第11話 劉騎の彼女~ 同一人物ならいいのに ~

数週間後の学校帰り ――――



「何か…周囲…カップル増えたような…」




私は目で周囲を見ながらポツリと呟く。



そんな中、ふと一組のカップルが目につく。




「あれ?……劉騎? うわぁ……隣にいる女の人、高校生とは思えない美人系じゃん!まさしく美男美女カップル!」



私は見つめていた。



すると、劉騎が私の方に振り向いた。



ドキッ



「うわっ……絶対バレたよね?」




私は足早に去った。



≪今の…郁海…?≫



「劉騎君、今日は付き合ってくれてありがとう」


「いいえ。じゃあ俺はここで」

「あっ、うん…。ねぇ劉騎君、もう少し時間貰えるかな?」


「えっ?」

「あっ、都合悪いなら良いの」

「いや大丈夫だけど」

「じゃあ、ちょっと公園に行かない?」

「公園?」



移動する二人。




「それで?何?」

「私…フラれたけど……劉騎君の事が好きなの!付き合って欲しくて…」

「……ありがとう……だけど…俺の気持ちは変わらないから」

「そっか…」

「マジ悪い」

「ううん」




そんな私は遠回りで帰る。


いつもの例場所にいた。




「あの男の子…いくつになったのかな?変わらなかったような気もするけど……」




そして帰ろうとした時。




「もう帰っちゃうの?」



ドキン


振り返る視線の先には劉騎。



ドキッ



「劉騎……」

「あっ!今、なーんだ。って顔した」

「えっ?」



「そんなに会いたいのか?思い出の男の子」

「……それは……でも…何処にいるか分からないから会えるわけないし」

「だったら、もう新しい恋すれば?待ってても仕方なくねーか?」


「…そう…だね…」

「あっ!そうそう!お前、さっき見てたろ?」



ギクッ



「えっ!?……やっぱり…バレた?」

「バレてるし!」

「すっごい美人な人だったね?あの人が気になる人?」


「えっ?気になる人?いや違うし!別にいる」

「えっ!?いるの?」

「うん」

「そっか…美男美女カップル!と思ったけど違ったんだね」


「俺は顔に拘らないかな?あっ!でも少しは良い方が……」

「何それ!」



私達は笑う。



「それじゃあ、帰るね」

「ああ」



私達は別れ始める。



「郁海!」

「何?」



グイッと引き寄せられた。



ドキン


気付けばセメント壁に押し付けられたかと思うと唇が重なっていた。



唇が離れる。



「悪い……」

「本当……カップルじゃないのにキスするなんて……」



私は押し退けると帰り始め、足を止め振り返る。



「私じゃなくて気になる人に告白してキス沢山しなよ!私じゃ相手にならないでしょう?それとも気になる人と付き合う事になった時の練習?じゃあね!」



私は走り去った。



「……気になる奴……郁海……お前なんだよ……つーか……お前であって欲しい……ほぼ……確率なんだよ……でも…もう少し確信なきゃ……」





「劉騎……どうしてキスしたんだろう?これ以上……私は……分からなくなるよ…劉騎が好きなのか…あの時の男の子への想いもあって、もしかして照らし合わせているかもしれないのに…」





――― 同一人物ならいいのに……




お互いの気持ちが


望んでいる想いだった……









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