも私たちは夏大会は初戦敗退なのですから、そんな先のことを考えてる場合ではないと思いますが?」
桜子に睨まれて華菜は背筋を伸ばすと、それを宥めようと横から美乃梨が入ってくる。
「まあまあ、先を見ながら戦っていくことは重要だよ。せっかく華菜ちゃんがいいところを引いてくれたんだから、今は喜んでおこうよ。夏みたいに、いきなり若狭さんとか菜畑さんのいる皐月女子みたいなところ当たったら大変だったわけだし」
「それはそうですけど……」
美乃梨の言葉を聞いて、桜子が少し不満気ではあるが一応静かになった。ピリつきかけた部室の空気がやわらぎ、みんなも落ち着いたこともあって、その後の美乃梨の小さな呟きは誰にも聞こえなかった。
「それに、ボクとしては葵ちゃんと会うまでは負けたくないからね……」
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