第10話 思い出の場所で・・・

それから数か月が過ぎ ――――



「郁海。私、雄君と付き合う事にした」


毬恵が言ってきた。




「えっ?」


「私達、時々二人で出掛けたりしてたんだ。そうしたら、お互い惹かれ合ってたみたいで、昨日、雄君に告白されたの……」



「そうか」


「連絡取り合うようになって出掛けたりしたら色々と共通な事が多くって…話も合うし…」


「そうなんだね!それが一番だよ!趣味が合ったりするのは良い事だよ!良かったねっ!」


「うん……」




私達は色々話をする中、

また4人で出掛けられたら良いね?


という話が出て、その計画を振ってみた。



すると、二人も乗り気で出掛ける事になった。





ある日の日曜日 ――――




私達4人は、遊園地に来た。




「遊園地、スッゲー久しぶり!子供(ガキ)の頃以来だし!」


と、劉騎。



「今も子供(ガキ)のくせに!」

「何?何か言ったか?」

「言ってな…」



グイッと私をヘッドロックすると私の頭を何回も小突く劉騎。



ドキッ



「ちょ、ちょっと!暴力反対っ!」



騒ぐ私達を笑う雄と毬恵。


私達4人は園内に入って行く。




「おっ!お化け屋敷!行こう、行こう!」



グイッと私の手を掴む劉騎。




ドキン



「えっ!?…や、やだ…私、大嫌いなの!」


「たかがお化け屋敷じゃん!嫌いなら尚更、お前の目玉が飛び出る瞬間見てみてー」


「あのねーーっ!」



そんな中、雄と毬恵は入って行く。


「先に行くから」と、雄。


「あっ!おいっ!」と、劉騎。



劉騎は私の手を引っ張って行く。



「や、やだ…ちょっと!マジ…」



パッと離す劉騎。



「じゃあ、俺、一人で行くから。お前も一人でどうぞ」


「えっ!?や、やだ!一人にしないでよ!馬鹿、劉騎!」


「馬鹿は余計だろう?」

「だって!意地悪するからっ!」

「あぁぁーーっ!もうっ!」



グイッと肩を抱き寄せる。



ドキン


「行くぞ!」



私達は中に入って行く。



「劉騎……」

「何だよ!」

「やっぱり無理……」

「だったら戻れば?」

「酷っ!」



私達は騒ぎ、驚かされ要約お化け屋敷を出た。



「もうっ!本当っ!劉騎、私に対して冷たすぎ!」


「だって、お前の事、女と思えないから!」



ムカッ

腹が立つ。



「もうっ!本当っ!最低っ!」



私はスタスタと先に歩き出す。



「郁海?」と、雄と毬恵。



「あっ!おいっ!郁海っ!雄、毬恵ちゃん、せっかくだし別行動しようぜ!」

「えっ?」

「お前らラブラブじゃん!こっちは良いから。4人各々携帯さえあれば連絡つく訳だし」



そう言うと私達は別行動をした。



「郁海っ!待てよ!」



グイッと腕を掴まれる。


ドキッ

胸が大きく跳ねる。



劉騎といると喧嘩が絶えないけど、こうして触れられたりすると私の胸が大きく跳ねるのは分からなかった。




「何よ!」


「雄と毬恵ちゃんは付き合ってラブラブだし、今、2ー2 で別れたから。嫌でも一緒に廻らなきゃなんねーよ」



「…………」



「劉騎…」

「何?」

「私なんかでゴメンね」

「えっ!?」

「私達、喧嘩絶えないから……」

「いや…別に…俺が意地悪するから喧嘩絶えないんだろうし」


「……分かってたんだ!」

「えっ!?」

「自覚してないわけじゃなかったんだね」

「あのなーっ!」




私達は騒ぎ、園内を廻る事にした。




そして昼ご飯を食べる為、合流し午後から4人で廻る。


1日を楽しみ、私達は別れ、私と劉騎は遠回りをして帰る。



そして、洋館前。



「お前、相変わらずだな?一層の事、ここに住んだら?」


「住まないよ!ここは、思い出だけで留めておきたいの!」


「ふ~ん…思い出ね……じゃあ、もしさ俺が、その男の子だったら?どうする?」

「えっ!?ヤダヤダ!絶対に有り得ない!」



クスクス笑う劉騎。



「当たり前だろう?俺は、お前の綺麗な思い出の中には存在しねーよ!」


「だよね?だよね?絶対にそうでしょう?例え、そうだとしたら何の共通もないはず!是非あったら私を信じ込ませなきゃ絶対に無理だ…か…」




キスされた。


唇が離れる。


「そうだろうな」


「ちょ、ちょっと…今、キスしたぁぁぁっ!?」



グイッと私の手を掴み鉄柵に押し付けた。



ドキン



「ちょ、ちょっと…劉騎…」

「…もしかして…ファーストキスだった?」




ドキン


そして胸がドキドキ加速する。



≪や、やばい…やだ…いつもの劉騎じゃない…≫

≪いや…一緒なんだろうけど…≫

≪…男の劉騎だ…≫



「ち、違うけど……」



再び唇を塞ぎキスをすると角度を変え何度もキスをする。


唇が離れる。



「…悪い…いつも言い合ってるけど……今日ばかりは……女として見てたから俺……」


「えっ?」



そう言うと再び唇を塞ぎ長くて優しいキスをされた。



「劉騎…」

「1日中、意地悪して悪かったな」

「それは…いつもの事だし…」



私達は別れた後、私の胸はざわついていた。


そして少しずつ私達の関係や距離が変化していくのだった。



























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