第226話 抽選会の結果②
秋季大会は夏とは違い、土日祝日の学校が休みの日に限定して試合を消化していく。
今年は一回戦が祝日に行われて、その2日後の土日に2回戦と準々決勝があるため、2回戦から試合をするシード校以外は1回戦から準々決勝までの間に、4日で3試合を戦わなければならず、かなりハードなスケジュールになってしまう。
そして、そこから1週間空いて、次の土日に準決勝と決勝を連戦するという日程になっている。
夏の大会で県大会ベスト4に残った学校と、運よく2回戦から登場の場所を引けた学校は2回戦から戦うことができるが、残念ながら桜風学園は1回戦から戦わなければならない。
「Aブロックには今年の夏大会全国ベスト8の星空学園、Bブロックには夏に県大会で準優勝した皐月女子、Dブロックには夏の県大会ベスト4の名門、岡山文学館がいるから、華菜ちゃんは本当に良いところを引いてくれたよ。秋大会は3位までが中国地区大会に進めるから、ベスト4まで進むことがとにかく大事になってくるし」
美乃梨はいつものように楽しそうに説明してくれるのに、どこか緊張しているように感じてしまい、華菜が尋ねた。
「美乃梨先輩も大会前だから緊張しているんですか?」
「別に、いつも通りだよ」
美乃梨はあくまでも笑顔のままだった。その様子を見て、怜が声を発した。
「まあ、とりあえず、ベスト4まで行けば岡山文学館と当たる可能性が出てきますので、そこまでは絶対に勝たないといけませんわね。ね、美乃梨さん」
「そうだね……じゃないよ、怜ちゃん。ベスト4までじゃなくて、確実に中国地区大会に行くには決勝まで行かないといけないよ」
怜の顔を見つめた美乃梨が不自然な間を開けたあとに苦笑しながら答えた。
どこか気になる部分はあったけど、それを考えようとするより先に、桜子がパンパンと手拍子をしてからしっかりとした口調で言う。
「みなさん、先のことを考えていくのも大事ですが、まずは目の前の1勝を取りにいかなければなりませんよ」
「そうね。まずは初勝利目指して、何が何でも全力で初戦の
桜子の言葉に続いて由里香が声をだした。昨夏の初戦は相手が県大会準優勝の皐月女子だったとはいえ、初戦敗退であったという事実には変わらない。だから、まずは桜子たちの言う通り、初勝利目指して戦うことから始まるのだ。
「秋は絶対に勝ち抜きましょう!」
華菜が思い切り右手を高く突き上げて大きな声で宣言する。いよいよリベンジの秋が近づいてきていた。
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