第1話
「セレンティア・フォレスト侯爵令嬢、貴様はアリシア・ロンド男爵令嬢に数々の嫌がらせをした挙げ句、先日殺人未遂まで起こすとは、最早野放しには出来ない。僕はここに宣言する貴様との婚約を破棄し、新たにアリシア男爵令嬢との婚約を発表する」
この声高々に宣言しているのは、私セレンティア・フォレスト侯爵令嬢の婚約者。この国の第二王子ユリウス・ブロンクス殿下なのだ。あっと違ったわね。破棄されたのだから、元婚約者よね。どちらでもいいけど、もう関係ないから。
側にストロベリーブロンドの色白のアザと系の自称美少女は、アリシア・ロンド男爵令嬢。馴れ馴れしく王子の腕に胸をくっ付けて、自分をアピールしている。着ている服装も娼婦見たいで、とてもこの学園卒業パーティーに相応しくない。夜会でもそんな露出度の高いドレス着ている夫人を見た事がない。ましてや未婚の令嬢なんてもっての他だ。どれだけ馬鹿なのか。呆れ返ってしまう。
馬鹿二人に踊らせられた側近達も気の毒に自業自得よね。
「貴様は、アリシア嬢に詫びることも出来ないのか?出来損ないの癖に」
「そうよ謝って下さい。私、辛かったんですから…」
大きな瞳に涙を溜めて、上目遣いにユリウスを見ながら縋っている。正直吐き気がする。この胸くそ悪い断罪劇ももうすぐ終わる。やってもいないことを熟と嘘を並べた挙げ句の断罪何だから。付き合いきれない。
「では、殿下死んでお詫び致します。ご機嫌よう。皆様」
綺麗なカーテンシーをして、私は毒を煽って、この茶番劇の幕を下ろした。
身体が傾く中、会場は騒然としていた。意識を手放す前、ふとある人物と目があった。
彼がほくそ笑んでいたような気がしたのは気のせいだろう?
そして、私は死んだ。
呆気ない、悪役令嬢の幕引きだった…
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