第12話 帰還と村長の話

 レオ達は村へ向かっていた。しかし、カイは村には行きたくないようであった。そのため、カイとクリスはクリスの家に向かい、レオは警備隊や子供たちと一緒に村へ一度帰ることになった。レオとカイの荷物は宿屋に置きっぱなしになっているのでそれを回収してクリス達と合流する。警備隊やカイを連れ去った村人はとても反省している様子でカイに何度も頭を下げていたが、カイは


「わかったからもう俺に関わらないでくれ」


と突き放していた。


 その後クリス達と分かれてから30分ほどして村へ到着した。村に入ると親達が子ども達の元へ駆け寄り涙を流しながら我が子達の帰還を喜んだ。それを見届けてレオは宿屋へと行き荷物を取って宿の外へ出た。すると宿屋の前に村長が立っていた。どうやらレオを待っていたようだ。


「レオ君。この度は人質を取られていたとはいえ、君や君の友人に酷いことをしてしまった。本当にすまなかった」


「カイはひどく傷つきました。もうこの村には来ないかもしれません」


村長は少し寂しそうな顔をした。


「それはわたし達の自業自得だ。仕方のないことだ」


「そうかもしれません。こころを傷つけるのは簡単です。信頼を回復するのはとてもたいへんなことだと僕も今回で学びました。でも、0.1%でも可能性があるならカイがまた村の人達と笑い合えるようにしたいと思ってます」


「そうか、彼には本当に酷いことをしてしまった。ちゃんと面と向かって謝ることができるように私たちもしっかりしていかなくてはいけないな」


「ところでレオ君。君について妙なことを聞いた」


「なんでしょうか」


「オーガを倒す時に腕が巨大化したと警備隊から報告が入った。いったいどう言うことだ?」


「それは.... 僕にもわからないんです。ただ頭の中で"ユニークスキル"って聞こえてくるんです。」


「ユニークスキルだと? それは限られた者にしか現れないスキルじゃないか。確か王国の今の騎士団長もユニークスキルを持っていると聞いたことがある」


「本当ですか?」


「ああ、噂だがな。騎士団長にもし会えたら何かわかるかもしれない。クリスに相談してみるといい。もし、会えなかったとしても騎士団がある王都セイダンにいけばなにかわかるはずだ」


「セイダンか! わかったよ村長ありがとう!」


「おお、気をつけてな」


 レオは思わぬところで自分の力について知ることができるかもしれないと言うことを聞いてかなり疲れていたがその足取りは軽かった。この力を使いこなすことができれば強くなることができるはず。レオは急いでクリスの家に向かった。

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