第3話 ムカつくアイツ

「…橘…劉騎…アイツムカつく所あるんだけど……カッコ良かったりするんだよな……」


「郁海」


「ん?何?」


「今日ちょっと付き合って欲しいんだ」

「うん。分かった。良いよ」





その日の学校帰り。



「今日のあの先公の顔凄かったよなぁー」

「あー、すっげぇ剣幕でさ、お湯が沸きそうな程の怒りすげーよな?」

「でも、お前イタズラも程々にしねーと後が怖いぞ!」


「そうだよなぁ~。だけど、辞められなくて」





―・―・―・―・―・



「ちょっと!郁海ーー、待ってよーー」

「毬恵が遅いんだよーー」




曲がり角に差し掛かる瞬間 ――――




「郁海っ!前っ!」

「えっ!?あっ!きゃあっ!危な…」

「うわっ!」



ドン



「ったぁー」

「ってぇー。何してんだよっ!前見て歩けよっ!この馬鹿っ!」

「悪かったなっ!」


「…って…お前…佐久間 郁海っ!」

「うわっ!…橘 劉騎っ!」



「郁海、大丈夫?」


毬恵が駆け寄る。




「うん」

「ぶつかった所で、どうせ不死身だろうな?馬鹿、郁海っ!」

「うっさいなっ!そういう自分だって不死身そうだよね?鉄で出来てそうだし!」

「はあああっ!?俺が鉄なら、お前はとっくにあの世逝きだろ?」


「私、磁石だからぶつかった所であんたに引っ付いてるから!」

「磁石って…だったら早く離れろ!磁石女!」

「なっ…!い、言われなくても離れるわよ!」




しかし ―――



「痛っ!」


「…お前は……本当…ある意味磁石だな?髪…絡まってんだけど…お前の髪は磁石かよ…ふざけんなし…」


「…ご、ごめん…」



「………………」



「髪切る。確かソーイングセット…」

「よせよ!」



私の手を止めた。



ドキン



ブチッと音がし、私の髪がボタンから外された。




「ボタン代、10万つー事で頂戴!」


と、手の平を差し出す、橘 劉騎。


「えっ!?あのねーっ!詐欺よ詐欺っ!」



バシッと打った。


「いてっ!うるせーな!」



私達は騒ぐ。



「まあまあ。まさか、劉騎にこんなに可愛い知り合いがいたなんて」

「あー、ちょっとした知り合いだし」

「ちょっととは思えない喧嘩っぷり」



私を見てはニコッと微笑む、橘 劉騎の友達の男の子。



ドキン

私の胸の奥が小さくノックする。




「彼氏いないの?」

「いません」


「いなさそうだよな?お前、性格悪そうだし」


と、イタズラっぽく笑い言う、橘 劉騎。



「いちいち、ムカつく一言なんだけど!あっ!ごめんっ!私達、行かなきゃ!またね!橘 劉騎っ!」



私と毬恵は足早に去った。



「郁海っ!気を付けねーと、もっと質の悪い奴等に捕まるぞ!……忙しい奴……」


「なあ、紹介して!」

「えっ?」

「お前とぶつかった彼女!」

「自分で言えよ!」


「何だよ。あっ!お前も彼女に気があるんだろ?」


「バーカ!ねーよ。あんな性格ブス!それに、まだ会って間もないから何年生かも知らねーし。気になるならアイツの高校に行けば?」


「じゃあ、今度、付き合ってくれ!」

「えっ!?目立つじゃん!」

「良いだろう?一人より二人が心強いし」

「分かったよ」



































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