第2話 覚醒
レオが見た光景、それは....
血だらけで「何か」にしがみついている父と母。家に向かって立っている「何か」は足元の父さんと母さんを自分の足から引き剥がそうと躍起になっている。
「父さん! 母さん!」
「来るな!」
「ギャーギャーギャーギャーうるせぇなぁ」
その「何か」がこちらを振り返る。
オークだ!
母さんが読み聞かせてくれた絵本の中に出てくるオークそっくりだ。
「オメェだな? 魔王様が言ってたレオってやつは」
「何のこと? とにかく父さんと母さんから離れろ!」
「こいつらがよぉ、オメェのところに行かせねぇように掴みかかってきやがったんだよ。」
「俺はただオメェの目の前でこいつら殺せって言われてきただけなのによぉ。あれ、これ言っちゃダメなやつだったか?」
魔王なんて存在していたのか?そもそも何で魔王が僕を? 疑問は出てくるが今はそんなことどうでもいい。
「まあいい、そこでみてろよ」
「やめろーー!」
レオは今まで散々走ってきたのにも関わらず、ものすごいスピードでオークまで駆けていき、左腕にしがみついた。
「邪魔だ! 離れろ!」
オークはレオを振り払った。地面に投げ出される。しかし、すぐに立ち上がり再びオークに向かっていく。左腕にしがみつき今度はその腕に噛みついた。
「いでででででで! はなれろよ!」
絶対に殺させない。無我夢中でしがみついていた。
ドンっ
噛みついていたはずがなぜか地面に背中を打ち付けていた。その拍子に何かを飲み込む。背中が痛いし、腕も力を入れすぎて痺れている。しかし、そんなことも言ってられない。レオは立ち上がり、向かっていく。
「しつこいわ!」
みぞおちに鈍い痛みが走る。息ができない。
オークの拳が入ってしまった。地面に倒れ込む。
「そこで見ていろ。お前は殺すなと言われている。」
そこからはもう見るに耐えない光景だ。オークは父と母に何発も何発も拳を浴びせた。森中に悲鳴が響く。あの屈強な父でさえも無力に痛めつけられている。オークは楽しんでいるようにも見える。もう2人の意識はない。レオは恐怖と痛みで動けない。目の前で父と母が殺されようとしているのに。
あいつが憎い! 憎い憎い憎い!
動け! 動けよ!
何で動かないんだ
今動かないと、父さんと母さんがぁっ
うあああああ動けえええええええ!
プツン
レオの意識は飛んだ
遠くでかすかに声が聞こえた気がした。
《ユニークスキル "
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます