第28話 作戦会議

「この館の誰かが狙われている。おそらくルーインさんだろうね」


 クリスとカイはうなずく。


「何か心当たりがあるのか?」


 クリスが尋ねる。


「僕とカイは昼間少女に出会ったんだ。僕たちがこの館の丘の麓にいたときにこちらをじっとみていたから気になってね」


「そうだったのか」


「その少女に少し話を聞けたんだけど、こちらをみていたのは僕らの近くかもしくは僕らの中に殺したい奴がいたからみたいなんだ。その子が言うにはこれからやることがあるらしい。憎しみを持っていてなんらかの計画がある。そして、夜に僕の部屋に入ってきたのは女だった。声を聞いたんだ。女の子もしくは僕らみたいな子どもの声だった」


「それでその昼間会った子がルーインになんらかの憎しみを持っていて計画を実行しようとしたってことだな?」


「おそらくね」


 クリスは少し考え、口を開いた。


「ありえない話ではないが、少し考えすぎな気もするな。ルーインはいい奴だ。恨みを買うようなことはないと思うがな。少なくとも俺が騎士団にいて、あいつといる時はだれかに恨まれるようなことはなかったはずだ」


 クリスはルーインを信頼しているようだ。


「そっか、僕の考えすぎかもしれないね。でも、ルーインを守ってあげてよ。恨みを買わなくても狙われることはあるかもしれないからね」


「それは任せてておけ」


 クリスはドンっと胸を叩いた。


「それよりもお前が心配なんだがな。顔は見ていないだろうが、接触したことに変わりはないからな。狙われるかもしれんぞ?」


「そうか、僕は僕で調べたいことというか会いたい人がいるんだけどな」


「その女の子に会う気か? やめておけ。下手すると殺される。お前にも護衛をつけることにするからな」


「ええ! そんなぁ」


「お前もカイも旅の途中で消耗している。万全ならまだしも、そういう状態のお前らを放ってはおけないからな」


 レオが駄々をこねているとカイが、


「レオ、休めるときに休んでおこうぜ。おっさんの言う通りだ。俺たちはまだ万全じゃない」


 珍しくクリスの言うことを聞くようだ。


「カイも俺の言うことを聞くようになったか。関心関心」


 クリスも満足そうだ。レオは不満そうな態度を取ったが二人に言われてはどうすることもできない。おとなしくしていることにした。


「じゃあ、俺はルーインの護衛につくから、お前達はこの部屋でおとなしくしておくようにな」


 話を終えてクリスは部屋を出て行った。


 その日1日、二人はその部屋の中で話をしたり差し入れてもらった食べ物を食べたりして過ごした。そうしているうちに夜になり、レオとカイは館を抜け出したのであった。





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