第29話 脱走
カイは大人しくするフリをしていたのだ。そして夜になったら2人で抜け出し、情報を集め、朝までに何事もなかったように部屋に戻ろうとしていた。
「カイがおとなしくしているはずないもんな」
とレオは嬉しそうに言う。
「うるさいな。こうした方が動きやすいと思ったんだよ」
「カイにしては頭を使ったね」
少し意地悪くレオが言うと、カイも負けずに意地悪そうにニヤッと笑い、
「その辺にしておかないとしばらく寝たきりになることになるぞ」
と返す。
「おっと、それは困るな」
とそこで真面目な顔になり。どうやって少女を見つけるかと言う話になった。
「館の周りで見張っていればまた絶対に襲いに来る筈だ。そこで館内の人たちには頑張って撃退してもらって、そいつらが逃げたところを尾行してアジトを見つけるんだ」
レオの考えにカイは頷き、2人は少女が館を襲いに来るのを待った。警戒網を敷いているので警備は万全のはずだが、一体どうやって襲撃しようと言うのか。なにか、策があるような口ぶりだったが....。
レオは待っている間に必死に考えを巡らせた。また、窓を破って侵入するだろうか。いや、2回目はないだろう。正面突破なんて考えも捨てた方がいいだろう。やるなら最初からやっているはずだ。外はガチガチに固められている。ん? 外は?
それ以上は考えることはできなかった。なぜなら館から大きな音とともに炎が上がったからだ。
「くそっ! やられた!」
「おい、どう言うことだレオ!」
「敵は外側じゃなく内側にすでに挟んでいたんだ!」
そう叫ぶと、レオは走り始めた。カイもそれに続く。館から逃げる人たちが見える。クリスやルーインは逃げられただろうか。館の前に着くと二人はルーインとクリスを探す。
見つけた。
ルーインだ。
「ルーイン!」
「おお、レオ! 無事だったのか」
「クリスは?」
「すまない、館内では一緒だったのだが、いつの間にかいなくなっていた」
「なんだって!?」
その頃クリスはというと、炎の中にいた。
あの少女とともに....
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