第179話 独り相撲②
「ボールフォア!」
審判の宣告により、3塁ランナーがゆっくりとホームにかえってくる。凄美恋はここまで登板前の動揺そのままに4者連続のフォアボールを与えてしまい、さっき自らの強肩により必死に防いだ4点目をあっさり相手に与えてしまった。
先ほど私たちが守るから思い切り打たせろとは言ったものの、一度も野手の元へとボールが来ていないので、守りようがない。
9番打者の1年生田畑紅花にもすでに3球連続でストライクゾーンとは程遠い場所に、球速だけはそれなりに出ている球を投げ続けている。
「凄美恋、落ち着いて! 打たせてこ!」
とにかく凄美恋を冷静にするために、先程から何度も何度もいろいろなパターンで声をかけているけど、凄美恋は早くも精神的に滅入っているようで、華菜の声もおそらく耳に入っていないのだろう。
結局この回5個目のフォアボールを与えさらに1点献上してしまった。これで0-5。どんどん点差は開いていく。
いたずらに失点を重ねていきコールドゲーム成立の7点差まで、もうあと2点となってしまった。さすがに差が5点になって悠長に四球祭りを見ていられなくなったのか、富瀬が守備のタイムを取った。
これが1試合の中で取れる上限である3度目のタイムなので、もうこの後は富瀬から直接指示を出すことはできなくなる。
今回もまた華菜が富瀬の元へと指示を聞きに向かった。
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