第5話 思い出の場所
ある日の日曜日。
私は雄と出掛ける事になり、そして毬恵と劉騎の4人で会って出掛ける事にした。
「すっげぇ久しぶりにカラオケ来たー」と、劉騎
「そうだよなぁ~」と、雄。
「私達も久しぶりだよねー」と、私。
「うん」と、毬恵。
私達は盛り上がる。
「お前、顔と似合わねぇ曲、歌ってんじゃねーよ!」
と、劉騎。
「人が何を歌おうが勝手でしょう!?」と、私。
「まあまあ」と、雄。
「そうだよ」と、毬恵。
そして、そんな中、劉騎は次々と私が気に入っている曲を次々に歌って行く。
数時間後 ――――
「今日はありがとう。また、次の機会に」と、私
「ああ、ごめんな。送れなくて。どうしても外せない急用入って」
と、雄。
「ううん、平気。それじゃ」
「ああ」
私達は別れた。
「郁海、私も親が迎えに来て今から行かなきゃいけない所あるからゴメンね!」
「えっ!? 毬恵も?」
「うん。じゃあ、明日また学校でね」
「うん。またね」
「二人供、付き合い悪いなぁ~」
「仕方ないよ。みんな色々と忙しいんだし。自分はないの?用事」
「ねーな」
「だよねぇ~。暇そうだもんねぇ~」
「お前なぁ~。そんなお前も一緒じゃねーかよ!」
「私は別に良いし!」
私達は帰る事にした。
「ねえ、セナ元気?最近、全然見ないからというか見掛けない?まあ、別に私が飼ってる訳じゃないけど……」
「セナ、元気だけど。今、恋の季節だから、お前に用事はねぇだろう?」
「えっ?恋?」
「そっ!独特な鳴き方する猫、近所にいるはず」
「独特……?」
「つまり、単刀直入に言うとHしたくなる時期」
「…え、Hぃぃっ!?えええっ!?」
「………………」
「…ご…ごめん…余りにも衝撃過ぎて…」
「いや…俺は逆にお前のリアクションに驚いたんだけど…そん位の知識はあると思ったから」
「動物飼ってないから…知識のどうこうよりも…興味ないというか…えっと…」
「人間もHするように動物もあるから。でなきゃ動物の赤ちゃん産まれねーし、動物絶滅するから、動物園、存在しなくね?」
「そ、そうだよね…」
「人間も動物も一緒だから郁海ちゃん」
ポンと両肩に手を置く劉騎。
ドキッ
私達は色々と話をしながら帰る。
「ねえ、劉騎さえ良ければ、ちょっと寄り道して帰らない?私からしてみれば遠回りなんだけど…」
「わざわざ?」
「うん…あっ!私が遠回りしたいだけであって強制じゃないから。私一人で遠回りして帰るし」
「別に良いけど?どの道のコースによるかだけど」
「そう?」
私達は遠回りをして帰る事にする。
「ねえ、劉騎、ずっと一緒に来てくれてるけど逆方向とか劉騎の家から随分と離れているとかなら帰って良いからね」
「いや…逆に近道だから」
「えっ?」
「俺の庭と変わらない場所だから、お前がこっちに向かってんのが逆に怖いんだけど…そのうち家に辿り着くんじゃねーか?って思ってるんだけど」
「そうだったんだ…」
「で?どうして、お前がこの辺知ってるんだ?」
「久しぶりなんだ。この道を通るの」
「えっ?」
「私、幼い頃、良くこの辺ウロウロして時々、道迷ったりして、その時は大人の人に送って貰ったりして…今、思えば恥ずかしい話だよ」
「いやいや、恥ずかしい以前の問題だろう?」
「えっ?」
「良くもまあ…今、ここにいるよな?」
「ちょっとっ!どういう意味!?」
「お前、幼い頃、ブスだったんだろう?普通可愛い子なら連れて行かれて…」
バシッ
劉騎の腕を打つ。
「って!何すんだよ!」
「もうっ!どうしてそういう事を言うかなぁ~?やっぱり性格悪いっ!認めたくないけど、劉騎はイケメンだから性格悪い子に神様がしたんだっ!」
「はあぁぁっ!?…つーか…お前からイケメンと言われたのは…心外だった…」
「いや…認めたくないけど本当の事だから。まあ…性格悪いからイケメンしか言いようがないから」
「なっ…!」
すると、私は1つの家に目が付く。
高い鉄柵のある洋風っぽい雰囲気の綺麗な屋敷だ。
「…ここ…」
「何?」
私は歩み寄る。
「…そうだ…ここだ…」
「ここがどうかしたのか?」
「…私……幼い頃、この屋敷に…肌身離さず大切にして持ち歩いていた、くまのぬいぐるみが入っちゃって…」
「…………」
「ここの鍵に手も届かなくて…ぬいぐるみにも手が届きそうな所にあるのに取るに取れなくて…諦めて帰ろうとした時…」
「…………」
「私とそう変わらない男の子が…」
私は幼い頃の記憶が蘇る。
「ねえ、待って!ぬいぐるみ諦めるの?」
「えっ?」
「だって気に入っているんでしょう?一人にしたら、くまさん可哀相だよ」
「…でも…」
「待ってて!僕が取って来てあげる!」
「えっ?駄目だよ!危ないよ!」
「平気だよ!任せて!」
「えっ?」
すると男の子は鉄柵から距離を置き、助走付けると軽快にジャンプして中に入り、ぬいぐるみを手に取った。
「はいっ!」
笑顔で、くまのぬいぐるみを鉄柵の隙間から渡してくれた。
「あ、ありがとう…」
再び、屋敷側から助走を付けると高い鉄柵を飛び越えて私の前に戻って来た。
「凄く大事そうにしていたみたいだし、取りたくても取れなかったんでしょう?」
「…うん…」
「もう離したら駄目だよ。じゃあね!」
そう言うと男の子は走り去って行った。
現実に戻る私。
「…鍵…今じゃこうして届くのに…幼い頃は届かなかったなんて…成長したんだね…私も…」
「……お前……何十年前にタイムスリップしてきたんだ?要約、現実に戻って来たか?バカ、郁海」
「なっ…!…や、やだっ!そういえば劉騎がいたんだったぁぁっ!」
「俺、余程帰ろうかと思った所だよ!バカ、郁海。俺は別にお前の過去の思い出なんて全っ然っ!興味ねーぞ!」
「やだやだ!私の綺麗な過去が汚染されたぁぁぁっ!」
「汚染だぁっ…!?ふざけんなっ!勝手に思い出語ったんだろ!?誰も聞きてーなんて言ってねーぞ!バカ、郁海っ!」
「さっきから、バカ、バカ、って!」
「馬鹿に馬鹿と言って何処が悪いんだ?バァァーーカ」
ムカッ
腹が立つ。
「ふんっ!」
お互い目を反らす。
そして、鉄柵に目を向ける。
「…でも…本当…相変わらず高い鉄柵だなぁ~…今は、そう高さは感じないけど…あの頃は…凄く高く感じた……えっ!?ちょ、ちょっとっ!劉騎何して……」
ふと私の視界に飛び込んだのは軽く助走を付け、既に劉騎は軽々と鉄柵を飛び越える瞬間だった。
ドキン……
私の胸が大きく跳ねる中、劉騎は地面に着地。
「俺もスゲーな!見た?」
満面の笑みの劉騎。
ドキン……
私の胸が大きく跳ねた。
「み、見たけど…早く戻って来なよ!不法侵入だよ!」
「平気、平気!空き家だし!バレないって!」
「いやいや」
すると、劉騎は再びジャンプをして私の前に飛び降り、私達は帰る事にした。
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